ものづくりを起点に、次世代まちづくり企業へ ―清水建設の豊洲スマートシティプロジェクトに迫る―

清水建設株式会社(以下、清水建設)は、さまざまな新しい技術要素を盛り込んだ豊洲でのスマートシティ計画を発表した。都市型道の駅やデータプラットフォームの開発、フードトラックとの連携などの要素が盛り込まれたもので、人口減少時代を見据えた交通インフラのあり方や、データを使って変化に柔軟に対応する都市を予感させる計画だ。

建設業界では、「BIM(Building Information Modeling)」という建築の設計施工のデジタル化が徐々に進んでいる。建物やインフラのデジタル情報を介して、今までの事業の枠組みを超えた他領域との協業が進むと言われており、今回のプロジェクトはその流れが具現化した先駆的な事例と言える。モビリティやデジタル情報を使い、どのようなまちづくりを見据えているのか。清水建設 豊洲スマートシティ推進室室長 宮田幹士氏、部長 谷口精寛氏、まちづくり推進室プロジェクト営業部部長 溝口龍太氏に話を伺った。

注:当記事に掲載している完成予想CGは計画段階のもので、実際とは異なります。

■建設会社も「ものづくり」を起点にサービス提供へ

―今回のプロジェクトは、国交省が掲げるスマートシティ構想の先行モデルに採択されていますね。建設会社である清水建設が、なぜデータプラットフォームの構築にも取り組むのでしょうか。

宮田氏:

なぜ、私たちがデータプラットフォームの開発を進めているかというと、今後、まちづくりに関わるさまざまなサービスの運営を進めていきたいからです。

これまで私たちは「ものづくり」を得意としてきました。しかし、今後は建設事業をライフサイクルで捉え、IoTを使ったサービスの提供など、設計、施工、その後の運営まで含めて都市開発に関わるべきだと考えています。

そこで、従来の建設会社の枠を超えた仕組みづくりを進める必要があり、データサービス事業にも挑戦しようと考えています。今回は、10年、20年先までを見据えた豊洲エリアのまちづくりに貢献するためのスタートラインと言えます。

左から、溝口龍太氏、宮田幹士氏、谷口精寛氏

―データプラットフォームの構想について詳しく教えてください。

溝口氏:

フィジカル(現実)空間とサイバー(仮想)空間をデータ連動させて、サービス等の合理化や社会課題の解決を進めるものです。フィジカル空間にカメラやセンサーを設置することでさまざまなデータを収集し、三次元デジタルデータ上で施設運営やエネルギーマネジメント、施設配置等の最適化シミュレーションを行い、その結果をフィジカル空間に反映させます。

データプラットフォームの全体像
提供:清水建設

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