エクストリームE:チップ・ガナッシがドライバー契約1番乗り。女性X Gamesメダリストの参戦が決定

 2021年創設予定の独創的フルEVオフロード選手権『Extreme E(エクストリームE)』への参戦を表明した北米の名門Chip Ganassi Racing(CGR)は、シリーズで初となる公式ドライバー契約を発表。全米で数々のモトクロス選手権を制し、2010年の『X-Games』ではWomen Super-Xのメダリストにもなったサラ・プライスが、CGRの歴史上初の女性ドライバーとして起用されることが決まった。

 エクストリームE最初の契約ドライバー発表となっただけでなく、30年以上に及ぶCGRの歴史上初の女性ドライバーともなった27歳のプライスは、わずか8歳でモトクロスのキャリアを開始し、国内のあらゆる地域選手権で17ものタイトルを獲得してきた。

 その実績を買われ、こちらも女性初のファクトリー契約ライダーとして“Monster Energy Kawasaki Race team”に加入し、カワサキのワークスライダーとして『X-Games』でも数々の入賞を飾ってきた。

 モトクロス界の最優秀女性アマチュアとしての記録を保持する成功を収めた後、2012年以降プライスは4輪にも進出。スタジアム・スーパー・トラックやオフロード・トロフィー、バハ1000などのデザート・レースを中心にチャレンジし、2017年にはフィアット・アバルト124ラリーでPPIHCパイクスピーク・ヒルクライムにも参戦して、クラス6位を記録している。

 近年はスタントの専門家として、テレビや映画でドライビングアクターも務めるプライスは、名門CGRのドライバーになった喜びを次のように語っている。

「これは私のキャリアにとっても非常に大きな出来事で、この日を迎えるために全力で取り組んできたことが報われたようなもの。チップガナッシという名前からは、すぐに“勝利”の2文字が思い浮かぶわ」と話したプライス。

「このチームはインディカー、NASCAR、スポーツカー耐久、そしてラリークロスなどすべてのカテゴリーで勝利を飾ってきた。レーサーとして一緒に戦いたいチームの筆頭だし、代表も元ドライバーとして百戦錬磨の男よ。そんなCGRチームの代表としてエクストリームEに挑戦できることを心から光栄に思っている」

モトクロスから転向後、スタジアム・スーパー・トラックやオフロード・トロフィー、バハ1000などのデザート・レースを中心に挑戦を続けるサラ・プライス
先日、シリーズへの参戦を発表したばかりのCGRが、ドライバー起用のアナウンス第1号となった

「2021年シーズンと聞くとまだ遠い感じがするけれど、新しい形式の独創的レースフォーマットや、シリーズが提示する課題に対して、まだやるべきことはたくさんある。私自身にとってだけでなく、気候と環境の問題にとっても注目すべきエキサイティングな挑戦になりそうね」

 このエクストリームEの創設者であり、シリーズCEOも務めるアレハンドロ・アガグも「サラをシリーズに迎えることができて光栄だ。彼女はすでにドライバーとして多くのことを成し遂げてきた」と、歓迎の意を示した。

「今後、CGRのような信じられないほどの実力を誇るチームのサポートにより、彼女はドライバーとして高く評価される存在になるだろう。そしてエクストリームEとしても、初めて公式に認定されたドライバーをアナウンスできたことは素晴らしいマイルストーンになる」

「CGRは彼女の基準を非常に高いところに設定しているし、今後の数週間にわたってライバルチームからもフィールドを賑わすドライバーの発表があることを楽しみにしている」

 この独創的なEVオフロード・シリーズは、すでに気候変動や環境問題によって損傷または大きな悪影響を受けている世界中の過酷な環境を舞台に全5戦で争われ、各地域をまたぐベース基地として、元貨客船を改装した“フローティング・パドック”を採用する。

 開催各国では当地の環境保全活動を啓蒙するアクティビティを予定するほか、人間の干渉の影響を浮き彫りにし、環境の保護と地球の保護に役立つ電気自動車の採用を促進することが主な狙いとされている。

 また、レースフォーマットにも独自のスタイルが導入され、チームは男性と女性のドライバー1名ずつで構成され、ドライバーとコドライバーとして2周のレースごとにワンメイクEVマシンの“ODYSSEY 21”を乗り換え、1ラップずつドライブを担当する形式が予定されている。

シリーズの“フローティング・パドック”として使用される元貨客船の『RMS St Helena』号
シリーズでは今後数週間のうちに、他の競合チームからもドライバー起用のアナウンスがなされる見込みだという

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