山口県萩市。「まちの編集者」として付加価値を生み出す仕事 | 小川優子さん[はぎ地域資産株式会社]

城下町で有名な萩市のなかでも伝統的建造物群保存地区である浜崎は、江戸時代に栄えた港町で伝統的な町家が残る風情のある町並み。その浜崎の片隅にあるのが、可愛らしいトタンの壁が印象的なこちらの建物、「ukishima」。やわらかな笑顔で迎えてくださったのは、ukishimaを運営する「はぎ地域資産株式会社」の小川優子さんです。

夢をかたちにしていく姿に惹かれて

ー今日はよろしくお願いします。小川さんが萩市に来たきっかけを教えていただけますか?

元々奈良県の出身でアパレル販売時代に友人と休みが合わなくて、一人旅をするようになりました。色々な場所のゲストハウスに泊まっていた中で、東京の蔵前にある「nui.」というホステルに泊まる機会があったんです。そこで働いている人と知り合って、話を聞いていたらゲストハウスって面白そうだなと思って。その後、色々と調べている中でそのホステルをデザインした方が山口県の萩市でもゲストハウス「ruco」のデザインを手がけていることがわかりました。萩市にはモノづくりをしている人が多くて、地元の作り手さんと一緒にゲストハウスを作っている様子が紹介されていたんです。元々モノづくりをしている人には興味があったので、そういう人と関われるのは魅力的だと感じました。あとは、海がある場所にも憧れていたので。それで、2015年の5月からゲストハウスでヘルパーをするために萩に行くことに決めました。

「萩には一度も行ったことがなかったけど、ここしかない!と思ったんです」と話す小川さん

ー仕事を辞めてきたということですか?すごいですね。萩の印象はいかがでしたか?

仕事を辞めるきっかけに過ぎなかったのですが、まずは3ヶ月滞在するつもりで来ました。萩は、景色がいいなということと、ゲストハウスに来る人たちがみんな優しいなというのが最初の印象。萩に魅了された大きなきっかけは、ゲストハウスから歩いてすぐの場所にパン屋さんの開業準備をしている方がいたことです。壁を塗ったり、パンの試作を作ったり……お手伝いをしながら、たくさん話を聞かせてもらいました。ずっと近くで見させてもらっていたので、自分でお店をやったり、夢を現実にしていくっていいなと実感することができたんです。

萩での暮らし方を模索した末に辿り着いたのは

ーすごくいいタイミングだったんですね。それからすぐに萩に移住したわけではないんですか?

また戻ってきたいという気持ちを抱えたまま、一旦奈良に帰りました。何か、モノづくりをしている人たちの思いを届けられるようなことがしたいなという想いも強まっていたので、それを萩でできたらいいなという気持ちもありました。2016年2月、改めて萩に住むという覚悟だけで仕事も決めずに帰ってきました。知人の紹介でコンビニで働かせてもらえることになったので、アルバイトをしながらイベントで雑貨の販売もやっていたんです。でも、コンビニで働いている時間の方が長くなってしまって。わざわざ萩まで来て、何をしているんだろうともやもやした感情を抱えていました。それでまた奈良に戻ってみるんですが、やっぱり萩がいいなと思ったりして。それからしばらくは奈良にいて、2ヶ月に1度、1週間くらい萩に滞在するという生活を送るようになりました。

ー転機はなんだったのでしょうか。

2018年の6月に萩で会社を作ろうとしている人が鎌倉にいるよと教えてもらって、すぐに会いに行ったんです。

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