資産10倍達成の投資家・すぽさん、コロナ後に狙いたい業界は?

すぽさんは、成長性重視の中長期投資で資産を10倍超に増やした投資家です。投資法や投資銘柄について書くブログも人気があり、企業分析の議論の場としても盛り上がっています。そんなすぽさんが注目する業種と、今後の取り組みについて伺いました。


メモ感覚のブログが銘柄分析の議論の場に

――すぽさんはご自身のブログで企業分析を行い、ブログを訪れる人と積極的な議論もしています。どのような経緯でスタートしたのですか。

ブログを始めたのは2011年で、当初は自分が買った株や買おうかなと考えている銘柄の分析を記事にしていました。成長性やビジネスモデルの特徴などを踏まえて「この銘柄のスコアは4.0」みたいなことを自分用のメモ代わりに書いていたんです。

それを続けていたところ、ブログを読んだ方から「この銘柄はどうですか」と質問が届きました。初めて聞いた銘柄だったのですが、その銘柄について頑張って調べて、分析結果を載せました。「成長性はありますね、でも、この点が弱いと思います、だからスコアは3.0だと思います」とか、そんなことを記事にしたのです。

――そこから他の投資家とのつながりが生まれたのですね。

はい。そのころはブログを作ったばかりで、1日のアクセスが5件、そのうち3件が自分というような状態でしたので、反応があったことが嬉しかったですね。

また、銘柄分析は評判が良く、質問数が増えるようになりました。分析作業は自分にとっても勉強になりますし、質問された銘柄の中から良い銘柄が見つかることもあります。ところが、質問の数が増え、対応に追われるようになってしまいます。一時は年間100件ほど質問が来たこともあり、分析する時間が全く足りなくなってしまったのです。

そこで、こちらが一方的に分析するのではなくて、議論をする場にしていこうと考えました。私の見解も言いますが、質問する人にも意見を求めることにしたわけです。

そこで少しハードルが上がり、質問するだけの人が減りました。複数の人の意見が入ることで分析内容も濃くなり、銘柄分析が読めるし議論そのものも楽しめる場として盛り上がっていったんです。

――すぽさんの企業分析力や「成長・ビジネスモデル・割安」という投資方針も、そのやり取りの中で磨かれたのですか。

それはあると思います。「成長・ビジネスモデル・割安」を重視する投資法が広がったのはブログがあったからですし、企業分析を通じて個人投資家の方々とのつながりが広がったのもよかった点でした。

IT・ウェブ関連はコロナで優位性が強まった

――新型コロナウイルスで相場が荒れている中で、市場ではコロナ後の銘柄選びに興味が移っています。注目している業種はどんな業種ですか。

1つは、ITやウェブ関連です。スーパーマーケットや量販店の市場がアマゾンなどに置き換えられてきた過去からも分かる通り、もともとこの分野は優秀な企業が多く、大量の商品を効率よく売ることができます。プラットフォーマーとして認知されれば競合を退けることができますし、アマゾンプライムのようなサブスク型ビジネスをくっつけやすいといったビジネスモデル上の優位性もあります。コロナを機にITやウェブの活用が進んだことで、特徴や優位性がさらに浮き彫りになりました。引き続き成長が期待できる分野で、株価が伸びる銘柄も多く見つかるだろうと思っています。

もう1つは、市場の成長性やビジネスモデルが良い会社で、コロナ影響で業績が落ちた銘柄です。例えば、ホテルなどの旅行関連、飲食店、不動産関連などが挙げられるでしょう。就職市場が不調になると人材派遣やマッチングの会社も業績を落とすことが多いので、コロナ後の回復を見込むという点では、そのような業種も狙い目ではないかと思います。リーマンショックの時も中堅の転職斡旋会社の業績が悪化し、株価が急激に下落したことがありました。

しかし、このタイプの会社は人員を削減することによって割と簡単に赤字から脱出できます。立て直しが進めば株価も戻りますし、実際、この会社の株価もリーマンショックからの数年で数十倍になっています。コロナの影響を一過性なものと捉えるのであれば、業績復活を見越して銘柄を探すのも面白いと思います。

バブルの研究でコロナショックを回避

――今後、投資家として取り組みたいことについて教えてください。

専業になって時間の余裕ができたこともあり、この1年くらいはバブルの研究に興味を持っています。
元の理論はある教授が提唱しているもので、バブルは投資家には馴染みのある言葉ですが、人々の関心が一方向に指数関数的に集中し、支えきれなくなった時に崩れる現象を指しています。

このような組織化と破裂は自然現象としていろんなところで見られるため、バブルを見つける方法、法則性、破裂の兆候などを見つけられるようになりたいと思っているんです。

――投資の世界にも当然バブルと呼ばれる現象があります。不動産バブル、ビットコインバブル、直近ではコロナショックからの回復がコロナバブルと呼ばれています。

そうですね。共通しているのは、割高、割安といった基準とは関係なく、参加者や注目度が指数関数的に増えていくことです。そして、ある水準に達すると勢いが止まり、一気に崩れます。

その研究を追いかけていたら、今年の1月に米国株のバブルが破裂するのではないかという兆候が見えました。そこで実験的に持ち株を全て売り、キャッシュポジションを100%にしたあとでコロナショックがきたのです。

これからさらに研究したいと思うのですが、バブルが弾けるポイントを見つけられれば投資に大いに役立ちますよね。バブル発生のポイントが分からなくても、弾けるところが見えれば空売りやプットで利益を狙うことができます。

――研究しがいがあるテーマですね。

はい。投資は、投資法を磨いたり新たなテーマを立てて研究したり、いろんな楽しみ方ができます。企業分析するだけでも世の中でどんなビジネスが儲かっているのかがわかりますし、分析が正しければ投資して利益を得ることもできます。学べるし、楽しいし、ビジネススキルにもなるという点で、株は最高だと感じますし、今後もブログなどを通じてその魅力を多くの人に伝えたいと思っています。

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