「少年の叫び2020」が8月9日に開催延期。開催までのドキュメント続編「僕にとってライブハウスは出会いの宝庫であった」。

5月にLOFT9 Shibuyaで開催される予定だった音楽フェス「少年の叫び2020」がコロナウイルスの影響で8月9日(日)に延期となった。夏の開催にむけて、主催者の内藤重人からテキストが到着。Rooftopでは「少年の叫び2020」開催日まで数回にわけて掲載していく予定。

僕にとってライブハウスは出会いの宝庫であった

気が付けば6月も後半に差し掛かっている。
冬と春の間の時期から時計は止まっているようで、着実に時間は流れているし、その間も出来るだけ心情が停滞しないようにと意識して生きたいと思ってきた。

年齢と共に時間の体感は速くなるという話を聞く。子供の頃、遊び尽くしてもまだ日が落ちていなかった。という感覚は錯覚なのかもしれないけど、今ですら1日が過ぎ去るのはとても早く。それが一カ月、一年とまとまった期間になると確かに言われる通り時間の流れは加速しているように思う。そういうものなのだ。と安らかな安心で丁寧な生活の中での幸せを模索する事も不可能ではないのかもしれないけど、何故だか今までの歩みを止めたくないと思う。感じたい事があり、知りたい事がまだまだある。そしてその航海は荒波の中に存在すると思ってしまう自分がいる。

4月に今年の5月2日に開催予定だった、「少年の叫び2020」の開催延期を決断した。LOFT9の方々のご厚意で同日配信ライブとして「少年の叫び2020に向けての物語」を行った。そして「少年の叫び2020」の代替日程を頂いた。日付は8月9日、着実に迫っている。

この場所を借りて、その当日に向けての主催者としての意思や考え方について書いていきたい。少し遠ざかってしまった色々に対して力づくでも取り戻していきたい。
そうして出演予定でいてくれるアーティスト、気に掛けてくれる方、関係者の方、全てに対してのメッセージを届けられたらと思っている。

自宅の部屋の中で過ごす時間が最近は多い。それは昨今の事も関係しているのだろうけど、それとは別に人と会う機会は年々減っているような気がする。いや、友達とも会う頻度が少ないとは言えないし、よく考えれば会ってるよな、結構。と思うけれど、何故だかそんな気がするのだ。

誰かと出会う時に生まれる「はじめまして」
いつかのこの時が必ず来ると思ってた「会いたかった」
長い間会えていなかった、元気そうで良かった「久しぶりだね」

未知の可能性が詰まった何かが始まりそうで、何かを訴えかけてくるようなエネルギーが渦の様に詰まった感じが好きだ。

僕にとってライブハウスは出会いの宝庫であった。成人してからの殆ど全ての出会いはそこから始まった。音楽を鳴らす人達の音に震えて、そうしていつしか自分も音楽を鳴らすようになった。自分の活動を何の為にやっているのかなんて聞かれた事もないし、答えたくもないけれど、音楽を発信する事、イベントを考える事、それは出会いに繋がっていると思っている。だからか、出会いの薄いこの数カ月間は心、薄弱であった気もする。

2000年の初頭、少年の叫びは始まった。元々は僕は企画者として主催を努めていて、それが僕自身のやっているバンドの企画となり、今年度、また企画は形を変えたいと考えた。それが適切な事のように思えた。以前に開催していた新宿JAMが閉店となり、それからの活動の中で出会えた人達と1日を作り上げたいと思った。イベントを小説に例えるなら、新しい章を刻み始めたいと思った。物語の中盤、未だ精一杯、出来る事を思った事を形取りたいと思った。そう、そして今もまた握りしめるように思っている。

昔はよかった。という言葉があまり好きではない。このご時世だから。という言葉も好きではない。確かに昔はよかったと思う事もあるかもしれない。毎日のように出会い続ける事が出来たし、楽しかったな。と振り返り思う事も出来なくはない。けれど、昔は出来なくて今だったら出来る事、考えられる事は確実にあると思う。憤りと切なさと楽しさと可能性の狭間で足掻き続けたなら出会いはこれからも更に重なっていくと信じている。

2020年8月9日、僕は少年の叫び2020を開催したいと思っています。
どういった形になるか分からないけれど、開催予定の日まで49日。
改めて一生懸命に進めていきたいと思います。

現状はこういう感じで、こういう風に考えているという事をこれからここに記していきたいと思います。どうなっていくか分からないけれど、ひとつの終着点に対して努力出来なければ次はあるようでない気がする。それでも極めて微力な自分を信じて日々を紡いでいきたいと思っています。

諦めてしまうというのがとてつもなく怖い。
この時代以外のどの時代にも生きる事は出来ないから、嘆くよりも最後の幕が閉じるまで想像した光の先を追い求めていきたいと思っています。

また直ぐに書きます。気に留めてもらえたら嬉しいです。

2020/6/22

Text 内藤重人
https://twitter.com/naitoshigeto

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