コロナ婚活、分かれた明暗 勝者と敗者の決定的違い

コロナ禍で増えたオンラインお見合い。勝者と敗者の明暗を分けたものとは?

 新型コロナウイルスの感染拡大で一時は停滞していた婚活市場も活気を取り戻しつつあるようだ。結婚相談所の経営者で『となりの婚活女子は、今日も迷走中』の著書もある大西明美氏によれば、「オンラインお見合い」から真剣交際に発展するカップルが急増しているという。直接会えなくても婚活に成功した人、失敗した人の違いについて教えてもらった。

■リアルより高い交際率

 「オンラインお見合いなんて婚活にならねえ」。新型コロナウイルスの流行で外出自粛ムードが広がり始めた3月頃、大半の婚活者はこう考え、何も活動をしていなかったかもしれません。しかし、その裏で実はすごいことが起きていました。

 私が経営する都内の結婚相談所では、4月7日に7都府県で緊急事態宣言が発令される1カ月以上前から、Zoomなどのビデオ会議システムを活用した「オンラインお見合い」に活動の場を切り替えていました。緊急宣言が全国で解除された現在も、原則オンラインお見合いを継続しています。

 外出自粛要請が段階的に緩和される中、なぜオンラインお見合いを続けるのでしょうか。もちろん、感染リスクをなお警戒しているという理由もあります。しかし実は別の理由があるのです。

 それは、オンラインお見合いから連絡先の交換に進む交際成立率が、リアルお見合いと比べて倍以上も高いからです。リアルお見合いの場合の交際成立率が全体の3割ほどであるのに対し、オンラインお見合いの場合は5〜6割、多い週には8割ほどが交際に進むのです。

■粗が出にくいメリット

 それには主に3つの要因が考えられます。

 1つめは、遅刻がほぼないこと。通信トラブルがあったとしても、別の通話アプリや電話に切り替えることができます。遅刻のような一方的な待ちぼうけリスクがありません。マイナス要素となる機会がないというのは大きいです。

 2つめは、リアルお見合いと比べて荒が出にくいという特徴があります。リアルお見合いでは、男性がどのようにドリンクを勧めたり、お会計したりするのかを女性は細かくチェックしています。

 お見合いでいくら盛り上がっても、お金を出し渋るなどの姿を女性に見せてしまったら、一気に交際成立率が下がります。オンラインの場合はそのリスクが少ないのです。

 3つめは、リアルで会うよりも情報量が少ないことです。「まだ少し分からないところがあるから、とりあえず実際に会ってから考えよう」と、交際ステップへ進むきっかけになりやすいのです。

■「真剣交際」次々と

 私の結婚相談所では、オンラインお見合いを実施する前の2月、18組のカップルが交際していたのですが、ピーク時の5月には40組になり、6月現在も36組となっています(40組のうち2組はすでに成婚退会しました)。

 さらに、オンラインお見合いによるメリットはこんなものではありませんでした。緊急事態宣言が全国で解除されてからの約1カ月で、40組のうち10組以上が結婚を前提にした「真剣交際」に突入しました。すべてオンラインお見合い組です。

 私は仲人歴11年目ですが、かつてこれほどまでの速いペースで真剣交際に発展したことはありません。一体どんな背景があるのでしょうか? 会員ひとりずつに聞き取っていくといろいろな事がわかりました。

■創意工夫がものを言う

頻繁なコミュニケーションが愛を深める

 オンラインお見合いから真剣交際に進んだ人たちの行動には、主に3つの共通点がありました。

➀週に1〜2回の電話

 外出自粛中にデートをするのは、社会的にも許されないことでした。その価値観が一致したカップルは、デートの代わりに、土日のうち1日は1時間ほどの電話(LINE電話含む)をすると決めていることが多かったです。

 7月に成婚退会予定の2組のカップルは、週に2回の電話をしていました。平日1回、休日1回といった感じでした。やはり電話であったとしても接触回数の多さは、絆を深める力になっていました。

➁週末のオンラインデート

 電話とは別に、週末にオンラインデートをしていました。LINEでつながっている友達にプレゼントを贈ることができる「LINEギフト」を活用。男性が美味しいお菓子を女性にプレゼントしてお茶会をしたり、お互いに作ったつまみを見せ合いながらオンライン飲み会をしたりと、みなさん創意工夫していました。

