県外在住者「まだ戻れない」 コロナ県境移動解除

 都道府県境をまたぐ移動の自粛要請が19日に全面解除されたのを受け、東京や大阪、福岡在住の本県関係者は帰省を心待ちにする一方で、全国各地で感染確認が続いていることから、「まだ戻れない」とためらう声も聞かれた。
 延岡市に住む母親の介護のためコロナ禍の前は、年に4度ほど実家に戻っていた東京都杉並区の建築事務所代表田中淳一さん(63)は移動解除の節目で母親のヘルパーや地元の友人らに帰省時期を相談。「今すぐ帰っても、1、2週間は外出自粛をしてほしい雰囲気があるようなので、今後の様子を見ながら判断したい」と話す。
 就職活動のため、7月に本県に戻る世田谷区の日本大4年河野加歩さん(21)=川南町出身=は現在も外出を控えるなどして感染対策に気を配っているが、「帰ったときに自分だけではなく、家族への周囲の目が気になる」と不安を口にする。
 大阪府は今月1日から移動自粛の対象から外れたが、大阪市に単身赴任中の会社員永野篤信さん(43)は家族が住む宮崎市への帰省を控えている。周囲では県外移動を自粛するムードは根強いといい、「全国の感染が落ち着くまでは帰省しづらい」と打ち明ける。
 県が慎重な移動を求めていた北九州市も解除された福岡県。金融機関勤務で福岡市に単身赴任中の中川洋光さん(49)は、今月末に半年ぶりに自宅がある宮崎市に戻る予定で、「電話はできたが、じかに話すのとは違う。家族とゆっくり食事がしたい」と話した。

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