コロナ禍で溶けていく日本、流されるメディア…田中康夫が苦言

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。6月2日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、作家の田中康夫さんが“日本のメディア”について述べました。

◆田中康夫「日本のメディアはチキン」

アメリカのトランプ大統領は、TwitterやFacebook、Googleを名指しし、SNS規制の大統領令に署名。一方、ミネソタ州ミネアポリス市で黒人男性を白人警官が死に至らせた事件で、全米各地での抗議デモは暴動へと発展。Twitter社は「#BlackLivesMatter」を掲げ、冷静な連帯を呼びかけています。

今回、Twitter社に限らずネット企業各社が声明を発表し矜持を見せていますが、日本は言い逃れの一種でもある"ご飯論法”が深化していると田中さんは言います。

「賭け麻雀だが賭け事ではないと言っている人たちも専門家会議の議事録を『求めがあれば作ります』って、この上から目線をそのままストレートニュースに書いちゃうメディアはチキンだと思う」と揶揄します。

◆このままでは溶けてしまう……日本のメディア

5月18日に内閣府が2020年の実質GDP予測は−3.4%と発表しましたが、1ヵ月前に安倍首相は経済対策で3.8%押し上げると発言しており、そのとき田中さんは耳を疑ったそう。なぜならIMF(国際通貨基金)は世界経済は−3.0%、日本も−5.2%になると予想しており、この乖離に言及しないメディアに愛想を尽かします。

MCの堀潤は「(新聞記者が)総理と普段から情報共有のために関係を築くというのであれば、きちんと一刺しする時に一刺しして欲しい」と述べると、田中さんは同意しつつ「仇じゃないんですよ、国民とか人間のために助言しようということだと思うんだけど、(現状は)長い物に巻かれている」と指摘します。

そして、田中さんの友人でもある電通ホールディングスの山本敏博社長に向けたツイートを紹介し、「人間は体温があるし、気持ちがあるはず。それが組織に入ったときに言えなくなってしまうようなら"#Tokyoインパール2020”のまま。彼には奮起してほしい」とかつて無謀と言われた作戦をもじったハッシュタグとともに、エールを送っていました。

元財務官僚でニューヨーク州弁護士の山口真由さんは、この問題の根底には政官の利権構造の他に、都合の悪い情報を隠蔽するなど「国民をバカにしてきたことがあると思う」と言います。それだけに「今後は徹底的に透明化し、マスメディアはそのなかから取捨選択して本質的な議論をする構造を」と訴えます。

一方、堀潤は自戒を込めてメディアの責任について述べると、田中さんは「政官業が利権分配のトライアングルなら政官業学(間違った御用学者)報(メディア)が現状追認のペンタゴン」と指摘。先般の賭け麻雀問題を引き合いに、「冤罪の民間人が実名報道されるのに産経と朝日の人はいまだに実名が出てこない。このダブルスタンダードを変えないと日本のメディア自体が溶けてしまう」と案じていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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