ジェレミー・ザッカー『ラヴ・イズ・ノット・ダイイング』弱冠24歳、奇跡のシンガー・ソングライター登場

 アルバム・デビューを前に20億回以上の楽曲総再生数を果たした奇跡のシンガー・ソングライターの登場です。1996年ニュージャージー生まれ、大学で分子生物学を学ぶ傍らSNSに投稿したEPが大ヒットし17年にメジャー・デビュー。翌年リリースした「カムスルー」が10億回以上のストリーミング数を記録一躍世界に注目されました。

 星の数ほど投稿される楽曲の中で10億の心をつかんだ理由は何だったのでしょう。下積みのバンド経験もなかった彼が曲作りからプロデュースまでを一人でこなし琴線を揺さぶる歌とそれをバックアップする緻密なサウンドを作れたのはネット環境で幼い頃から先人の音楽を聴いていたからではないでしょうか。

 シングル「オー、メキシコ」は75年のジェイムス・テイラーに敬意を表したとのことですが、ジェレミーの詞にも、時には自虐的といえる繊細なジェイムスの影響が。サウンドもやはり同時代の「アイム・ノット・イン・ラヴ」(10cc)などの繊細なサウンドの影響が感じられます。

(ユニバーサル・2500円+税)=北澤孝

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