カンバーバッチがエジソンでトムホが秘書だ! 電気で伝記な白熱のヒューマンドラマ『エジソンズ・ゲーム』

『エジソンズ・ゲーム』©2019 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved.

ドクター・ストレンジことベネディクト・カンバーバッチがトーマス・エジソンを、スパイダーマン/ピーター・パーカーことトム・ホランドがその秘書サミュエル・インサルを、ニコラス・ホルトがエジソンのライバルでもあったニコラ・テスラを、そしてスーパーマンのライバルであるゾッド将軍役でお馴染みのマイケル・シャノンがジョージ・ウェスティングハウスを演じるという、MCU&DCEU勢も必見の伝記ドラマが『エジソンズ・ゲーム』だ。

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世界を照らす“灯り”をめぐる壮絶な「電流戦争」を豪華キャストで描く!

いくらキャストが豪華とはいえ、いまさらエジソンの伝記ドラマ? と首を傾げた人も安心してほしい。なにしろカンバーバッチ=エジソンと対峙するのは、ヒヨコくらいなら眼力ひとつで殺せると噂される顔面力俳優ことマイケル・シャノンが演じるウェスティングハウスである。これはもはや見えない光線が飛び交うアクション映画と思ってもらっていいくらいの“圧”だし、もし実際にカンバーバッチとシャノンのガチ喧嘩が繰り広げられていて、その周りでトムホがオロオロしていたりしたら、そりゃもう絶対に見逃せないはずだ。

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冗談はさておき、そんな両者が主人公ということで“直流vs交流”の電流対決であることはお察しいただけるだろう。とはいえウェスティングハウスのことはご存じない人も多いかもしれないので簡単に説明しておくと、彼はエジソンの考案した直流式による電気供給システムの無駄を指摘し、変圧器を用いる交流式によってアメリカ全土に効率よく電気を供給しようとした人。実業家としての功績が取り上げられがちだが、若い頃から歴史を変えるレベルの発明品を連発するほどの頭脳の持ち主であり、現代の技術の基礎となっている超実用的な発明の数々を世に送り出してきた偉人なのである。

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そんなウェスティングハウスと対象的に、自分の理論を通すためならば手段をいとわない天才屁理屈野郎として描かれているのが本作のエジソン。つまり頭脳を武器に戦うワンマンなエジソンと、資金力を武器に優秀な人材を集めて戦うウェスティングハウスという構図を最大限に活かし、そこにニコラ・テスラという不遇の天才数学者(&秘書トムホという萌え)を加え、現代まで伝えられる電流戦争を超ドラマチックに描いたのが、この『エジソンズ・ゲーム』というわけだ。

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まるでシャーロック!? 性格に難アリの天才発明家をカンバーバッチが熱演!!

私たちが普段当たり前のように享受している“電気”という一見地味なテーマを扱いながらも、手に汗握るエンターテインメントに仕上げているのが本作のスゴいところ。映画を盛り上げるだけなら“善のエジソンと悪のウェスティングハウス”みたいな構図のほうがわかりやすいが、そこは史実に倣って「エジソンのクソ野郎!」と罵りたくなるような描き方をしているのがキモである。実際、最初はエジソンのもとで働いていたテスラが給与未払いなどに嫌気がさし、自分を正当に評価してくれるウェスティングハウス側に付いたというエピソードなどは、エジソンのブラックぶりをよく表している。

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エジソンは白熱電球を実用化させた功労者だが、その現実的な利用のために必要となった送電技術に自身の直流式をゴリ押し。そこに「交流式のほうが経済的だよ」と割って入ったウェスティングハウスに対し、「交流式は感電しやすくて危険なんだよボケ!」とネガティブキャンペーンを張る始末。さらにエジソンは交流式の危険性をアピールするために、道徳的に完全NGな“ある発明”をしてしまったものだから、もはや彼に味方する者は皆無……とうわけでもなく、妻を難病で亡くした彼の悲哀も描かれていて、我々観客も思わず振り上げた拳を「ぐぬぬ……」と収めることになるのだった。

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当時すでにエジソンの名を冠した勲章などもあったことから、その発言の影響力は相当のものだったと想像できる。それでも権威(や大人げない嫌がらせ)に屈することなく、人々に有益な送電システムを完成させたウェスティングハウスの株は、本作によって爆上がりすること間違いなしだろう。演じるシャノンの印象も変わるはずなので、いきなりブチギレ顔力おじさんみたいなイメージを持っている人は、ぜひ本作を鑑賞して“Reシャノン”してみてはいかがだろうか。

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