配偶者と別れたいと考えたとき、別居と離婚どちらを選ぶ?

不倫、DV、モラハラ、性格の不一致……別れの理由は人それぞれですが、配偶者と別れたいと考えたとき、別居と離婚どちらを選ぶ人が多いのでしょうか。

実際に別居や離婚経験のある男女を対象にアンケート調査が実施されました。別居と離婚どちらを選んだのか。そして、その理由についてリアルな声を紹介します。


別れたいときに選ぶのは、別居or離婚?

配偶者との別れを考えたとき、一刻も早く離婚したいですか。それとも、その後の生活のために準備期間が必要だと考えて別居を選びますか。または一度別居して、距離をおいて頭を冷やせば元の鞘に収まると考えますか。

法律相談支援サービス・カケコムが、別居・離婚経験のある男女100人を対象に「別居、離婚に関するアンケート」を実施。

配偶者と別れたいと考えたとき、別居を選択した人は全体の51%、離婚を選択した人は49%と、どちらも約半数ずついるという結果になりました。

女性が別居を選ぶ理由と、男性が別居を選ぶ理由

しかし男女別にみると、女性の方が離婚よりも別居を選ぶ割合が高く、約60%が別居を選択していることがわかります。

離婚ではなく、あえて別居を選択した理由について以下のような声が寄せられています。

「子供がまだ小さかったのでやり直せる可能性は残したかったことと、別居している間に少し時間をかけて頭を整理できると思ったので」(40代女性)

「子供がいるので離婚となると大げさになってしまうため」(40代女性)

「まだ子供が生まれたばかりで自分で自立して生活する自信がなかったので、とりあえず自分の実家に戻ることで別居の道を選びました」(40代女性)

女性は、子供のことや経済的な事情を考えるとなかなか離婚に踏み切れずに別居を選択している人が多いようです。ただ、離婚後に女性がひとりで生きていく、またはひとりで子育てをしていくには経済的に自立する必要がありますが、別居中の生活については必ずしもその必要はないといいます。

離婚問題に詳しいしのだ法律事務所の篠田大地弁護士によると、「別居をしても、収入が高い側(多くは男性)は配偶者に対して、婚姻費用を支払う義務があります。もし支払ってくれない場合には、調停や審判といった手続きを取って請求することができます」。

一方の男性側にも、子供のことを考えて別居を選んだという声はあったものの、妻と復縁できる可能性があるから別居を選択したという意見も多く見られました。

「嫌いになったわけではないため」(30代男性)

「好きな気持ちは変わらなかったので」(20代男性)

「まだお互い好きで復縁できる可能性があったため」(30代男性)

生活費を無断で使う、モラハラ、DV…女性が離婚を決断するとき

では、別居ではなく離婚を選んだ女性は、どんな理由からその決断をしたのでしょうか。

「生活費を無断で使われてしまうことが多く、これ以上一緒にいても自分が生活できなくなってしまうと考えたため」(20代女性)

「金銭的な問題だったので、別居では解決されないと判断したため」(30代女性)

「夫からの暴力が酷くて、別居してもまた会ったときに暴力を振るわれる可能性があると感じたため」(20代女性)

性格の不一致など一般的な理由を挙げる人ももちろん多く見られたそうですが、精神的に追い詰めるモラハラ、DV、借金など、すぐに離婚しなければ妻自身に大きな被害が及ぶために否応なしに離婚を選択した人もいることがわかります。

一方男性では、妻との関係修復が難しいと判断すると離婚に踏みきるといった声が多く寄せられたといいます。

「夫婦関係が崩壊して会話もない状態でしたので、修復のチャンスはないと考えて離婚しました」(40代男性)

「別居しても関係が修復できるとは考えられなかった。あときっちりとけじめをつけたかった」(40代男性)

「やり直せる余地は無いと判断したので、離婚を選択しました」(30代男性)

別居を選んだ際に復縁の可能性を挙げる声が多かったことからも、男性は配偶者との関係性が別居か離婚かの大きな決め手になっているようです。

別居または離婚したことを後悔している?

さまざまな理由で別居または離婚を選択した経験者たち、自分たちの出した答えに後悔はないのでしょうか?

男女別の回答では、「後悔した」と答えた男性が20.8%いるのに対し、女性は5.8%。女性の方が自分の下した決断に対して「後悔していない」という前向きな結果になりました。

ただ、子供がいて離婚を選択した家庭では子供に対して罪悪感が残っているという声も。

「私自身は後悔はまったくしていないが、離婚当時3歳になったばかりの子供がいたので、年齢が上がるにつれ保育園行事や出かけ先で親子連れを見た時、父親がいないことに子供自身がどう思っているかを考えると、もっと私は頑張れたんじゃないかと思ってしまうことはある」(30代女性)

「離婚については親権も持てましたし、後悔はしていません。間に弁護士を挟み徹底的にケジメをつけたのでよかったです。しかし、子供は悲しんでいると思います。離婚に至るしかなかったこと・経緯を後悔しています」(30代男性)

別居・離婚の前に必要な準備とは?

別居や離婚、どちらを選択したとしても後悔しないようにするにはそれなりの準備が必要です。特に、相手が離婚を拒否している状況で別居をする場合は注意が必要だと篠田弁護士は話します。

「相手が離婚を拒むと調停や訴訟が必要になります。もし相手に不貞行為やDVなどといった離婚原因がない場合、別居期間が3~4年程度ないと離婚が認められないことが多いので長期化することが想定されます」。

逆に、相手の浮気やDVが原因となっている場合には、裁判で提出できるようにその証拠を集めておく必要があるといいます。

「暴力に関しては、被害箇所の写真、医師の診断書や、警察に相談したのであればその記録など、不貞に関しては、探偵による報告書や、配偶者と不倫相手とのメールやLINEの記録などが証拠になります」

また別居と離婚どちらを選択する際にも、離婚の際の財産分与に備えて「配偶者の財産を把握しておくことが重要です」と篠田弁護士。具体的には、どこの銀行の預金通帳を持っているか、保険、株、投資信託、債券などどのような資産を持っているかを把握しておく必要があるといいます。


別居、離婚にかかわらず自身の下した決断に「後悔していない」と回答した経験者は、87%。この数字は、いま別居または離婚をするか悩んでいる人の心を少しは軽くしてくれるのではないでしょうか。とはいえ、一時の気の迷いや、頭に血が上ってつい口走って別居や離婚を決断するのではなく、周到な準備をした上で臨む必要がありそうです。

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