都知事選きょう告示

 「現職の強み」は、選挙報道でよく見る定型句の代表格だ。日々の公務がそのまま自身のPRに直結し、選挙戦では在任中の実績を強調、施政の継続や「総仕上げ」も訴えて投開票日のゴールへ…は確かによくある構図の一つ▲きょう告示される東京都知事選。この春から数カ月間、現職の小池百合子氏をテレビで見ない日はおそらく1日もなかった。「都民の命と健康を守る」-新型ウイルスと闘う姿を存分にアピールして2期目の審判に臨む▲もっとも「オーバーシュート」「ロックダウン」など横文字の連発は評判がよくなかった。「東京アラート」の発令を示す都庁舎とレインボーブリッジの赤いライトアップには長崎で首をかしげた。それ、みんな見物に行きたいかも…▲強みの一方で、過去の仕事ぶりを細かに検証されるのは現職の宿命でもある。待機児童ゼロ、満員電車ゼロなど初当選時に公約に掲げた“七つのゼロ”は「ペットの殺処分」を除く6項目が道半ばらしい▲昨日は立候補予定の5人による共同会見が開かれた。コロナ対策の評価や五輪の行方、「一極集中」の未来など興味深い論点は多い▲「フルゲートだが頭(1着)は不動」は都内に住む競馬通の友人の見立てだが、さて実際のレースは。気楽な外野席からしっかり眺めておきたい。(智)

 


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