太陽が隠れ金のリング出現 インド、中国などで金環日食 国内では各地で部分日食

 太陽が月に隠れる天文現象の日食が21日、世界各地で見られた。インドや中国、台湾などでは、太陽の外縁部分が金色のリングのように見える金環日食が、国内では各地で太陽の一部が欠けて見える部分日食がそれぞれ観察された。次の日食が全国で見られるチャンスは10年後となる。(47NEWS編集部)

中国チベット自治区で観測された金環日食(共同)

 日食は、太陽と月と地球がほぼ一直線上に並んだ時、地球から見て太陽が月に隠れる現象で、皆既日食、金環日食、部分日食の大きく三種類がある。皆既日食は、太陽と月の中心がほぼ重なって太陽が全て隠れ、空が夜のように真っ暗になる。だが、今回は起きていない。

 この日インド北部や中国チベット自治区、台湾などで観測された金環日食は、太陽と月の中心がほぼ重なるのは皆既日食と同じだが、皆既日食の時よりも月と地球の距離が離れているため、地球から見える月の見かけの大きさが小さくなり、皆既日食のように太陽を全て覆い隠すことができず、太陽の外側の縁が細いリングのように見える。

 部分日食は、文字通り、太陽の一部が隠れる。皆既日食や金環日食の時、それらが観測できるエリアの外側の広い範囲で見られる。国内での部分日食の観測は、昨年12月26日以来となった。

沖縄県・石垣島で観測された部分日食(国立天文台のライブ中継より)

 国内では各地の天文台や科学館が、インターネットで部分日食の様子をライブ中継した。国立天文台(東京都三鷹市)は、北海道名寄市のなよろ市立天文台と、沖縄県石垣市の石垣島天文台の観測画像をライブ配信した。

 石垣市では、午後3時55分ごろから太陽が欠け始め、午後5時15分ごろに欠け方が最大になった。名寄市では午後4時15分ごろから欠け始め、午後5時ごろに最も大きく欠けた。国立天文台は、太陽面で起きる爆発「太陽フレア」を観測する望遠鏡でも日食の撮影を試みたが、空が雲に覆われていたため撮影できなかった。

北海道・なよろ市立天文台が観測した部分日食(国立天文台のライブ中継より)

 日本での次の日食は2023年4月20日の部分日食だが、九州南部、紀伊半島など一部地域しか見られない。全国で見られるのは30年6月1日まで待たなければならず、この時は北海道で金環日食が観測できる。日本での皆既日食は35年9月2日、北陸から北関東となる

© 一般社団法人共同通信社