“諫早たまねぎ” 守りたい JAながさき県央 山口正信さん(59)=諫早市長田町=

選果作業を行う山口さん =諫早市、JAながさき県央玉葱選果場

 花の名所で知られる白木峰高原のふもと、長田地区で生産される特産のタマネギは、柔らかく甘みが強いと評価が高い。JAながさき県央玉葱部会では昨年、127人が計100ヘクタールで4634トンを生産した。
 山口さんは約120アールの畑で栽培。天候に恵まれた今年は豊作で、収穫が始まった3月下旬頃は例年並みの収入を見込んでいた。しかし、4月の緊急事態宣言を境に状況は一変。外食向けの需要が落ち込み、加工用の北海道産が青果向けに回された影響から余剰が発生し、価格は一挙に前年から4割落ち込んだ。
 「農業はサラリーマンに比べて収入が不安定なこともあり、昨年度までの10年間で部会への新規参入者はごくわずか。今後も作りたいと思える環境を回復させなければ、100年以上の歴史を誇る“諫早たまねぎ”が衰退してしまう」
 窮状を知った諫早市が、職員向けに約3トンの注文を取り付けてくれた。「まとまった数を買っていただきありがたい。地元のタマネギのおいしさを知ってもらえる機会になったのでは」。わらをもつかむ気持ちで、何とか活路を見いだそうと模索する日々が続く。

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