連鎖を断ちたい

 分厚い報告書をめくってみて“助走”の長さを改めて思った。本県開催の「内々定」は2002年1月、内定はその7年後の09年、正式決定は11年。14年秋に県内を沸かせた国民体育大会(国体)と全国障害者スポーツ大会。どの開催地もおそらく事情は同じ▲新型コロナ禍で全国規模のスポーツ大会の“中止ドミノ”が春から続く。歯止めをかけるとしたら夏の高校野球か、丁寧な準備を長く積み重ねて短い本番を迎える国体かと考えていたが▲三反園訓鹿児島県知事が先日、秋の国体の年内開催断念を表明した。「選手と県民の安全」が理由らしく、1年程度の延期を望んでいるとされるが、調整は難航しそうだ。簡単に言えば後が詰まっている▲一昨日の運動面に荒木健治・県スポーツ協会理事長の寄稿が載った。〈スポーツに関わるすべての人は困難を克服して結果を出す努力をしている。主催者も同様でなければ…〉と再考を促す内容▲難しい判断には違いない。しかし、コロナによる「イクナ・クルナ」の連鎖はどこかで断たなければならない。それには「工夫が必要だったし、神経も使ったけれど、大丈夫でしたね」という成功体験が不可欠▲状況をぎりぎりまで見定めるという選択はなかったか、と考えてしまうのは、他県の気楽さ-なのだろうか。(智)

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