カニエ・ウェスト『ジーザス・イズ・キング』ラップとゴスペルを融合した傑作

 シカゴ出身のプロデューサー=ラッパー、カニエ・ウェストの最新作です。05年の2nd.アルバム以来9作連続して全米1位に輝きました。シカゴの美術大学をドロップ・アウトし、00年J・Zのプロデューサーとしてキャリア・スタート。03年にプロデュースしたアリシア・キーズの楽曲がグラミーを受賞し一躍注目を浴びました。

 さて『ジーザス・イズ・キング』と題された本作はラップとゴスペルを融合した傑作と言えます。ゴスペルは黒人教会の礼拝時での司祭と教徒のコール&レスポンスから生まれました。つまり司祭がラッパーであり教徒がゴスペル隊という役割。アフリカのリズムと讃美歌の融合がジャズになったのと同様アメリカン・ミュージックのベースであり、カニエのこのアプローチは斬新であると同時に伝統的なスタイルとも言えます。

 カニエはさらにこのコンセプトを“サンデー・サービス”(日曜礼拝)というゴスペル・イベントでライヴ化、昨年のコーチェラ・フェスティヴァルでも大きな反響を呼びました。

(ユニバーサル・2500円+税)=北澤孝

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