住宅ローン審査にクレジットカードは影響する?不利にならないための対策を解説

《目次》- クレジットカードは、住宅ローン審査に影響する?

クレジットカードは、住宅ローン審査に影響する?

多くの人が所有しているクレジットカードですが、実は住宅ローンの審査に影響があることをご存じでしょうか。住宅ローンを組む際には金融機関が設定している条件をクリアするための審査に通らなければなりません。金融機関によりますが、年収や雇用形態、勤続年数、完済時年齢、借入時年齢など、多くの項目がチェックされ、長い期間にわたって確実にローンを返済できる能力があるかどうかが総合的に判断されます。

現在の借り入れ状況、過去の借り入れ状況も審査対象のひとつ。現在返済中のローンの残額や過去に返済したローンで滞納事故などを起こしていないかなども審査され、信用に値する人物かをみられます。カードローンや自動車ローン、そしてクレジットカードの利用状況も審査の対象となります。

クレジットカードでローンの支払いは可能?

ポイントがたまるなどの理由で、金額の大きな支払いをクレジットカードでするとお得な場合が多いのですが、残念ながら、基本的にクレジットカードで住宅ローンの支払いをすることはできません。カード会社が設定しているクレジットカードのショッピング限度額はおおむね数百万円程度ですが、住宅ローンは数千万円という大金になります。

住宅ローンそのものをクレジットカードで支払うことは不可能ですが、ローンに関わる一部を支払い可能としている金融機関はあります。多くは「火災保険」や「団体信用生命保険」といった保険料など限定的。金融機関によって異なりますので、クレジットカード払いが使えるか、事前に確認しましょう。ちなみにフラット35では、2年目以降の団体信用生命保険の保険料はクレジットカードでの支払いを可能としています。

住宅ローンとカードローンの関係

カードローンは、カード会社や金融機関から借り入れができるサービスで、銀行やコンビニのATMから現金を引き出したりすることもでき、気軽に利用できるので便利です。申し込みのときに設定された利用限度額の範囲内であれば、何度でも借り入れができ、返済方法も自由に選ぶことができます。

限度額は10万円程度から1000万円までとなっているところもあり、大金を借り入れることも可能。担保や保証人なしで契約できるカードローンが多く、利用目的も限定されません。最近は多くのカード会社や金融機関がインターネットでの申し込みを受け付けていて、申し込みからカード到着まで約1週間程度と、気軽に始められる要素が揃っています。もちろん、利息が加算されますので、つい借りすぎて返済が滞るなどの問題もよくありがちです。

住宅ローンの審査の際に重要なポイントになるのが「返済比率」。「年間合計返済額÷年収」で算出される数字で、契約者が返済する能力があるかどうかを見極めるための目安となり、一般的に、一般的に20~25%以内が望ましいといわれています。返済比率が高いと、返済に無理があると判断され、審査が通りにくくなります。この「年間合計返済額」にはカードローンでの借金も含まれます。カードローンの返済中である場合には返済比率が高くなるので、住宅ローンの審査では不利になるでしょう。できれば住宅ローンの申し込み前にカードローンの残債を完済してしまうのが理想。難しければ少しでも多く残額を減らしておくことをおすすめします。

住宅ローンの審査に影響するクレジットカードの使い方

レジットカードで支払いを一度でも延滞すると個人信用情報に記録が残る

クレジットカードを利用すること自体がNGというわけではありません。住宅ローンの審査に影響するのは、金融機関からみて信用度が低いと判断されるような使い方です。

延滞

クレジットカードに関わらず支払いの延滞歴があると、どんなローンでも審査には通りにくいでしょう。申し込み時点で延滞していなくても、過去に支払いを滞納したという情報は、信用情報機関に登録されることになっています。信用情報機関は日本に3つあり、どの機関でも記録は最長5年間残ることになっているので、この5年間は審査が通りにくいと考えておきましょう。くれぐれも、うっかり支払いを忘れたり、口座から引き落としができなかった、ということのないようにしたいところ。

キャッシング枠

カードローン同様、クレジットカードのキャッシング枠にも注意が必要です。多くの金融機関では、毎月決められた日に一定の金額を返済していく「約定返済」という方法が基本になっていて、毎月の約定日に口座から引き落とされる仕組みになっています。キャッシングの場合は当然、利息も合わせて返済中ということなので、これが住宅ローンの借入可能額に影響することが多いといわれています。

リボ払い・分割払い残高

基本的にクレジットカードは「一括払い」で利用し続けている限り、特に問題はありません。チェックされるのはリボ払いや分割払いなど、利息が発生する場合。キャッシングと同様に住宅ローンの借入可能額に影響します。さらに何度も返済方法を変更した履歴なども信用が落ちる原因のひとつになります。

保有枚数

複数のクレジットカードを保有している人は、すべてのカードの利用状況、借入総額を把握できているでしょうか。たくさんのクレジットカードを利用中である人は、借入可能額に影響する可能性があります。クレジットカードにはそれぞれ限度額が設定されていますが、多くのカードを保有しているということは、それだけ借り入れ限度額も多いということ。クレジットカードで多額の借金をつくれば住宅ローンの返済が滞る可能性を指摘される場合があります。クレジットカードの枚数は、数枚程度におさえておくのが賢明です。

個人信用情報の種類

クレジットカードや各種ローンを利用している人がもっとも気を付けたいのが、期日までに返済しないこと。過去に支払いを滞納したことがある人は新たに融資を受けることができません。申し込み者が融資するのにふさわしいかどうか金融機関が判断するために、信用情報を収集し、必要に応じて開示しているのが「個人信用情報機関」です。日本には「全国銀行個人信用情報センター(KSC)」「株式会社 シー・アイ・シー(CIC)」「株式会社日本信用情報機構(JICC)」という3つの信用情報機関があります。

