慰霊の日、沖縄に思いを 記録映画「ちむぐりさ」配信

映画の1シーン©沖縄テレビ放送

 米軍基地問題に翻弄(ほんろう)される沖縄の姿を、石川県から移り住んだ少女の目線で追ったドキュメンタリー映画「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」が21~23日、オンライン配信される。

 「ちむぐりさ」とは沖縄の言葉で、誰かの心の痛みを自分の悲しみとして胸を痛めること。沖縄テレビ放送アナウンサーの平良いずみ監督はコロナ禍で人とのつながりの大切さを痛感させられたと言い、「『ちむぐりさ』という感情の重みがより増している。慰霊の日に、沖縄に思いをはせてほしい」と呼び掛ける。

 那覇市内のフリースクールに通う主人公の少女は、相次ぐ米軍関連の事件事故を前に、沖縄では今なお戦争が続いていることを感じ取り、被害者の元を訪ね歩いて「ちむぐりさ」を重ねる。映画は美しい景色を交えつつ、少女が紡ぐ言葉を軸に、沖縄の人々の明るさの「向こう側」にある現実を描き、本土に「わが事と考えてほしい」と訴える。

 平良監督は「(秋田と山口での)イージス・アショア配備撤回は、当然のこと。その当たり前が沖縄にも適用されることを望んでやまない。映画を通して、戦後75年の沖縄で起きている辺野古の問題にも目を向けてほしい」と語る。

 配給会社の太秦が開設したオンライン配信サイト「HAKO座」(www.hako-za.com)の第1弾として配信され、24時間1800円。コロナ禍の影響で劇場公開が休止されていたが、今後は県内を含め全国各地で順次上映する。

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