追悼碑「日本と友好の証し」 元捕虜の遺族 ロブ・スハウテンさん(61)

ロブ・スハウテンさん

 福岡俘虜収容所第14分所の追悼碑建立について、元捕虜の遺族でオランダ在住のロブ・スハウテンさん(61)に思いなどを聞いた。電話取材での一問一答は次の通り。

 -建立計画の経緯は。
 被爆70年の2015年8月に長崎を訪れた時、福岡俘虜収容所第2分所の追悼碑を見て感銘を受けた。第14分所の追悼碑が建立されていないということだったので、捕虜らを忘れず、平和な未来をつくるために建立したいと思った。

 -父エバーハードさんは戦時中、どういった体験をしたのか。
 1943年に日本軍の捕虜になり、長崎では三菱造船所で強制労働をさせられていた。45年8月9日は収容所近くのトンネル工事に従事していて被爆したが、難を逃れた。
 当時のことがトラウマ(心的外傷)となっていた父は、長い時間をかけて少しずつ私に当時の体験を語ってくれた。言葉の端々から「同じことを二度と繰り返してはならない」という思いが強く伝わってきた。日本人のことは「恨んでいない」とも言っていた。

 -碑に込める思いは。
 建立は、つらい思いをした元捕虜らを記憶し続けることにつながる。そして、これから世の中をつくる若者たちへ、碑文にある「平和」「友情」「自由」というメッセージを伝えたい。

 -長崎の人たちに言いたいことは。
 碑の建立には、長崎やオランダの支援者をはじめ、多くの人が関わってくれている。心から感謝したいし、追悼碑はオランダと日本の友好の証しになると思う。来年5月には除幕式を予定している。長崎市長をはじめ、大勢の人に来てもらいたい。

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