時短勤務中妻「2人育てながらフルタイムは厳しいが年収700万夫の給料だけだと赤字」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。

今回の相談者は、41歳、2人の子どもの子育て中の女性。間も無くフルタイムに復帰する予定ですが、長時間勤務が厳しいと言います。かといって、夫の給料だけでは赤字に……。FPの横山光昭氏がお答えします。

共働き夫婦です。4歳と2歳の2人の子どもを保育園に預け、私は時短で働いています。時短勤務は下の子どもが3歳になるまでなので、もう少しで終了となります。それ以降は通常の勤務体制になり、残業で21、22時まで仕事という日も出てくると思うので、働き方について悩んでいます。

夫は夫で忙しく、帰りが遅いので、面倒を見てもらうことを期待できません。ならば私が仕事を辞め、子どもの面倒を見ていくほうが良いのではないかと思っています。

今の家計は、二人の収入で収支がトントンという状況です。3歳になれば下の子の保育料もかからなくなるので負担は減るのですが、夫一人の収入ではそれでも毎月10万円ほどの赤字が出るだろうと思い、なかなか決断できません。

シッターさんに子どもたちのお迎えや夜の食事、お風呂、寝かしつけなどお願いして働き続けることも1つかと思いますが、夜の帰りが遅くなり、子どもと触れ合う時間が減ることに抵抗があります。

私が仕事を辞めても、支出を見直し、工夫をしていけば、夫一人の収入でも暮らしていけるようになるのでしょうか。

<相談者プロフィール>

・女性、41歳、会社員・時短勤務(夫:44歳、会社員)

・子ども:2人(長男4歳、長女2歳)

・毎月の手取り月収:相談者19.8万円、夫35.5万円

・年間の手取りボーナス:相談者約60万円、夫約280万円

・貯金額:320万円

<支出状況(総支出額:50.3万円)>

・住居費:8.3万円(住宅ローン)

・食費:7.9万円

・水道光熱費:1.6万円

・通信費:1万円(スマホ2台、ネット回線)

・生命保険料:3.2万円

・自動車関連費:3.6万円(ローン、任意保険、ガソリン)

・日用品代:1.4万円

・医療費:0.5万円

・教育費(保育料):8.6万円(2歳児の実費込保育料、4歳の実費)

・交通費:1.2万円

・被服費:3.3万円

・こづかい:5.5万円(夫3万円:妻2.5万円)

・その他:4.2万円


横山: お子さんが3歳になると、仕事を続けるにしろ辞めるにしろ、保育料分の支出が減ります。支出状況を見たところ、毎月5万円ほどは余剰金となる計算ですが、これをきちんと貯められるでしょうか。今後はお子さんの教育費も、ご夫婦の老後資金も貯めていかなくてはいけません。毎月を乗り切る事だけではなく、貯めることも考えていきましょう。

共働きの家計は全体的に支出が多くなりがち

支出状況を見ると、各費目の支出が多めで、いわゆるメタボ家計であることが分かります。極端に多いというわけではなく、全体的に多いのです。

共働きのご家庭は、時間がない、疲れているというところから、外食費を含めた食費、日用品やご夫婦それぞれの趣味への支出などが高くなりがちです。お子さんがいれば、保育園へ送迎するときの電動自転車・自動車の維持費用、雨が降ったらお子さんと乗り込むタクシー代など、かかる費用も増えがちなので、全体的に支出が多めであることに気が付いたとしても、「仕方がない」で済ませてしまっているように思います。

実際にやむを得ない部分も確かにあるのですが、それでも支出のひとつずつが「必要だったかどうか」という視点で振り返り、ムダを見つけ、減らしていきましょう。

相談者さんは、すでに格安スマホを利用していたり、生命保険を見直したり、保育料に関心があったりと、固定費の見直しと支出削減の行動はできているように思います。次は、食費、日用品代、被服費などの変動費部分を「必要だったかどうか」という視点で見直してみてもよいでしょう。

地味だけどすごい「1週間予算管理術」の威力

ただ、必要かどうかを判断しても、行動に移して支出を削減していくことが難しいこともあります。疲れていたり、面倒だったりという気持ちが簡単に行動を妨げます。

もし、そういう気分的、気持ち的なことで左右される傾向があるのなら、食費、日用品の1週間予算管理をお勧めします。本当なら全費目にやりたいと思われるかもしれませんが、日々財布から出る費目だけで十分です。

相談者さんの食費と日用品を足すと9万3000円。これを5週間分で割ると1週間約1万8000円です。これで1週間、食費と日用品をやりくりしていきます。

これの良いところは家計簿がなくても支出の把握がしやすいところです。毎週月曜日なら月曜日と決めて1週間の予算を財布に入れます。そして翌週の月曜日に残高を更新するだけのやり方です。もし次の月曜日にお金が余っていたら、貯金にしてもよいでしょうし、残金の範囲で好きな物を買ってストレス発散しても構いません。もし足りなければ、翌週の予算から前借したと考えて、翌週は予算より少ない金額でスタートします。

たったこれだけのことですが、お金の減るスピードが見えてくるので、支出のコントロールがしやすくなります。しかも5週間分で設定するので、最後の週は少し余る予定になります。この余りも、貯金するなどすると、少しずつお金が貯まるようになってきます。

また、このような支出管理をしていると、次第にほかの費目にも関心が行くようになり、自然と支出をコントロールしようとするようになるので、一石二鳥です。

辞める辞めないの二択から離れ柔軟な働き方で対応を

冒頭にも書きましたが、相談者さんはこれからお子さんの教育費、ご自身の老後資金などお金が必要な時期がやってきます。これまでお伝えした家計管理法などで支出を下げ、夫の収入だけでも貯金が十分にできるのなら、「退職する」ことも積極的に考えられるでしょう。

ですが、貯めることを考えると、不十分であるかもしれません。仕事については辞める、辞めないという極端な話ではなく、正職員からパートに変わる、労働時間の短い職場に移るなど、発想を転換して考えてもよいと思います。

お金を貯める、将来的な資金を作るには、

1、収入を得る
2、支出をコントロールする
3、運用して増やす

という3つのことが必要です。

相談者さんはまだ、「3」に取り組む段階ではなく、お金を貯めることに注力すべき時期だと思えます。ですから支出を見直し削減を図りながらも、収入を得て貯金額をより増やすことが必要です。

ですから、例えばお子さんが保育園にい続けられるように、夕方程度までの会社に移るとか、幼稚園に転園し保育時間のみ仕事をするなどです。今は働き方も様々ですから、固定観念を持たずに、いろいろな働き方を検討しても良いのではないかと思います。

体調を崩しては働くこともできなくなりますから、無理のないように検討頂きたいですが、将来に向けしっかりお金を貯めていけるような生活スタイル、暮らし方の習慣を作っていただきたいものです。

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