横浜港運協会の藤木会長、退任表明 カジノ横浜誘致反対に注力

横浜港運協会の会長職退任を表明した藤木幸夫氏(中央)=17日午後、横浜市中区

 横浜港の港湾事業者でつくる横浜港運協会の藤木幸夫氏(89)は17日、会長を退任すると明らかにした。横浜市内で開いた総会で、「8月で90歳になる。身を引いて新しい体制をつくってもらう」と表明し、相談役となることで了承された。後任の会長には副会長で長男の幸太氏(65)=藤木企業社長=が就任した。政財界に多大な影響力を持つ重鎮が主要な肩書を下ろすことで、多方面に波紋が広がりそうだ。

 藤木氏は今後、市が山下ふ頭への誘致を表明しているカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の整備計画撤回に注力する方針。一般社団法人「横浜港ハーバーリゾート協会(YHR)」の会長職に専念し、カジノに依存しない再開発構想の具体化を図るという。

 藤木氏は1997年、横浜港発展の中心的役割を担う港運協会(現在約240社加盟)の会長に就任。国際競争力を高める港湾物流政策「国際コンテナ戦略港湾」の構想を政府に提案して実現を図るなど、物流機能強化に尽力した。政権中枢や与党幹部にも影響力があるとされ、県政界でも存在感を示してきた。

 IRを巡っては、2019年5月にYHRを設立し、会長に就いた。同年8月に林文子市長が山下ふ頭への誘致を表明すると、直後の会見で「山下ふ頭はわれわれの聖地。命を張って反対していく」と猛反発。市が立ち退きを求めても退去しない考えを示していた。林市長は17日の会見で、「一つの考えとして受け止めていた。今後は分からない。また意見を伺う」と述べた。

 藤木氏は藤木企業の会長。横浜エフエム放送社長、県野球協議会会長、社会福祉法人希望更生会理事長、がん医療と患者・家族を支援する会会長など多数の役職を務めている。

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