世帯年収590万、30代夫婦「第二子、家、車。全部叶いますか?」

今回の相談者は、30歳、1人の子持ちの会社員女性。マイホームを購入して、第二子も欲しいけれど、お金に不安があるといいます。車の買い替え時期も迫っているそうですが…。FPのたけやきみこ氏がお答えします。

5年以内に住宅を購入したいです。現在半年の子どもがいますが、2人目もゆくゆくは欲しいと思っています。また、車もそろそろ買い替えの時期に来ています。

すべて叶えることは可能なのかとても不安です。また、それぞれどのくらいの金額であれば可能なのか全く検討がつきません。

<相談者プロフィール>

・30歳、女性、既婚

・同居家族:夫、35歳、会社員

・子ども:1人(0歳)

・職業:会社員

・居住形態:借家

・毎月の世帯の手取り金額:40万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:110万円

・毎月の世帯の支出目安:25万円

【支出の内訳(25万円)】

・住居費:9.5万円

・食費:3万円

・水道光熱費:2.2万円

・教育費:なし

・現在の負債総額:なし


たけや: 子ども、マイホーム購入、そして、マイカーの買い換えを叶えたいというご相談です。あらかじめに私見ではありますがご回答をさせていただくと、全てを叶えることはできます。ここで気を付けたいのが、それぞれを購入し叶えることはできますが、納得するものを購入できないと、後々後悔することになります。特に、マイホーム購入は大きな買い物です。

マイホーム購入には物件の20%の現金を用意

マイホームの購入には住宅ローンを組むことになると思います。そして、購入に伴う諸費用として物件価格の20%程度の現金を準備しておくというのが一般的な考え方になります。この物件の20%相当分は、物件の登記費用、ローンを契約する際にかかる諸費用、また、手付金、そして、不動産会社が販売仲介したものには不動産仲介料、このほか、引っ越し費用や新居のための新しい家電や家具などの費用も想定しています。

5年以内に購入する前提で、5年後の貯蓄を試算してみましょう。

<年間貯蓄額>
毎月の貯蓄額:14万円
ボーナスからの貯蓄額:45万円
年間貯蓄額:(14万円×12カ月)+45万円=213万円

毎年213万円の貯蓄ができると仮定すれば、毎年の積み立て額1065万円と、現在の貯蓄総額を合計すると5年後には1410万円が貯まっています。ここから、マイホーム購入のための諸費用を捻出することになります。

物件価格が3000万円なら600万円を、4000万円なら800万円です。金額の面だけを考えるなら、マイホーム購入は実現できます。

現在の家賃を参考にすると、住宅ローンの借り入れ額は約3000万円と考えることができます。元利均等返済、金利1.5%、返済期間35年の設定で独自に試算したものです。毎月の返済額は約9.2万円となります。この条件で、5年後の夫40歳、妻35歳の時に購入して、35年間の住宅ローンを支払い続けることは可能かどうか、よく検討をしましょう

マイホーム購入に焦りは禁物

マイホームの選択肢はさまざまです。どの地域に住むのか、マンションか戸建てか、新築か、中古か。大雑把な分類だけでも、これだけのことを決める必要があり、決めるまでには時間がかかります。マイホーム購入は大きな買い物ですので、失敗しないためには何度も物件やその物件の地域をよく見てまわることが重要です。通勤に負担がないアクセスかどうか、通勤時間帯の時刻表や、駅の混み具合も調べておきます。保育園の場所は、新しい生活が始まってから負担として見えてくるところです。

物件の価格やデザイン、内装ばかりに目がいかないように、実際の生活をイメージできるように検討をしてください。不動産会社の営業トークにも冷静に対応しましょう。

働く女にとっての「第二子の壁」

貯蓄が順調にすすめば、マイカーの買い換えも可能です。現金で購入するのか、サブスクリプションのサービスを利用するのか、費用の掛け方にも選択肢がありますから、ご夫婦で相談してみましょう。家族4人になれば、ワンボックスカーがいいと感じるようになるかもしれませんので、乗り換えが容易な方法を選ぶのもいいでしょう。

そして、2人目の子どもを授かるタイミングは、仕事を持つ妻にとって重要と考えます。産休・育休明け、保育園入園までのながれをシミュレーションし、子どもを預けられない空白時間がないか検証します。また、保育園が第1子と、分かれてしまった場合の送迎のシミュレーションなど、実現しそうな事態をあらかじめ考えておきます。子どもを産みたいと想定する月から逆算してお子様を授かるようにタイミングを考えます。

2人目は、1人目よりも、色々と考えなければならないことが多いので、2人目の壁に悩む女性もいます。私自身もそのひとりで、仕事と保育園申込みのタイミングを逃し、2人目が生まれたのは第1子誕生から5年後でした。

保育園では2歳児クラスくらいになると、2人目の子どもを授かる家庭が多くなり、子どもも弟・妹が欲しいなどと口に出すようになり、2人目問題に焦ってしまうという経験をしました。

本当にすべてを叶える必要があるのか今一度熟考を

子どもは、生まれた瞬間から、そのあとにかかる教育費用については、大まかに計算することができます。学費以外にも、習い事などもゆくゆくはするようになるでしょうから、現在のような貯蓄額はできなくなります。

今後は支出は増えていきますが、逆に、貯蓄はできない家計にシフトしていきます。無駄な支出はせずに、しっかり働いて、がっちり貯めてください。

ご相談者様がおっしゃる「すべてを叶えることは可能なのかとても不安です」という気持ちになってしまう理由が気になりました。車は生活をしていくうえで必要な移動手段だとしても、子どもやマイホーム購入は必ず叶えなければならない必須の条件ではないものです。
これらがご夫婦の希望であるとするのであれば、叶えていただきたいと考えますが、ただ、それが心の重荷になってしまうことにならないように、と感じました。

マイホーム購入は納得いく物件がいつ現れるかはわかりませんし、二人目のお子さんの件も欲しい時に授かるとは限りません。そのタイミングが来た時に、貯蓄の準備は大丈夫と思えるように準備をしてください。

どうか柔軟な気持ちをもって、ご夫婦で話し合いながら、すすめてみてください。

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