中元商戦、出足は好調 「密」避ける対応も

新型コロナウイルス感染予防対策を取っている中元コーナー=長崎市、ゆめタウン夢彩都

 長崎県内の中元商戦の出足が、新型コロナウイルス禍の中にもかかわらず好調だ。特設コーナーでは、例年より早く受け付けを済ませる客が多く、来場は分散傾向。外出自粛で会えなかった人へ贈ったり、県外から古里の味を求めたりする客も増えているという。各店はカウンターに飛沫(ひまつ)予防のアクリル板を設置、展示や待合所のスペースを広く取るなど密接、密集を避けて対応している。
 長崎市元船町のゆめタウン夢彩都は、5月20日から地下催事場に特設コーナーを開設。県産品を含む約600点を、会場とオンラインで扱っている。担当者によると、5月中から少しずつ来場が増え、6月に入ると、平日の午前中に約30席ある待合所が満席になる日もあった。「お客さま自身が混雑しそうな週末を避けているのでは」と推測する。
 中元に限定しない贈り物も今年の特徴。新型コロナ禍の中、結婚式や仏事を身内だけで済ませるなどした人が、会えなかった人への返礼品に利用するケースが増えているという。すぐに配送できる現品が好まれ、6月は通常数件にとどまるが、今年はすでに50~60件。担当者は「現品は手土産用に8月に出る。6月にこれだけ需要があるのは珍しい」。
 同市浜町の浜屋百貨店は、来場者が分散して来店しやすいよう、8階催事場に設けるギフトセンターを例年より10日ほど前倒し。6月18日からスタートする。オンラインでの取り扱いも拡大した。担当者によると、6日から実施していた「早期承り会」の出足もよく、件数、金額ともに昨年の2倍に増えたという。
 品ぞろえは1300点。定番のビールのほか、県産品を自由に組み合わせられる「まごころ重ね」など浜屋独自のセットが人気だ。15日に市内から訪れた美容師の女性(68)は「百貨店ブランドは喜ばれるので毎年利用している。早く申し込んだほうがすいていると思った」と話した。
 同市大黒町の県物産館は1日から中元コーナーを開設。328点すべてが県産品で、県外からの申し込みが伸びている。これまでの利用者らにカタログを郵送していたところ、郵送やファクスでの注文が、10日間で前年同期の64件から131件に増えた。
 外出自粛で帰省できなかったため、自宅用に県産品を買う人が増加。担当者は「こういうときだからこそ古里を懐かしんで、応援してくれているのでは」。中元商品はネット通販では取り扱っていないが、手紙を同封するなど利用者の要望に対応。のしに「コロナに負けない」と書いてほしいという依頼も受けた。「ネットではできないことを受けられるのが強み。温かみを感じてもらいたい」としている。

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