窓・サッシのリフォーム費用はいくら?内窓、二重窓や天窓など内容別に解説

住宅の省エネ改修が注目される今、窓・サッシをリフォームする方が増えています。窓・サッシは住宅の断熱性や気密性、防犯性を左右する重要な建材です。今回は、窓・サッシリフォームの施工内容と費用相場についてご紹介します。

窓をリフォームする目的とメリットは?

まずは、窓をリフォームする目的とメリットをご紹介します。「何を目的にリフォームするのか?」を明確にしたうえで、施工内容と費用相場を把握しましょう。

窓の断熱・遮熱性を高め、エアコンを効きやすくする/電気代を節約できる

窓は住宅の開口部において、もっとも熱流入・流出の多い箇所です。具体的にいうと、夏場は約71%の熱が室内に流入し、冬場は約48%の熱が流出するといいます。よって、エアコンなどの冷暖房効率は、窓の性能に左右されるといっても過言ではありません。

冷暖房効率を改善したい場合、断熱効果・遮熱効果がある窓にするのがおすすめです。室内の温度変化が少なくなるため、結果的にエアコンの効きが良くなり、電気代も節約できます。省エネの観点からいうと、断熱効果・遮熱効果がある窓は極めて有効です。

結露対策になる

冬場の悩みの種となるのが、窓ガラスの結露です。結露は室内温度と外気温度の差によって生じる自然現象で、こまめな換気や結露防止スプレーで対策するのが一般的ですが、これらの方法は一時しのぎに過ぎません。根本的に改善したいなら、結露が生じにくい複層ガラスや、防露ガラスに交換するのがおすすめです。

防音・防犯対策ができる

電車の走行音や楽器の音漏れをはじめ、屋内・屋外の騒音に悩まされることがあります。その場合、防音・遮音性を高めた防音ガラスに交換するのがおすすめです。一般的な窓ガラスに比べ、明らかに“騒音レベル”が低下します。夜も静かな環境で眠りにつけるはずです。

また、窓は住宅の防犯性に影響します。「警視庁」によると、侵入窃盗(空き巣)の侵入経路は、一戸建て・共同住宅ともに「窓」がもっとも多いとのことです。その割合は57.6%で、次いで18.2%の「表出入り口」、15.8%の「その他の出入り口」と続きます。したがって、「割られにくい窓(侵入されにくい窓)」さえあれば、空き巣被害を防ぎやすくなるでしょう。

近年は、複層ガラスをベースに、頑丈な中間特殊膜を封入した「防犯ガラス」という種類も登場しています。リフォーム費用は割高となりますが、家族の安全・安心を得るために選ぶ方が増えています。

窓・サッシリフォームの施工方法と費用相場

窓・サッシリフォームの施行方法と費用相場についてお話します。なお、窓・サッシリフォームの費用相場は、窓の値段や施工内容によって大きく変動します。他のリフォームに比べ、価格幅が大きくなる点に注意が必要です。以下の金額は、あくまでも参考程度に留めておきましょう。

カバー工法

窓ガラスとサッシを同時に交換する施行方法の一種です。既存のサッシに新しいサッシを被せるためカバー工法と呼ばれ、窓全体をリフォームする際に用います。窓ガラスは交換となりますが、さまざまな性能・機能を備えるもののなかから、目的やニーズに合わせて選択可能です。

住宅の状態によっては、カバー工法が使えない場合もあります。歳月とともに窓に歪みが生じ、新しいサッシを被らせられないケースがあるためです。また、施工後は窓の大きさが変わります。既存状態に新しいサッシを被せることから、ガラス窓の面積は、2cm程度小さくなります。

後述する“はつり工法”に比べてリフォーム費用は割高です。窓ガラス・サッシのグレードによりますが、一般的な180cm×170cmの窓で1箇所あたり約16万~20万円前後です。

はつり工法

既存のサッシを撤去し、新しいサッシと窓ガラスに交換する施工方法です。こちらはサッシの撤去にともない、設置跡の壁の補修工事が必要となります。そのため、カバー工法に比べるとリフォーム費用は割高です。費用相場は180×170cmの窓で、1箇所あたり約30万~50万円前後となります。施工後に窓の大きさを変えたくない場合は、“はつり工法”でリフォームすると良いでしょう。

