押入れをリフォームしてクローゼットやベッド、書斎に。費用や注意点を解説

「自宅の押入れが物置化している…」「もっと空間を有効活用したい!」そんな方におすすめなのが、押入れのリフォーム、リノベーションです。プロの手にかかれば、自宅の押入れがクローゼットやベッド、書斎などに生まれ変わります。今回は、押入れをリフォームする際にかかる費用や施工内容、知っておきたい注意点をご紹介します。

《目次》- 押入れをクローゼットにリフォームする目的

押入れをクローゼットにリフォームする目的

まずは、押入れをクローゼットにリフォームする目的から考えていきます。一体どのような理由でリフォームする人が多いのでしょうか?

押入れが使いづらく、もっと有効活用したい

もっとも多い理由として、「押入れの有効活用」が挙げられます。一般的な押入れは奥行きが80cm以上あるため、奥にしまった物を取り出すのに手間がかかります。したがって、何かと手間に物を置きがちですが、そうなるとスペースを有効活用できません。十分な収納量がありながら、隅々まで使えないのはもったいないことです。

また、押入れには「中敷居」と呼ばれる上下2段の仕切りがあり、これが押入れの使い勝手を悪くしている一因といえます。押入れをクローゼットにリフォームする際は、ほとんどのケースで中敷居を撤去する工程が発生します。

和室から洋室にリフォームする際に、押入れもリノベーション

和室から洋室にリフォームする際、押入れをリノベーションする方が増えています。とりわけ多いのは、寝室のリフォームです。ベッドを設置すると布団を敷かなくなるため、これまで布団を収納していた押入れが不要になります。そのスペースをクローゼットにしたり、本棚やふすま書斎にしたりできるわけです。

押入れをクローゼットにリフォームする際にかかる費用と工期の目安

服の重さに耐えられるように、突っ張り棒でなくパイプの設置がおすすめ

押入れをクローゼットにする際の費用や工期についてご紹介します。なお、実際の費用は施工内容に左右されるため、あくまでも目安としてご覧ください。

押入れをクローゼットに全面リフォームする場合

全面リフォームの場合、費用相場は約10万~20万円前後となります。一般的な見積もりを例に、その内訳を見ていきましょう。

基本費用(全面リフォーム)

押入れの解体費用:約1万円前後
ハンガーパイプの取り付け費用:約1万円前後
扉の設置費用:約6万円前後
諸経費(廃棄物諸費費用など):約2万円前後

オプション費用

クロスや床の補修・張り替え費用:約1万2000円前後
板段の追加費用:約5000円前後

トータル費用

小計:約11万7000円
消費税:約1万1700円
合計:約12万8700円

これらに加え、押入れに「天袋(※1)」がある場合は、敷居を取り除く作業が発生します。通常よりも費用が割高になることを覚えておきましょう。またクロス・床の補修や、板棚の追加はオプション扱いのリフォーム会社が多いです。見積もり段階で、どの作業にどれだけの費用がかかるか、細かくチェックしてください。

※1.天袋……押入れの上部にあるふすまが付いた収納部分

ウォークインクローゼットの場合

奥行きの広さを活かし、押入れをウォークインクローゼットにリノベーションすることも可能です。通常、リノベーション費用は約20万~50万円前後と少し高くなります。

押入れをウォークインクローゼットにするパターンは、大きくわけて2つあります。ひとつは「既存の押入れスペースを流用」するパターンです。リノベーション費用は20万円程度におさまりますが、ウォークインクローゼットとしては手狭に感じるかもしれません。もう一つは「既存の押入れスペースを拡張」するパターンです。壁の増設といった大がかりな工事が必要となるほか、費用も約30万~50万円前後と増加します。流用パターンに比べて割高ですが、その分だけ広々としたスペースで快適に利用できるでしょう。

中敷居を撤去するだけの簡易工事

押入れの中敷居を撤去するだけの簡易工事も可能です。気になるリノベーション費用は、工事費・諸経費を含めて約2万~3万円程度におさまるでしょう。先述した通り、中敷居は押入れの使い勝手を悪くする要因のひとつです。これを撤去するだけで、既存の押入れも使いやすくなるでしょう。

