日本はもちろんグローバルでも大人気のSUV、トヨタRAV4に待望のPHV(プラグインハイブリッド)車が追加設定され6月8日から発売を開始しました。シリーズの最上位モデルとなるこのPHV、単なるエコ性能だけではなく、もうひとつの“顔”を持っていました。
デザインや寸法は?
まずボディですが、ベースとなったRAV4と比較しても寸法自体はほぼ変わりません。全長4,600mm、全幅1,855mmは同じ。全高と最低地上高はボディ中央下部に大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載することでそれぞれ5mmずつ増えており、全高は1,690mm、最低地上高は195mmとなります。
エクステリア、インテリアに関しても細部に専用パーツを施すことでひと目でPHVとわかる先進性やスポーティ感を演出しています。
フロントグリルやロアモールをなど専用デザインとします
特に最上位グレードである「BLACK TONE」にはルーフやドラミラー、さらにボディ下部を専用色である「アティチュードブラックマイカ」でコーディネート、専用アルミホイール&19インチタイヤも搭載することで差別化を図っています。
スポーツカーも驚きのハイスペック
最大の特徴とも言えるのがパワートレーンです。2.5L直4エンジン+モーターの組み合わせは同じですが、前後に搭載されるモーターのうち、フロントの出力をハイブリッド車の88kw(120PS)から134kW(182PS)に、最大トルクも202Nmから270Nmに向上。インバーターも強化されたことでシステムの最高出力は225kW(306ps)となっています。
GA-Kプラットフォームにプラグインハイブリッドシステム“THSⅡ Plug-in”を搭載します
PHVは前述したリチウムイオンバッテリーの搭載などで車両重量は同グレード比で210kg増となっていますが、それをものともしない圧倒的なパフォーマンス。0-100km/hの加速は6秒と国内で販売されているスポーツカー並み、SUVではトップクラスの性能を有しているのです。
EVだけで95kmも走れる
プラグインハイブリットシステムは現在トヨタが持つシステムとしては最新のものが搭載されます。前述したように大容量リチウムイオンバッテリーの搭載や制御により、EVモードだけで約95kmも走ることができます。これまでトヨタではプリウスPHVの68.2kmが最高でしたのでそれを超える能力を持ちます。
ただひとつ残念なのが、プリウスPHVにあった「急速充電機能」が搭載されず「普通充電」のみとなる点です。しかし大容量化することで急速充電を搭載する必要もない、と考えれば車両価格の上昇も抑えられることになります。
大容量バッテリーを搭載することで普通充電のみに対応します
また燃料消費に関してもWLTCモードでベースのハイブリッド車の20.6km/Lから22.2km/Lと向上しており、これらを総合すると航続距離は約1,300kmという驚きの燃費性能を持っています。
「NOMAL」を含めて3種類の走行モードを簡単に切り替えが可能
つまり走りと燃費、相反する性能を両立させたのがこのRAV4 PHVと言えるのです。
トータルのコスパは非常に高い
PHVは全部で3つのグレード構成、最廉価の「G」が469万円、中心グレードとなる「G“Z”」が499万円、最上位の「BLACK TONE」が539万円となります。
RAV4 PHVはベースがハイブリッドモデルですから、同じ“G”グレード同士で比較するとその価格差は80万1,500円となります。
「BLACK TONE」とG“Z”には運転席&助手席とも電動シートが標準装備
一瞬、高いかな?と感じるかもしれませんが、PHVはこれまで紹介したように走行&エコ性能でも元々優れていたハイブリッド車をさらに超えるスペックを搭載しています。
また先進安全装備の標準化はもちろんですが、PHVならではの機能として、1,500Wの外部への電源供給機能などは非常時はもちろん、アウトドアなどでの利便性も高めることができます。
この他にもトヨタが推奨し展開しているDA(ディスプレイオーディオ)、PHVには9インチの大画面ユニットが標準装備されますが、カローラなどではオプションだった「SDL」や「Apple CarPlay」「Android Auto」と呼ばれるコネクト機能も標準装備化しています。
ベースのRAV4はDCMと呼ばれる通信機器こそ標準装備ですが、カーナビ類はオプション扱いとなります。これらの用品にコストを支払う必要があることからもPHVとのトータルでの価格差はさらに縮まることになります。
トヨタは6月に新型ハリアーを発表しますが、当初同じセグメントということもあり、競合するのではないか、という声も出ていました。しかし「PHV」という新しい力をRAV4が手に入れることでそれぞれの特徴がさらに際立ちます。今年はコンパクトSUVのヤリスクロスなども控えており、トヨタのSUV戦略から目が離せません。