轟峡を満喫 「銀鈴渓」遊歩道にショートコース 諫早・高来町

銀鈴渓遊歩道の新ショートコースに現存する石造りの農業遺構を説明する増山会長(左)=諫早市高来町

 名水で知られる長崎県諫早市高来町の轟峡を歩いて楽しめる遊歩道「銀鈴渓(ぎんれいけい)」に、ショートコースが登場した。遊歩道のほぼ中間地点と県道136号を結ぶ約400メートル。川のせせらぎが間近で響く空間には、大正時代に築造された石製の土管などが現存し、郷土の歴史に触れる場所にもなりそうだ。
 銀鈴渓は、轟峡と上流部の大渡橋を結ぶ延長1.9キロ、高低差170メートルのコース。岩や滝の間を縫うように歩く自然道だが、市は2018年度から、高来町山林協議会に委託し、案内板などを設置した。

 市は昨年度、遊歩道の新しい楽しみ方ができるよう、ショートコースを整備。山歩きに慣れていない人や時間が限られた人が中間地点から川を渡り、県道を通して折り返せる道をつくった。飛び石を追加し、川が渡りやすいようにした。川の流れを一望できる休憩所も設置する。
 ショートコース沿いには、約6キロ離れた同町の柳原溜(た)め池まで続く土管と、川の水を引く取水口が現存。樹木に囲まれ、人が立ち入ることができない場所だったため、知る人は少なかったという。
 高来町郷土誌によると、柳原溜め池は1915(大正4)~18(同7)年に築造。同協議会の増山忠男会長(86)は「田畑を潤す水をこんな山奥まで求め、石製の土管を敷設したとは驚いた。先輩たちの苦労と開拓魂を伝える近代農業遺産」とたたえる。
 市によると、上流部にも別のショートコースを設け、市民らの利便性を高める計画。

轟峡「銀鈴渓」ルート

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