部屋の雰囲気に合わせて扉を交換する場合

内部はそのままに、押入れのふすまを扉に交換したい場合もあるでしょう。クローゼットに使われる扉には、「開き戸」「折れ戸」「引き戸」の3種類があります。種類によって本体価格が異なり、開き戸、折れ戸は約6万~10万円前後、引き戸は約7万円前後です。そのため、工事費・諸経費を含めて約10万~15万円前後におさまるでしょう。なお、引き戸は既存の押入れの枠を流用できるため費用を抑えられます。

ふすま紙を張り替えて補修する工事

押入れのふすま紙は、1枚あたり約2000~1万円前後で張り替えられます。畳屋やリフォーム会社に依頼するのが一般的ですが、自身でDIYすることも可能です。コストを抑えられる反面、仕上がりは見劣りする可能性があるため注意しましょう。張り替え作業が難しい場合は、プロに一任するのが無難です。

押入れをベッドや書斎、本棚にリフォームした例を紹介

押入れはクローゼットのみならず、ベッドや書斎、本棚にリフォーム可能です。そこで、実際のリノベーション例をいくつかご紹介します。

子ども用のベッドに!柵を付けておしゃれにリノベーション

Qoo Bee Little さんのインスタグラムより

中敷居に柵を付けることで、子ども用ベッドにリノベーション可能です。クロス・壁紙や床を可愛らしいデザインにすれば、より喜ばれることでしょう。上段はベッドに、下段は従来通りの収納スペースとして活用すると効率的です。また、中敷居を境に上段・下段と分け、2段ベッドにもできます。小さなお子さまが2人いらっしゃるご家庭の場合、2段ベッドを検討してみてはいかがでしょうか。

注意点として、押入れをベッドにするには「中敷居の補強が必要」となります。そもそも押入れは、小物を収納する場所であって人の就寝スペースではありません。たとえお子さまであっても、人が横たわるには不十分な強度です。場合によっては、棚板の中央に“たわみ”が発生したり、底抜けしたりする可能性もあります。中敷居の底面に角材などをあてがい、人の重みに耐えられるよう補強しなければなりません。

また、押入れは湿気が溜まりやすい場所です。夏場は特に寝苦しさを感じるため、布団の下にマットや“すのこ”を敷くと快適に眠れるでしょう。デザインは大切ですが、快適性も考慮してリノベーションしたいところです。

書斎や机に変身!棚を取り付けて本棚にもできる

押入れはワークスペースや“ふすま書斎(押入れ書斎)”にリノベーション可能です。大人の秘密基地といった仕上がりで素敵な空間になります。奥側に棚やカラーボックスを取り付け、本棚として使うこともできます。予算約2万~5万円前後で行えるでしょう。できるだけコストを抑えたい場合、押入れのDIYリフォームも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

押入れをリフォームする際の注意点

押入れのリフォームには、いくつかの注意点があります。押入れの構造に着目し、以下の2点をしっかりと把握しましょう。

床の補修工事が必要な場合も

押入れの床は、一般的な部屋の床とは構造が異なります。大抵は下地を組まず、ベニヤ板のみを張っているケースが多く見られます。特に、これまで布団のみ収納していた場合は、クローゼットやベッドにリノベーションすると、床が底抜けするかもしれません。リフォーム会社に問い合わせ、床の補強工事の必要性と費用を確認しましょう。

なお、床の補強工事の費用相場は、約1万~2万円前後です。フローリングへの張り替えが基本となるため、住宅リフォームと同時に施工してしまうことをおすすめします。もし可能であれば、押入れのリフォーム前に床下を確認してもらいましょう。シロアリ被害などがある場合、追加工事が必要となります。

結露によるカビ防止には断熱材やルーバーで対策

押入れリフォームでもっとも重要なのは、結露対策です。結露によりカビが繁殖し、押入れが傷んでいるケースもあります。もし押入れの劣化が原因でリフォームする場合、住宅全体に劣化がないか見直すことをおすすめします。

結露によるカビの繁殖は、断熱材を用いた工事や、ルーバータイプの扉を使って対策します。とりわけクローゼットにリフォームする場合、通気性に優れるルーバータイプの扉が有効です。内部に湿気が溜まりにくく、カビやダニから大切な衣服を守ってくれます。念のため、除湿剤などを設置しておくと安心です。

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