西武・辻監督悩ます“ポスト秋山”問題 本命金子は9番降格も「野球は打つだけではない」

西武・金子侑司(左)とコーリー・スパンジェンバーグ【写真:荒川祐史】

スパンジェンバーグは適性あり、一方で候補筆頭の金子は打撃に課題

昨オフMLBレッズへ移籍した秋山の定位置、西武の「1番」を務めるのは誰になるのか。13日にメットライフドームで行われたロッテとの練習試合では、打撃好調の新外国人コーリー・スパンジェンバーグ外野手が初抜擢。4打数2安打と躍動した。

辻監督は春季キャンプから、1番打者の人選を「今年はそこが鍵になる」と重視してきた。スパンジェンバーグ(通称スパンジー)は今月2日の練習試合再開以降、前日12日までに8試合に出場し27打数13安打、打率.481、4本塁打と絶好調。その上、指揮官からはもともと「足が速くて選球眼がいい」と評価されており、1番の適性を備えていた。

一方、心中穏やかでないのがこの日「9番・中堅」に回った金子侑司外野手だ。コロナ禍でチーム活動が自粛となる前からほとんどのオープン戦・練習試合で1番を務めてきた金子だが、練習試合再開後は12日までに34打数5安打、打率.147と不振を極めている。

金子は昨季も開幕から32試合連続で1番で起用されたが、打率.209と振るわず3試合でスタメン落ち。その後4試合は1番先発に復帰したが、結局その座を秋山に譲り、専ら9番など下位に収まった。41盗塁で2度目のタイトルこそ獲得したが、与えられたチャンスを生かし切ることはできなかった。

ロッテとの練習試合の2回に死球を受けた西武・金子侑司【写真:宮脇広久】

金子はこの日2打数無安打も、「野球は打つだけではない」と指揮官

9番に“降格”したこの日も2打数ノーヒット1死球だったが、辻監督は試合後「野球は打つだけではない。今日は金子の守りでの2つの素晴らしいプレーで、結果的に勝てたんじゃないかな」と、4回の左中間でのスライディングキャッチと6回の右中間でのジャンピングキャッチを称えた。

今季の1番については「金子であったり、スパンジーであったり、源田であったり、そういうタイプの打者は調子によって、こういうこともありうる」と明言を避けた辻監督。今月6日の中日との練習試合では「1番・源田、2番・金子」の組み合わせも試している。

指揮官は理想的な1番タイプとして金子に期待をかけているようだが、問題は打撃で2年越しの期待に応えられるかどうか。後ろに森、山川、中村ら強力なポイントゲッターが控えているだけに、チャンスメーカーの1番の役割は重大だ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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