全国銀行個人信用情報センター(KSC)

全国銀行協会が運営する個人信用情報機関がKSC。加盟しているのは全国の銀行が中心です。銀行や信用金庫が発行するクレジットカードを利用している人、同じく銀行や信用金庫で住宅ローンや自動車ローンなどを組んでいる人は、このKSCに信用情報が登録されている可能性が高いです。

株式会社 シー・アイ・シー(CIC)

クレジット会社の共同出資によって設立されたのがCIC。主に消費者金融や信販会社で登録された信用情報を取り扱っています。3つの信用情報機関の中で最も多くの信用情報を管理しているのがCICだと考えていいでしょう。加盟会員は、信販会社・百貨店・専門店会・流通系クレジット会社・銀行系クレジット会社・家電メーカー系クレジット会社・自動車メーカー系クレジット会社・リース会社・保険会社・保証会社・銀行・消費者金融会社・携帯電話会社などとされています。

株式会社日本信用情報機構(JICC)

消費者金融や銀行など幅広い金融機関が加盟しているJICCは、加盟数が多いのが特徴。ネット銀行や地方銀行の多くはここに加盟しています。延滞している商品の内容や延滞の状況、解約や自己破産などの情報が記録されています。記録が残る期間は、返済の遅延解消後、最長で5年。

いずれの機関も、本人であれば信用情報を開示することができます。窓口や郵送はもちろん、最近はインターネットで簡単に手続きができますので、不安な人は開示請求をしてみるといいかもしれません。

信用情報開示報告書の見方と内容

信用情報はどのように確認したらよいのでしょうか。ここではCICを例にみてみましょう。信用情報とは、クレジット会社などからCICに登録されたクレジットやローンの契約に関する情報。この信用情報が記載されているのが「信用情報開示報告書」です。

信用情報開示報告書には、契約内容や返済状況が記されていて、チェックしたいのは「入金状況」の部分。契約者からクレジット会社などへの入金状況が記号で示されていて、過去24か月分の情報が表示されています。

記号の意味

$: 請求どおり(もしくは請求額以上)の入金があった

P :請求額の一部が入金された

R :お客様以外から入金があった

A :お客様の事情で、お約束の日に入金がなかった(未入金)

B :お客様の事情とは無関係の理由で入金がなかった

C :入金されていないが、その原因が分からない

ー :請求もなく入金もなかった※

空欄: クレジットカード会社から情報の更新がなかった※

この中で、Aがあると、期日までに入金されなかったという意味になるので要注意。Aが連続していたりすると、延滞扱いで、いわゆるブラックリストに載っている可能性が高い状態です。

申し込み情報

申し込み情報とは、「新規にクレジットやローンの申込みをした際、申込者の支払能力を調査するためにクレジット会社など加盟会社がアクセスした情報」のこと。氏名や生年月日、住所や電話番号といった本人を識別するための情報で、商品名や契約予定額、支払予定回数などの中から、クレジット会社等がどの情報を照会したかが分かります。

利用記録

クレジット会社等(会員会社)が信用情報にアクセスした記録が「利用記録」。カードローンなどの利用状況や返済状況を確認するためにどの部分を照会したか、その目的を含めて記載されています。

返済状況の部分に「異動」と記載されていると、いわゆるブラックリスト入りしている状況です。CICの場合、異動と記録されるのは、61日以上または3か月以上の延滞がある場合。住宅ローンを組む際はこの記録が消えてからでないと難しいでしょう。

住宅ローンの審査を受ける前に対策できること

クレジットカードのキャッシング枠は使っていない場合でも影響することがあるため、不要なカードは解約しよう### 延滞履歴の保管期間は5年間

各種ローンで延滞した過去がある人は、信用情報機関に記録され、その期間は最長で5年間。期日までに返済できなかった、いわゆる延滞事故を起こしたことがある場合は信用力がないとみなされ、住宅ローンを組めない可能性が高いといえます。新規で住宅ローンを申し込む際には、延滞履歴の記録が消えてから改めて検討しましょう。

できるだけ完済した状態にする

住宅ローンの審査を受けるときには、できるだけ返済中のローンがないのが理想です。クレジットカードのキャッシングやリボ払い・分割払い、自動車ローンなど、ほかにローンを抱えていると「返済比率」に影響します。

完済証明書を用意する

「完済証明書」とは、借金を完済したことを証明する書類のこと。金融機関の中には、完済証明書の提示を義務づけるところもあり、提示することで審査が通りやすくなるケースもあるといわれています。

使用していないクレジットカードを解約する

前出のとおり、クレジットカードの保有数が多いと、借入可能な限度額が大きくなることから、審査にはマイナスになります。特にキャッシング枠がついているクレジットカードは要注意。使用頻度が低いものがあれば審査前に解約しましょう。

返済負担率を減らすために、頭金を用意する

年収に対する返済の負担率が高いほど融資は受けにくくなります。毎月の返済額を無理のない額にするためには借入額を少なく抑えるのが理想ですが、そのために頭金を多めに用意したいところ。頭金の額は、自己資金を用意する能力があることの証でもあるので、信用力からみても有利になることが多いようです。

「正しく利用」して「延滞に注意」すれば大丈夫

住宅ローンは人生でも大きな買い物のひとつ。自己資金だけでまかなうことは難しいので、住宅ローンの審査に通ることは越えなければならないハードルです。一方、融資する側の金融機関にとっても、大金を貸すにあたり、信用に値するかを真剣に見極めなければなりません。クレジットカードそのものが審査に影響するわけではありません。正しく利用し、返済の延滞には十分注意していれば大丈夫。スムーズに住宅ローン審査をクリアするために、クレジットカードは正しく利用しましょう。

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