「夜の街」に光が見えない 緊急事態宣言解除後、増加する“客引き”の摘発

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緊急事態宣言明けの風俗業界は、一段と厳しさを増しているようだ。感染者が高止まりしている状態の東京は別格としても、落ち着きを見せてきたとされる地方の風俗街も厳しい状況には変わりはないように見える。

6月13日の地方紙・河北新報によると、仙台市中心部で摘発・警告を受けた客引きが、緊急事態宣言が明けてから急激な増加を見せているというのだ。宣言中(4月16~5月13日)はゼロだった逮捕数が、解除後は6人に増えたという。宣言前は3ヶ月で8人の逮捕だったというから、やはり解除後は堰を切ったように、客引きが動き出したというのが実情だろう。

河北によれば、逮捕された客引きのほとんどがフリーで、なかには19歳の少年もいた。彼らの報酬は完全な歩合制の場合がほとんどなので、逮捕者がいなかった時期は逼塞していたと考えると、文字通り背に腹は代えられないという……というより、食い詰め寸前だったと考えていい。

基本的に筆者は、小さな地方都市を例外(この場合は、純粋に水先案内人の場合がある)とすれば大きな歓楽街の客引きにはぼったくりも多いので、警戒するべしというスタンスだ。特に新宿・歌舞伎町に代表されるような、東京大歓楽街の客引きは極めてぼったくりが多いので、彼らの口車に乗ってはイケナイと再三、指摘している。それだけに客引きに同情する気にもなれない。

ちなみに、仙台で逮捕された19歳の客引きは「コロナの感染拡大で生活費に困り、見よう見まねで始めた」と供述しているそうだ。19歳の少年の“見よう見まね”に頼らなくてはならないというところに、地方の風俗の厳しさが見て取れる。このコロナ禍で、スカウト自身も疲弊してしまい、もともと(金銭的に)体力がない彼らが、淘汰されていったということではないのだろうか。

こうしてみると、アフターコロナの風俗街がどう生き残るかのデザインは。正直なかなか見えづらい。

客自体が減っているということは、当然、風俗嬢の稼ぎも減っているワケで彼女たちも苦しい生活を強いられている。これは、いわゆる性風俗だけの話ではなく、キャバクラやガールズバーも同様である。筆者の知り合いのなかには、東京での生活を一端切り上げて、地元(実家)に戻ってしのぐ女の子もいる。

光が見えない風俗業界だが、少なくとも「健全営業」の努力をしてきた店舗たちにはなんとか踏ん張ってもらいたい。追い詰められた一部ボッタクリ店などの跋扈が、世間一般の風俗全体への指弾に繋がりかねない状況下だけに、なおさらのことである。(取材・文◎堂本清太)

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