新型コロナウイルスの影響で海外への渡航が難しくなり、会社だけでなく、留学を考えていた学生たちにも大きな影を落としました。今回は、実際イギリス留学を考えていた学生に、現状についてインタビューしました。
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イギリスの新型コロナウイルス状況
今年こそ念願の留学に行く予定だったのに、新型コロナウイルスの影響で、予定が急に変わってしまったという人も少なくないと思います。20年5月下旬、新型コロナウイルスの影響により、イギリスの名門ケンブリッジ大学が「来年度の講義はすべてオンラインのみで行う」という発表をしました。
留学そのものがなくなってしまった人、オンラインでの留学に変わってしまった人、今も対応を考えている人……さまざまな人がいることでしょう。そこで、留学先としても人気のイギリス留学を今秋
に予定していた新大学院生、渡邉尭之さんにインタビューを強行。最新のイギリスの様子や、大学入学に向けたコロナ期間の過ごし方、情報収集の大切さなどについてお話しをうかがいました。
渡邉尭之さん
イギリスの大学院に進学するため、2019年6月より渡英。1年間、語学学校で英語を学びつつ、ようやく大学院への入学チャンスをつかんだ途端に、コロナウイルスの拡大により4月に強制一時帰国。予定していた専攻は、Educational Leadership & Management。
インタビューの前に、現在のイギリスの状況をまとめます。
- 人口:約6700万人
- コロナウイルス感染者数:約30万人 (6/18現在)
- 人口1万人あたりの感染者数:約45人
(世界21位) - 小学校の対応:6月1日より一部再開。しかし全面再開は9月以降になる見込み。
英語で検索することは基本中の基本
――4月のイギリスはどのような様子でしたか?
渡邉 一言でいうと、緊急事態宣言中の日本よりも、少し厳しいぐらいでしたね。外出許可証のような書類は必要なく、外に出ることは可能でした。日常の人通りは、80%減といった感覚です。飲食店やカフェは基本的には閉まっていて、テイクアウトのみの営業をしている店はありました。Uver Eats やDeliverooといったようなデリバリーサービスが人気で、私もよく利用していました。
帰国時(4月13日)のヒースロー空港は、本当にガラガラでした。普段なら人ごみであふれているチェックインカウンターも、ほとんど人がいませんでした。
――ケンブリッジ大学での「すべての授業のオンライン化」ニュースには驚きました。イギリスの大学はこのような対応が多いのですか?
渡邉 いいえ、むしろケンブリッジ大学のような対応は少数派です。私が進学する予定の大学は「9月からオフラインとオンラインの同時体制」で開校する予定です。数ヶ月前は、ケンブリッジと同じような方針を考えていたようなのですが、方針が変わったようです。周囲のイギリスの大学に進学する友人の話を聞いていても、同時体制のハイブリッド型が多いようです。
また、オンライン授業とは別の施策として、「1月入学の勧め」があります。少しでも人が密に集まることを防ぐためにも、通常は9月入学なのですが、1月入学に切り替えてくれる人を募っているようです。
メジャーになったニュースの情報だけを鵜呑みにすることなく、深く情報を探っていくことが大切ですね。また、イギリスのような英語圏の大学の情報は、日本語での情報がほとんどありません。英語でインターネット検索することは基本中の基本だと思います。
――なるほど。日本にいると、ケンブリッジ大学の事例から「イギリスの大学は、すべてオンラインで対応するらしい!」という印象を受けがちでしたが、一部の大学の取り組みなのですね。正確な情報収集が重要ですね。
留学はオフラインがいい3つの理由
――実際に秋から大学院に進学する立場としては、オンラインかオフライン、どちらの形での開校が望ましかったですか?
渡邉 このような世界の状況ですが、可能なのであれば断然オフラインで留学したいです。理由は主に3つあります。
1つは集中のしやすさです。大学院で学問するからには、集中して学びたいです。日本の自宅だと集中を妨げる要因がたくさんありますが、イギリスにいると凛とした緊張感を得られ、集中して勉強できます。
2つ目は、資料へのアクセスのしやすさです。授業で使う教科書はもちろん英語ですが、日本では入手が困難です。取り寄せできるとしても、長い期間が必要となります。イギリスにいれば、図書館で気軽に借りれます。また、イギリスは学術書を扱う書店も充実しています。私は本に書き込みながら勉強するタイプなので、充実した書店が近くにあることは重要です。
3つ目は、時差です。実はこのインタビュー(現在時刻は21時前)の後にも、大学のオリエンテーションがオンラインで開かれます。日本とイギリスは8時間の時差(サマータイム時)があり、現地はお昼ですので。現地時間の夕方に開かれるイベントでは、日本時間だと深夜になるので、これが非常につらいです。
以上の理由から、留学は断然オフラインのほうが嬉しいです。私はハリーポッターが大好きで、物語の雰囲気を味わえるという点もありますしね(笑)。
――たしかに時差があると生活リズムも狂うので、つらいですよね。ハリーポッター、僕も大好きです(笑)。
自分にできることを進めながら再開を待つ
――今のイギリスの大学の対応に、困っていることはありますか?
渡邉 合格通知をもらっている大学院もあるのですが、実は第一志望の大学は、かれこれ3ヶ月も結果待ちなんです。通常は1ヶ月少々で届くはずなので、完全にコロナウイルスの影響ですね。
あと、イレギュラーなことが多いので、大学にメールで連絡をすることが多いのですが、返事はたいてい1週間近くかかります。急いで進めたい手続きが多いので、困ることもあります。
一方で、こればっかりは仕方ないという側面もあります。この非常事態ですからね。そもそもイギリスの大学はコロナの影響抜きに、日本の大学に比べて返事が遅いという文化があります(笑)。だから私は大学からの情報を待つだけでなく、2020年9月にイギリスに行く人たちをTwitterでフォローして、情報を集めることも大切にしています。
今は自分にできることを進めながら、淡々と再開を待ち、イギリスで存分に学べることを楽しみにしています!
留学生は困ることだらけ
日本の大学に通う日本の大学生でさえ、コロナウイルスの対応に困ることだらけですから、留学予定のある方はなおさらですよね。
渡邊さんのインタビューから感じたことは、正確な情報収集の大切さです。ケンブリッジ大学のような国を代表する大学の異例の方針とあれば、国を超えてメディアで取り上げられがちですが、あくまでも何十何百とある大学のうちのひとつの方針にすぎません。その国全体の方針と勘違いしてしまうことには注意が必要です。
また、留学生本人が困ることはたくさんありますが、大学側は大学側で、世界各国対応に追われているようです。コロナに対する方針は1ヶ月もあれば変わることもあるので、留学を考えている方は、頻繁に最新情報を調べるようにしましょう。
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