OKI、水中音響センシング技術を活用して密漁船や水中の不審ダイバーを監視するソリューションを販売開始

近年、アワビやナマコなどは高級食材として組織化・大規模化された密漁団などに狙われることが多く、その被害額は年々大きくなっている。また、夜間に無灯火船で移動し潜水器を用いてダイバーが密漁を行うなど、その手口も巧妙化している。海の資源を守るため、監視カメラやレーダーなどによる監視や、人手によるパトロールなどが行われてきたが、いずれも人件費や装置コストの負担が大きいことに加え、夜間に無灯火船、水中のダイバーの両方を監視し不審者を発見するのは難しいという課題があった。沖電気工業株式会社(以下、OKI)はこれらの課題に着目し、総務省「平成30年度IoTサービス創出支援事業」を矢口港湾建設株式会社、北海道増毛郡増毛町とともに受託して、OKIの水中音響センシング技術を用いて密漁船と水中の不審ダイバーの両方を監視する密漁監視ソリューションの実用化に向けた検証を実施してきた。水中音響センシング技術は、自ら音を発信することなく海中音を受信する水中音響センサーを使用しており、水中を伝わってくるさまざまな音の中から船のエンジンやスクリュー音、ダイバーの呼吸音などをリアルタイムに検出することができる。このため、昼夜を問わず、不審船の侵入、これまで発見が難しかった不審なダイバーの接近を水中の音からいち早く検知して通知することができる。そして今般、OKIは水中音響センシング技術を活用して密漁船や水中の不審なダイバーを監視し検知する「密漁監視ソリューション」を開発し、販売を開始した。合わせて、北海道の増毛郡増毛町、古宇郡泊村、岩内郡岩内町において、同ソリューションによる密漁監視の運用を順次開始する。同ソリューションでは、水中音響センサーが水中の音を集めてクラウドサーバーへ送信し、サーバー内で水中の音を分析、不審な音を検知すると登録通知先へメールが送信される。通知先は任意で設定可能で、関係機関との情報共有や連携も可能だ。実用化検証は2018年度にスタートし、翌2019年には増毛町において水中音響センシング部の耐雑音性を高め、水中音検出性能を改善する追加実験を行った。その結果、水中音響センシング技術を使った密漁監視ソリューションの実用化に成功し、販売に至った。販売開始に合わせて増毛町に加えて、北海道古宇郡泊村、同 岩内郡岩内町においても、密漁監視ソリューションの運用を順次開始する。OKIは、同ソリューションの販売目標を今後3年間で5億円とした。

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