異例のシーズン60試合制 4割打者誕生の可能性も

日本時間6月23日、メジャーリーグ選手会はメジャーリーグ機構から提示された2020年シーズンの開催案を否決し、両者の交渉は決裂。ロブ・マンフレッド・コミッショナーの裁量により、2020年シーズンは50~60試合制で開催されることが決定的となった。例年(162試合制)より100試合以上も少ない異例のシーズンとなるが、1941年に打率.406をマークしたテッド・ウィリアムス(レッドソックス)以来となる4割打者が誕生する可能性もありそうだ。

メジャーリーグにおいて、1900年以降のモダン・ベースボール時代に打率4割が達成されたのは13回。ナップ・ラジョイ、シューレス・ジョー・ジャクソン、タイ・カッブ(3回)、ジョージ・シスラー(2回)、ロジャース・ホーンスビー(3回)、ハリー・ハイルマン、ビル・テリー、ウィリアムスの8人が達成している。

ウィリアムス以降では、1994年にトニー・グウィン(パドレス)が.394をマークしたのが最高で、.390以上の高打率を記録したのはグウィンのほかに1980年のジョージ・ブレット(ロイヤルズ/.390)しかいない。21世紀ではシーズン記録となる262安打を放った2004年のイチロー(マリナーズ)の.372が最高打率であり、シーズン終盤まで打率4割の可能性を残した選手は現れていない。

しかし、50~60試合制という異例のシーズンだからこそ、79年ぶりに4割打者が誕生する可能性は十分にある。たとえば、2008年のチッパー・ジョーンズ(ブレーブス)はチームが60試合を消化した時点で.409、自身が60試合に出場した時点で.419という高打率をマークしていた。

野球アナリストのライアン・M・スパエダーによると、チームが60試合を消化した時点で、1997年のラリー・ウォーカー(ロッキーズ)は.422、1993年のジョン・オルルド(ブルージェイズ)と1983年のロッド・カルー(エンゼルス)は.401をマークしていたという。50~60試合制であれば、「開幕ダッシュ」の勢いのままゴールテープを切り、打率4割を達成する選手が現れても決して不思議ではないのだ。

異例の短縮シーズンだからこそ、打率4割や防御率0点台など、いわゆる「率系」のスタッツで驚異的な数字をマークする選手が現れることになるかもしれない。

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