日本遺産、認定逃す 神武東遷や天正遣欧少年使節

 文化庁は19日、地域の有形・無形の文化財を組み合わせて魅力を発信し、観光振興などにつなげる「日本遺産」に21件を新たに認定した。本県関連では、宮崎市など県内4市町を含む9府県の24市町村が「日本最古の冒険物語『神武東遷』」を、西都市と長崎県の5市町が「日本を世界地図に描かせた少年たち~天正遣欧少年使節~」を申請したが、認定されなかった。
 認定は2015年度からの累計で104件となり「20年度までに100件程度」とした目標に到達。これまで認定遺産がなかった東京都からも初めて選ばれ全都道府県に拡大した。今回で認定は最後とし当面は追加しない。
 21件は、兵庫県の「『伊丹諸白』と『灘の生一本』」や東京都の「霊気満山 高尾山」など。今後は既存遺産の底上げを図る。
 「伊丹諸白」は、現存する最古の酒蔵「旧岡田家住宅・酒蔵」などで構成。江戸時代から「下り酒」と称賛された上質な酒を江戸に届けるなど、約400年続く伝統の清酒造りが行われている。
 「高尾山」は、養蚕で栄えて「桑都」と呼ばれた東京都八王子市の養蚕農家や絹商人により信仰され、保護されてきた歴史が高い評価を得た。
 このほか、サケを通じた自然の営みやアイヌ民族、ロシアとの文化交流を取り上げた北海道の「『鮭の聖地』の物語」、江戸時代の滑稽本「東海道中膝栗毛」をテーマに選んだ静岡県の「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」などが選ばれた。
 本県では、18年度に「古代人のモニュメント―台地に絵を描く 南国宮崎の古墳景観―」(宮崎、西都市、新富町)が認定されている。

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