窓ガラスの交換

既存のサッシを流用し、窓ガラスのみ交換する方法もあります。窓ガラス交換にかかる費用は、ガラスの種類とサイズ、厚さによって変動します。主なガラスの種類は、以下の通りです。

【一般ガラス】

・フロートガラス
・網入りガラス
・型板ガラス
・すり板ガラス

【機能性ガラス】

・複層ガラス
・Low-E複層ガラス
・強化ガラス
・防音ガラス
・防犯ガラス
・防火ガラス

窓ガラスは「一般ガラス」と「機能性ガラス」の2種類に大別されます。フロートガラスをはじめとする一般ガラスの交換費用は、施工費込みで約1万3000~3万円前後です。機能性ガラスはやや割高で、1枚あたり約3万~5万円前後となります。

窓のサイズを変える場合

窓のサイズを変える場合、窓ガラス・サッシの交換とは別に外壁解体工事がともないます。費用相場は約20万~60万円前後で、場合によっては100万円を超えることも珍しくありません。

具体的な内訳は、外壁解体費用が約10万~15万円前後、防水工事が約3万~5万円前後、足場代などの特殊工事(2階をリフォームする場合)に約10万円前後、廃材処分費用などの諸経費が約5000~1万円前後です。これにガラス代・サッシ代などが加算され、トータル費用は約20万~60万円前後となります。

外壁窓・室内窓を増設

室内をより明るくしたい、開放感のある部屋にしたいと考え、自宅に窓を増設する方が増えています。窓の増設リフォームには、いくつかのパターンがあります。

・玄関やキッチンに小窓を増設
・天井に天窓(トップライト)を増設
・リビングに掃き出し窓を増設
・室内窓を増設

通常、窓の増設リフォームには外壁解体工事がともないます。増設する窓のタイプや場所によりますが、費用相場は約15万~50万円前後です。ただ、外壁解体工事が不要な室内窓の増設においては、やや費用を抑えられるでしょう。

注意点として、窓は増設できる場所が限られます。なぜなら、近年の建築物には耐震性を高めるために「筋交い(すじかい)」という柱が使用されているためです。リフォームしたい壁に筋交いがある場合、耐震性低下の恐れがあるため、窓の増設は困難となります。筋交いの有無、ならびに増設リフォームの可否については、専門家に相談して判断してもらいましょう。

出窓にリフォーム

新しく出窓を増設する場合、リフォームの費用相場は約13万~50万円前後です。代表的な出窓の種類と特徴は以下の通りです。

・台形/角型出窓:もっともスタンダードな台形・角型の出窓。費用相場は約13万~25万円前後

・三角出窓:三角型の細長い出窓。費用相場は約20万~50万円前後

・弓形出窓(ボゥウィンドウ):半円形の出窓。費用相場は約20万~50万円前後

出窓リフォームの施工方法は、先述した窓の増設とほぼ同様です。外壁解体工事が必要なほか、2階に増設する場合は足場代などもかかります。

出窓を増設するメリットは、部屋がより広く感じることです。外壁から張り出ている分だけ奥行きを感じるため、一般的な窓よりも開放感が得られます。ただ、「窓ガラスに結露が生じやすい」、「“風切り音”が発生する」などのデメリットもあるため、増設の際はしっかりと検討するのが大切です。

網戸の交換

外気や日差しにさらされる網戸は、歳月とともに劣化します。網戸自体の耐用年数は5~10年ですが、状態によっては早急な交換が必要です。自宅の網戸が以下の状態にある場合、交換時期が近づいているサインです。

【網戸交換のサイン】

・前回の交換から10年以上経過している
・網戸枠が歪んできた
・戸車が破損している
・網戸シートが破れている/穴が空いている
・網戸が動かしづらい
・網戸が外れやすい
・網戸をしているのに虫が入ってくる

いずれも網戸の経年劣化によるもので、網戸シートの補修・張り替え、または網戸自体の交換が必要となります。前者は道具さえあればDIY可能ですが、後者はリフォーム会社に依頼するのが一般的です。なお、網戸交換を依頼する場合、施工費込みで1枚あたり約2万~3万円前後の費用がかかります。

