失業手当の基本と受給方法を徹底解説!一刻も早く受給するために必要なこととは?

新型コロナウイルス感染症の影響により、様々な事業者が営業の規模を縮小しています。あってはいけないことですが、今回は、失業または転職を余儀なくされた場合「一刻も早く失業手当を受給するために必要なこと」をご紹介いたします。


失業手当の要件チェック!

失業手当とは、雇用保険の被保険者が、退職後失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、1日も早く再就職するために支給されるもので、正式には雇用保険の「基本手当」と言います 。

(1)雇用保険の被保険者期間を満たすこと
失業保険を受け取れるのは、すぐに働く意欲と能力があり、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が12カ月以上ある方です。ただし、倒産や事業所の廃止などにより離職した場合、事業主に契約期間更新をしてもらえなかった場合については、離職の日以前1年間に被保険者期間が6カ月以上ある場合でも受給できます。

正社員でなくても継続して週20時間以上働いていた方には、雇用保険の加入資格があります 。ただし、昼間大学の学生は、一部例外を除き雇用保険加入の対象外ですので、失業手当は受給できません。

(2)雇用保険の受給期間内であること
雇用保険の受給期間は、原則として離職日の翌日から1年間です。離職後しばらく求職活動は控えるという場合は、求職活動を再開する時点で失業手当の申請ができるようになりますが、申請が遅れ受給期間を過ぎてしまうと受給できません。

病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上働くことができない場合は、最長で3年間受給期間を延長できますので、ハローワークで延長の手続きをしておきましょう。

失業手当はいくら受給できる?

失業手当をいくら受給できるかは、「基本手当日額」と「所定給付日数」から計算されます。「1日あたりの受給額はいくらで、何日分があるから総額では最大いくらもらえる」という形です。

(1)基本手当日額
基本手当日額は、年齢と退職前の給与により計算されます。上限・下限があるものの、計算式は、(離職前6カ月の給与の総支給額の合計÷180)×給付率です。給付率は、離職時の年齢、賃金により、45%~80%になります。

(2)所定給付日数
所定給付日数は、雇用保険の被保険者期間や離職理由、離職時の年齢によって決まります。65歳未満で、定年、契約期間満了や自己都合による離職の場合は、一律で被保険者期間に応じて90日~150日です。これに対して、倒産・解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く)、契約期間更新を希望したものの会社が応じなかった場合による離職の場合は、最長で330日になります。

表 倒産・解雇・契約期間更新が拒絶された場合の離職者の所定給付日数

資料:ハローワーク「基本手当の所定給付日数」をもとに執筆者作成

たとえば、32歳で月給15万円の契約社員が3年間勤めた会社が新型コロナウイルス感染症拡大の影響により倒産して失業した場合、最高で総額48万円(基本手当日額4,000円 ×120日間)受け取れる計算になります。

(※)全額を受給できるかは、求職状況などによって異なります 。

給与が高く勤続期間が長い方、失業の理由が会社の倒産などやむを得ない事情の方が失業手当を多く受け取れる仕組みですね。

失業手当を受給するために「離職票」を 早く入手しよう

失業手当を受給するための手続きについて確認しておきましょう。

(1)離職票を持ってハローワークへ
会社は離職日の翌日から10日以内にハローワークに「離職証明書」を提出し 、ハローワークから発行された「離職票」を離職者に交付します。この離職票その他の必要書類を持参して離職者が自分でハローワークに出向き、求職申込と失業手当の受給申請の手続きをします。

ハローワークでは、離職理由の確認がされ、受給資格が決定されます。また、指定の日時に雇用保険受給者初回説明会に出席する必要があります。

(2)離職理由によっては給付制限期間がある
受給資格の決定から、離職理由にかかわらず7日間の待期期間があります。解雇、定年、契約期間満了で離職の場合は、この待期期間が終わったら支給開始となります。自己都合、懲戒解雇での離職ならば、待期期間ののち3カ月の給付制限期間が終わってからの支給開始になります。

(3)失業の認定を受ける
支給開始ですぐに受給できるのではなく、失業状態にあることの確認をされます。原則として4週間に1度、指定された日に管轄のハローワークに行き求職活動の状況等を報告します。このようにして、失業の認定を受けてから約7日後にようやく指定した口座に失業手当が振り込まれます 。

原則としては以上のとおりですが、2020年5月時点で新型コロナウイルス感染症の拡大のため、ハローワークでの手続きも変更があります。雇用保険受給者初回説明会が中止 、失業の認定は 郵送で行う、開庁時間の変更などの対応が取られていることに注意して、まずは管轄のハローワークに問い合わせてみましょう。

一刻も早く失業手当を受給するために必要なこと

会社の倒産などによる失業でも、失業手当を受給できるようになるまでには手続きと手間がかかりそうだということがわかりますね。再就職先が早く決まれば良いですが、その間の生活を支えるために早く失業手当を受給するにはどのようなことができるでしょうか?

(1)離職前に離職理由の確認を
会社がハローワークに提出する離職証明書には、離職理由を記載する箇所があります。離職前に離職者本人が記名押印又は自筆による署名をすることになっていますので、離職理由等の記載内容についても、ちゃんと確認しておきましょう 。

離職理由によって、失業手当の支給開始が3カ月も異なります。離職理由の判定は、最終的にハローワークで会社と離職者それぞれの主張について事実確認を行った上で行われます ので、会社と異なる言い分も主張することができますが、あらかじめ主張に食い違いがない方がスムーズです。

(2)離職票を早く受け取るには
離職者は離職後に離職票が会社から届くのを待って、ハローワークで失業手当の申請をするのが通常の流れです。離職者の立場からすると、離職日に離職票を受け取れるのが良いのですが、会社がハローワークで離職証明書を提出できるのは離職日の翌日から10日以内となっています。

しかも、離職者が離職票を必要としない場合には手続きが不要 とされています。失業手当の受給を考えているなら、離職前に離職票が必要であること、急いで欲しいことを会社の担当者に伝えておきましょう。10日を過ぎても離職票が届かない場合は会社に問い合わせ、それでも会社から離職票が交付されない場合や、会社と連絡が取れない場合などは、ハローワークに問い合わせましょう。

新型コロナウイルス感染症の拡大による影響

会社の経営状態が悪化し、倒産・事業所の閉鎖・営業時間の短縮などで離職を余儀なくされたと認められれば、3カ月の給付制限なしに手厚い所定給付日数で受給できます。

郵送などで時間がかかることも考慮し、自分でできる範囲で手続を速やかに進められるよう、しっかり用意をしましょう。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた労働者への支援策が発表される可能性もありますので、しっかり情報を集めておいてくださいね。

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