 ネットフリックスやAmazonプライムなどで同じ時間にそれぞれのスマホやパソコンで同じ映画を鑑賞しながら、チャットで感想を言い合うデートをしたカップルもいました。

③メッセージのやりとりはほぼなし

 リアルで会ったことのない人とLINEでやりとりを行うのは難易度が高すぎます。オンラインお見合いは空間を超えた出会いです。メッセージは時間を超えたやりとりです。

 時間も空間も超えた相手と毎日メッセージのやりとりを行うのはどう考えても「無理ゲー」です。やはり、時空のどちらかを超えたら、時間か空間を一致させる努力は必要だと言えます。

■まるでダメだった人の特徴

オンラインお見合いに向かない人とは?

 一方、オンラインお見合いがまるでダメだった人にも特徴がありました。

・面倒くさがる人

 オンラインでのやりとりをしなければ、コミュニケーションが深まらないのに、何もやろうとせず、ただリアルデートができるまで待っていた人です。

・アレンジ力がない人

 何もやろうとしない人よりはマシです。ただ、直接会えない期間のコミュニケーション方法がさっぱり思いつかない人は、すぐに相手と疎遠になりました。表見的には、面倒くさがる人とほぼ変わりません。

・リアルで会えないことにただ怒っている人

 男性にとても多かったのです。「自粛中と言っても強制ではない。婚活しているのになぜ直接会えないのか」とひたすら怒っていました。

 社会的な要請を無視しているうえに、相手の健康への気遣いも皆無ということでモラハラのにおいすらしました。もちろん交際は速攻終了です。

・無理に会おうとする人

 「自宅でデートをしませんか」と誘う男性も意外と多くてびっくりしました。自宅なら感染リスクが少ないからという気遣いかもしれませんが、会ったことのない人の家にいきなり行くのは女性にとって怖すぎます。

 「15分だけ会いましょう」などと言う男性もいました。なぜ朝ドラの時間ぐらいでデートができると思うのでしょうか。そんなことできませんよね。身の危険を感じて女性から交際終了を告げるケースが多かったです。

■成功した人の特徴

 では、オンラインお見合いがうまくいった人の特徴を人間性に焦点を当てて見ていきましょう。

・非日常を楽しもうと決めた人

 「こんなことは人生に何度もないから、もう楽しんでやる」と試行錯誤を重ねた男性がいました。例えば、お互いオンラインゲームが好きということで、ペアになってサバイバルゲームをして仲を深めていました。

・相手の危機管理意識を受け入れられた人

 「相手はどこまで今のコロナに対して危機管理意識を持っているのか」と考え、対応していた人です。相手からすれば、「自分を尊重してくれる人」と好印象になります。

・「いつか会える」と励まし合えた人

 外出自粛中は、いつまでこの状態が続くか分からず不安が押し寄せますよね。そのとき、「ずっとこんなことが続くわけじゃないから大丈夫」とお互いに励ましあいながら前向きにコミュニケーションできた人です。前向きな人とは重ねて会いたくなるものです。こうして二人の想いを成長させることができました。

■オンラインだからこそ育つ愛

 「オンラインで出会って、安心してやりとりができて、一緒の時間を過ごすと楽しい。ましてや直接会ったらもっと楽しいだろうな」

 こうお互いに思えるのは、オンラインお見合いしかありません。オンラインだからこそ育つ愛があります。かえってリアルお見合いよりも信頼関係を積み上げやすかったとも言えます。

 オンラインお見合い・デートはまるでさなぎのようなものです。はたから見ればただ止まっているように見えますが、中では飛び立つための猛烈な準備をしています。

 オンラインお見合いからのリアルデートは、信頼関係を積み重ねた上での出会いなので、結婚を前提とした真剣交際へ一気に進む力があります。

 もしかしたら、この先も緊急事態宣言が発令され、オンラインでしか会えないことも起こるかも知れません。そのたびに、婚活を休んだりやめたりするのではなくて、オンラインお見合いをしていきましょう!

 素敵な出会いがあなたに訪れますように。(婚活アドバイザー 大西明美)

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