「オンライン参加で肩身が狭い…」会議で“出社組”との格差を減らすワザ

緊急事態宣言が解除され、約2ヵ月間「Stay home」の呼びかけとともに在宅勤務を余儀なくされたビジネスパーソンも、少しずつ出社をするようになっています。都営地下鉄の利用者数のデータからも、通勤時間の利用者が戻ってきているのがわかります。

しかしながら、第二波も懸念されることもあり、テレワークを導入した企業の多くは「新しい生活様式 」の一環としてテレワークを継続・推奨するとみられます。


意外になんとかなる!?オンラインでの業務

業種や企業規模などにもよりますが、テレワーク化が進むことに対し、通勤時間の削減などのメリットは大きく、子育てや介護との両立など、プライベートの充実が図れることからも若い世代を中心に好意的な意見が多くあがっています。

最近では、ZoomやMicrosoft Teamsなどのビデオ会議システムが改良され、背景を壁紙にできるほか、画面共有やチャットの併用などもしやすくなりました。読者の中にも、最初は否応なしの在宅勤務だったのが、むしろ慣れれば各自が在宅で行うほうが効率的だと考えている人もいるのではないでしょうか。

在宅疲れに耐えられず…根強い出社ニーズ

一方で、「在宅勤務疲れ」という言葉がメディアでも取り上げられるようになっています。週刊東洋経済(6月6日号)の調査ではテレワーク実践者が感じたデメリットとして、「仕事のオンオフの切り替えがしづらい」「運動不足になる」「コミュニケーション不足になる」などが挙がっています。

自宅に個室などテレワーク環境がない場合は、会議の邪魔にならないようにと家族も気を使うことが多く、オンオフの切り替えがうまくできずに、労働時間がかえって増加したり、ストレスが溜まっているケースも発生していると考えられます。

リアルとオンラインのハイブリッドの会議運用に課題

そこで、緊急事態宣言解除後の企業は、引き続きテレワークをしたい「在宅組」と会社で業務を行いたい「出社組」双方の要望のバランスを取りながら、組織を運営していくことになります。今回注目したいのは、リアルとオンラインが併存する「ハイブリッド」のケース。

経験がある人もいると思いますが、一部の人だけがオンライン参加をしている場合、場の温度感や進行についていきづらく、参加というよりオブザーブ(外から観察)しているような状況に陥ってしまいます。今後はこのような会議が増える可能性があります。

全員がオンラインでの会議は、全員リアルの会議には及ばないものの、ビデオをオンにすれば全メンバーの表情や反応を見ることができます。冒頭にアイスブレークの時間をとり、わかりやすく伝える資料の作成や説明をするなど運営ノウハウが習熟しつつあります。

また、発言がかぶらないように一人ひとりの発言を注意深く聞きながらコミュニケーションをとるなど、お互いに気遣いをしながら進めることができるようになってきます。慣れてくればオンライン会議の質は高まり、特別の議題を除きリアルと遜色のない運営も不可能ではありません。

しかし、問題なのは多くのメンバーがリアルで集合し、一部がオンライン参加するケースです。たとえば、リアルに集まったメンバーは久しぶりの対面でついつい会話もはずみ、リアルの参加者同士で活発なやりとりを行い、ついには立ち上がり、ホワイトボードを使って説明をし始める――。こんな場面をオンライン参加者どのように感じるでしょうか。

「蚊帳の外」にいる感覚を受けるかもしれません。筆者は、ハイブリッドな会議では全員がオンライン参加の時よりも、情報格差や参加実感の差が生まれる可能性があると考えています。

ハイブリッド会議のリアル/オンラインの格差を克服する会議のルール

では、どのように対応すればよいでしょうか。会議の目的によるところもありますが、全員が共通の理解を持ち、主体的に参加することを目指す場合は、情報量が少ないオンライン側の参加者に合わせたルール設定(以下は例)をすることが重要です。しかしなりより重要なのは、オンラインで参加している側の立場を気遣うことです。

__・事前に会議の目的・アジェンダを伝えておく
・資料はすべて投影で示す(フォントサイズは大きく)
・資料のどの部分(何ページ)を話しているのかを示す
・今、話している人が誰か分かるようにする
・オンライン参加者を指名して随時コメントする機会をつくる
・環境的に可能であれば、リアル参加者も一人1台の端末を使い全員オンライン参加をする__

オンライン化推進のために企業として取り組むべきこと

まず、「オンラインで参加する人が悪い」、「参加しづらいけど仕方がない…」とオンライン参加者が肩身の狭い状況になると、組織のオンライン化を阻害する要因になりかねません。

人事部門や組織のマネジャーは在宅勤務制度が出社できない人への「代替」や「救済措置」ではなく、効率的な業務遂行をするうえで有効な手段であることを認め、育児や介護などの理由がなくても、在宅を選択できることを従業員に理解してもらうことが必要です。実際に、交通費・宿泊費や通勤時間の削減だけでも大きなインパクトが見込めます。

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