元F1ドライバーのウエーバー、ムジェロのコース特性がドライバーへ与える“ダメージ”を心配も開催に賛成

 2020年のF1の開催地としてイタリアのムジェロ・サーキットが候補に挙がっているという噂が流れているが、元F1ドライバーのマーク・ウエーバーは、ムジェロではドライバーに対して猛烈なダメージがあるかもしれないと述べた。

 通常ムジェロでは、ロードレース世界選手権MotoGPのイタリアGPが開催されている。今年のイタリアGPは新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により延期となっていたが、最終的に開催中止となった。

 F1はオーストラリアGP、モナコGP、アゼルバイジャンGP、シンガポールGP、そして日本GPに代わるレースを開催しようとヨーロッパでの開催地を探しており、開催できる見込みのあるサーキットとしてムジェロが挙げられている。

 現時点では2020年シーズンの序盤8戦のスケジュールが明らかになっているが、8戦すべてがヨーロッパでの開催となる。9月4〜6日には第8戦イタリアGPが予定されており、ムジェロはイタリアでの2戦目の候補だ。

2019MotoGP第6戦イタリアGP 最終ラップ

 ウエーバーは、ムジェロは近年F1を開催しているサーキットとは大きく異なるコースであり、7カ月もレースができないという前例のない期間を過ごした直後では、ムジェロの超高速レイアウトがドライバーへ大きな打撃を与えるかもしれないと語った。

 F1公式サイトのポッドキャスト『F1 Nation』のインタビューに応じたウエーバーは、「もしムジェロでレースをしたら、マシンに乗って半分も走れば彼らの首は折れてしまうだろう」と話した。

 ウエーバーは2003年にジャガーで、2012年にはレッドブルで、それぞれムジェロでテストを行っている。走行後の満足感の点で言えば、ムジェロで10周走るというのはアブダビで1000周走るのに等しいとウエーバーは述べているが、その違いは速さのせいだという。流れるようなムジェロのレイアウトは、大きなGフォースを生み出し、それに加えて1kmの長いストレートがある。

 だがウエーバーは、今年の秋にムジェロでF1を開催することに賛成している。

 シーズン開幕が待ちきれないというウエーバーは、「素晴らしいことになるだろうと思う。僕はそこ(ムジェロ)でテストをしたことがあるけれど、本当に速い。“かかってこい!”という感じだ」

「今、彼らはまるでケージに入れられたライオンのようだ。レースの準備はできている。錆びついている状態から、“切れ味の良い”状態に戻るだろう」

「F1では、自分たちを落ち着かせるために少し時間が欲しい。エンジニアリング面やテクニカル面もそうだ。でも(レースは)すぐにやってくる」

「もし大きな自信があれば、それをレースに持ち込めばいい。でも少し尻込みしているのなら、そのドライバーは『少しトリッキーだ。難しかった』などと言うだろう」

 メルセデスを含む複数のチームは、ドライバーやピットレーンで作業をするスタッフのためにプライベートテストを行う。これについてウエーバーは、テストによって他のチームよりも大きなアドバンテージを持ってしまうとは思えないと言う。

「型落ちのマシンなどを走らせることができるドライバーも数人いる。だが最終的にはオーストリアでピットレーンを出た時に、基本的にはレースをして本格的なテストセッションを行うことになる。すぐに速くなるだろう」

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