日本からドイツへの渡航が8月31日まで制限。2020年のニュル24時間への参戦は厳しい状況か

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、世界各国のモータースポーツで大きな影響が出ている2020年。各国内のシリーズのカレンダーにも深刻な影響を及ぼしているが、同様に深刻なのが海外渡航に関する問題だ。感染拡大を防ぐためにはやむを得ないところだが、特に今期はしばらくドイツへの渡航は厳しい状況となった。

 現在ドイツでは、新型コロナウイルスの影響で、外出自粛令等のさまざまな臨時条例が出され、国民の行動が厳しく制限された成果もあり、ピーク時の一日の感染者数が6,294名からはかなり減少したものの、現在も一日300名以上の新規感染者がおり、今までに8845名の死亡者を出している。

 現在は州や市町村レベルでの関連する臨時条例は現在もそれぞれ独自の基準判断で継続はされているものの、国としてはかなりの緩和が行われ、個々が感染拡大防止への意識を高めることに努めながら、日常生活が戻りつつある。すでにサッカーのブンデスリーガも再開された。

 そんななか、6月10日にドイツ外務省はEU加盟国、シェンゲン協定加盟国、イギリスをのぞく全世界(日本を含む)への不急不要の渡航に対する渡航警告を、さしあたり8月31日まで延長すると閣議決定した旨のプレスリリースを発表し、在独日本大使館や領事館を通じて、日本語版が通知された。

 それによると、「欧州各国との規定とは異なり現時点において、ドイツと第三国との間には、想定外のリスクを伴わずに制限なしでの渡航をふたたび可能とする共通のデーターベース・基準や調整プロセスは存在しない。渡航警告については,渡航者の安全を中心的な基準として,9月前にも何度も検証する」とされている。

 さらに「感染が落ちつき、医療体制が整い観光客への適切な安全措置が講じられ,往復の渡航が確実であるなど全体的な状況が許す場所に限り、予定より早く渡航警告を引き下げることも可能である」と記載されており、「渡航警告を解除する際には全体をみて判断する必要がある。感染流行により第三国からEUへの入国が禁止されている限り、当該第三国に欧州から多数の観光客が渡航するということにはなり得ない」とされている。

 また、ドイツ国内への水際対策もさることながら、日本の外務省も現段階でドイツを感染症危険情報のレベル3、すなわち渡航中止勧告を発令しており、現在はドイツに定住ビザ、および定住所をもたない日本人のドイツへの渡航は認められていない状況だ。

 現段階で気になるのは、日本から毎年多くのチーム・メーカーが参加していたニュルブルクリンク24時間に関してだ。2020年のニュル24時間は延期され、9月24〜27日に開催を予定しているが、4月に予定されていた予選レースが中止となったことで、VLNニュルブルクリンク耐久シリーズが予選レースの役割を果たすことになる。

 しかし、現時点では日独両国が渡航中止勧告を発している。ニュル24時間の前に開催されるVLNに参戦し、24時間レースへの参加資格を得る必要があるのだが、そのいずれにも参戦できない可能性が高くなった。今後の状況により、両国間での緩和措置等が取られる可能性もなきにしもあらずだが、渡航でできたにしろ、2週間は隔離される問題もあり、厳しい状況となっている。

 6月15日にはEU加盟国やスイス等を含めたヨーロッパ29ヶ国の国境がふたたび解放され、自由に行き来が可能にはなった。ただ今回のドイツ政府が発令した渡航制限により、日本からは非常に厳しくなった状況だ。ニュル参戦チームの動向が気になるところだ。

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