ロッテ井口監督、開幕直前に激白! 日本一へ「思い切った選手起用する」

オンライン取材で今季にかける意気込みを語ったロッテ井口監督

プロ野球がいよいよ開幕、期待ふくらむ指揮官に独占オンライン取材

6月19日。プロ野球2020年シーズンが、いよいよ開幕を迎える。本来なら3月20日にスタートしていたはずの今季は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期。予定より約3か月遅れで、開幕にこぎ着けた。

当面は無観客試合となるが、ファン待望のシーズン到来。だが、ファン以上に開幕を迎える喜びを感じているのは、実際にプレーする選手であり、コーチであり、監督なのかもしれない。来たるシーズンに向けて「期待して下さい」と笑顔ながらも眼光鋭く語るのは、ロッテ井口資仁監督だ。就任3年目を迎える指揮官は、Full-Countの独占オンライン取材に応じ、優勝にかける不退転の決意を語った。

誰も想像し得なかった活動自粛と開幕延期。緊急事態宣言が発令された後は、選手はそれぞれ自主練習という形で春キャンプに作り上げた体とスキルの維持・向上に努めた。それまで何の疑いもなく享受していた「野球ができる日常」が、実は当たり前ではなかったと気付かされた時間でもあった。再びチームで集結した時、井口監督は選手の意識の変化を感じ取ったという。

「うちは他球団より少し自粛期間が長かったんですけど、集合した時に選手の体の出来が思った以上に良かった。みんな自分の課題を見つけて、自主練習ではいろいろなことをやっていたんだと確認できましたし、開幕がいつになるか分からない中でも、やるべきことをやってくれていたのは本当に良かった。この期間で、みんな野球をやりたいという気持ちが強くなったと思います。また、こういう時期だからこそ、我々の仕事というのは、ファンの皆さんに勇気や希望を与えることだと再認識できたんじゃないですかね。僕も含め、この時期まで野球をやっていなかったことはないと思うので、みんなワクワクして開幕を迎えられると思います」

にわかに生まれた“おうち時間”。「初めてですよ。ゴールデンウイークに家にいるなんて、まずないですから」という井口監督は、とにかく映像を見まくった。

「キャンプからオープン戦を含め、各選手の映像を全部見直しました。特に調子の悪かった選手には、練習が再開した時はこういう話をしようとか考えながら、映像を見てかなりの時間を過ごしましたね。もちろん、昨年のゲームを振り返りながら、いろいろと対戦相手の分析もしましたよ」

カギを握る同一チームとの6連戦方式 「今までにない戦いになる」

今季は当初、東京オリンピック開催の影響で7月から8月にかけて、一時シーズンが中断する予定だった。だが、オリンピック開催は1年延期され、開幕がずれ込んだ影響でレギュラーシーズンは120試合に大幅変更。チームもまた、イチから作戦を練り直すことになった。

パ・リーグは毎週月曜日を休養日とし、火曜日から日曜日まで連戦となるスケジュール。井口監督は「結構、試合が詰まったシーズンになるので、調子が悪い人が上がってくるのを待っていたらシーズンが終わってしまう。調子がいい人をどんどん使っていこうという思いはあります」と明かす。

また、これまでは同一チームとの3連戦を1カードとして実施されていたが、できるだけ移動を少なく新型コロナウイルスへの感染リスクを減らすために、パ・リーグでは6月23日から8月23日までの2か月間、同一チームと6連戦するイレギュラーな方式が取られることになった。井口監督も、この6連戦方式が「いつもと違うことになるのかなと思います」と警戒している。

「開幕3連戦の後は、ずっと6連戦が続きますからね。この辺の戦い方は大切ですよ。6連戦は連勝の可能性があると同時に、勢いに乗れないと大連敗してしまう可能性もある。カード頭をしっかり取れるように、というのはありますね。あとは、今までであれば、同じカードの3連戦で同じピッチャーと何度も当たることがあった。それが、今年は先発ピッチャー全員と当たることになりますから、逆に面白さもありますよね。今までにない戦いになると思います」

無観客の応援がない中で公式戦が行われるのもまた、今までにないことだ。「お客さんがいないっていうのも、どういう感じなんだろう?」と井口監督。無観客試合だったオープン戦や練習試合は「ハイタッチもできないし、勝った時やホームランを打った時の喜びが、みんな60%くらいだったから(笑)」と言うが、「シーズンになったら100%になると思うんですけど、どうなるか楽しみ」と、“新方式”での実施がどんな展開を見せるか、心待ちにしている部分もあるようだ。

ロッテは19日から敵地でソフトバンクとの3連戦に臨む。当初予定されていた対戦相手だけに「あまり違和感はないですね」。昨季は17勝8敗とロッテが大きく勝ち越したが、過去は過去。今季はまた新たに、挑戦者の気持ちを持って立ち向かう。

「ソフトバンクは日本一のチームですし、我々はチャレンジしていかないと勝てないと思っている。ガッツリ組んで戦っても負けるので、作戦も含めていろいろなことを仕掛けていきたいと思います」

就任3年目、集大成としての日本一へ「『マウエ↑』じゃなくて、『突ッパ!』ですから」

開幕投手は昨年に続き、石川歩が任される。本来は、楽天からFA移籍してきた美馬学の予定だったが、開幕延期や美馬の故障もあり、生え抜きの石川を抜擢。「実績のある投手。開幕は本当にプレッシャーのかかる試合だと思うけれど、投手陣のリーダーとして重圧をはねのけて、彼に先陣を切ってもらいたいと思います」と全幅の信頼を置く。

今年は開幕1軍に、3年目内野手の安田尚憲、育成から支配下登録されたばかりの外野手・和田康士朗、そしてルーキー捕手の佐藤都志也、同じくルーキーの内野手・福田光輝らフレッシュな面々が加わった。

「安田、光輝、佐藤、康士朗に関しては、しっかり練習試合で結果を出して1軍に食い込んできてくれた。若い選手がしっかり底上げをしてきてくれたのが楽しみ。チームミーティングでも話したんですけど、若い選手たちがその若さを前面に出してチームに勢いをつけてほしいですね。角中(勝也)、清田(育宏)、福田(秀平)、鳥谷(敬)と頼れるベテランはいっぱいいるんで、いろいろ聞きながらトライしてほしいと思います」

120試合というイレギュラーなシーズンを勝ち抜くために、時には心を鬼にして非情采配を振るうこともある。だが、それは就任3年目を迎え、チームとして成熟してきた手応えの裏返しでもある。

「毎年チームとしてかなりの厚みが出てきているので、思い切った選手起用をしようと考えています、若い選手もそのレベルまで育ってきているので、ベテランといい形でミックスしてやっていければ。外国人選手も調子が悪かったり相性が悪ければ、違う選手を使うこともある。そこも思い切って臨機応変に。今の時代、何が起こるか分かりませんが、イレギュラーなことが起きても対応できるチーム作りはしてきたつもりなので、こういう時に強いマリーンズを見せたいですね」

今季掲げるスローガンは「突ッパ!」。もちろん、狙うはリーグ優勝、そして日本一だ。

「しっかり最後まで戦い抜いて勝つのが、チームの目標。それを含めての『突ッパ!』です。『マウエ↑』(昨季スローガン)じゃなくて、『突ッパ!』ですから。期待して下さい」(佐藤直子 / Naoko Sato)

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