【新型コロナ】県内病院の経営状況が大幅に悪化 感染患者受け入れ病院の8割が赤字に

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、県内の病院の経営状況が大幅に悪化していることが11日、県病院協会などの緊急調査で分かった。4月の利益率は全病院の平均で13.1%の赤字となり、感染患者を受け入れている病院の約8割が赤字だった。同協会は「全国と比べて著しく悪化している。このままでは経済的な理由から医療崩壊が起きてしまう」と危機感を訴えている。

 調査は5月22日~6月8日、県と横浜、川崎、相模原各市の病院協会に加盟する296病院を対象に実施。148病院(回答率50%)から回答があり、県病院協会が結果を公表した。

 4月の経営状況は、全病院平均の医業利益が6739万円(13.1%)の赤字。前年同月より5762万円減少(11.4ポイント悪化)となった。全日本病院協会などが実施した全国調査の平均は3698万円(8.6%)の赤字で、全国水準よりも大きく悪化した形だ。

 感染の入院患者を受け入れている31病院については平均14.7%の赤字(前年同月比12.6ポイント悪化)。赤字となったのは25病院で、100%を超える病院もあった。複数病床の部屋を個室にしたり、外来診療を制限したりすることで収益の悪化につながったという。

 一方、感染患者を受け入れていない73病院でも10.5%の赤字(同9.6ポイント悪化)となった。県などが不急の診療や手術を控えるよう呼び掛けていたことや、感染を恐れて受診や健診を控える人が多かったことなどが影響したとみられる。

 各病院が抱える課題についての回答では、「収益減少で資金繰りが悪化している」「医療材料の流通不足で価格が上がり、経費が多くかかっている」「病床稼働率が低下する中で感染防止策としての業務量が増えている」といった切実な声が寄せられた。

 県病院協会の新江良一会長は「県内の病院は、クルーズ船への対応を含め多くの感染者が発生し、経済的に厳しい状況。現在も状況は改善しておらず、第2波、第3波が来たら医療崩壊が起きる恐れがある」と強調。調査結果を踏まえ、国と県に対し財政支援を近く要望する。

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