窓枠の塗装

窓枠の色落ち・ヒビ割れ・変色などが気になる場合、塗装し直すのがおすすめです。ただ、一口に塗装といっても、窓枠にペンキを塗るだけでの簡単な作業ではありません。窓枠用の専用塗料を使用したり、塗装前に養生や下地処理を行ったりします。そのため、職人以外が窓枠塗装に挑戦するには、ややハードルが高いかもしれません。自信がない場合はリフォーム会社に依頼してみましょう。

なお、依頼した場合の費用相場は、1箇所あたり約4万~6万円前後です。窓枠の材質や大きさによって変動するため、詳しくはリフォーム会社にお問い合わせください。

目的と工事内容別!費用と注意ポイントをチェック

窓・サッシリフォームの工事内容と費用相場、注意したいポイントを目的別でご紹介します。知っておきたい豆知識にも触れるため、ぜひ参考にしてください。

【断熱・結露対策】窓ガラス・サッシを交換/内窓を設置

まず挙げられるのは、断熱・結露対策が目的のリフォームです。住宅の断熱性能を高め、冷房効果・暖房効果を向上させたい場合には、窓ガラス・サッシの交換をおすすめします。窓は住宅の開口部において、外から流入・流出する熱量がもっとも多い箇所のためです。

「一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会」によると、夏場は73%の熱が窓から流入し、冬場は53%の熱が流出するとされています。つまり、住宅の断熱性を高めるには、断熱効果・遮熱効果がある窓にリフォームするのが有効といえます。

実際にリフォームを検討する際、交換する窓ガラスは「複層ガラス」や「Low-E 複層ガラス」をおすすめします。これらは一般的な窓に比べ、2倍~5倍の断熱効果・遮熱効果を誇る機能性ガラスの一種です。

断熱の観点でいうと、交換するサッシは「樹脂サッシ」がおすすめです。樹脂サッシとは、熱伝導率が低い樹脂性のサッシを指します。その熱伝導率は、一般的なアルミサッシの約1/1000です。非常に熱を伝えにくい素材であるため、日差しによる熱の影響を受けにくいメリットがあります。

また、リフォームで内窓(二重窓・二重サッシ)を設置すると、住宅の断熱性がさらに高まります。費用相場は1箇所あたり約8万~15万円前後ですが、高窓のような小さい窓であれば、よりリフォーム費用を抑えられるでしょう。

さらに窓の断熱リフォームでは、国や自治体の補助金制度(SII補助金制度など)が利用可能です。上限は15万円ですが、リフォーム費用の1/3が補助対象となるため、積極的に活用していきましょう。

【日射・外からの視線対策】ロールスクリーンの取り付け

ロールスクリーンはすっきりとした印象で、シンプルなデザインのインテリアに馴染みやすい

日射・外からの視線は、ロールスクリーンでさえぎれます。ロールスクリーンとは、窓に取り付ける巻き上げ式のカーテンを指します。一般的なカーテンやサンシェード、ブラインドに比べてコンパクトに収納できるのが特徴です。

ロールスクリーンには、以下のような種類があります。

・遮光タイプ:日差しをさえぎるのに最適なタイプ。スタイルシェードでも代用可

・調光タイプ:部屋の明るさを維持しつつ、外からの視線を遮断できるタイプ

・ダブルタイプ:2種類の生地を用いるタイプ

・機能付きタイプ:抗菌機能・防カビ機能・撥水機能などを備えるタイプ

日差し対策なら遮光タイプ、視線対策なら調光タイプと、目的に合わせて選択しましょう。設置自体は簡単で、内壁やサッシに固定金具を取り付けるだけです。DIYでも十分施工可能でしょう。

ただ、天井付近にある窓や高窓、出窓といった場所においては、設置難易度が上がります。自分で取り付けるのが難しい場合、リフォーム会社に一任するのもひとつの手です。一般的なロールスクリーンであれば、1本あたり8000円程度で依頼できます。

【騒音対策】複層ガラスに交換/内窓を設置

表通りに面する住宅などは、窓のリフォームで騒音対策が可能です。まずは、「騒音とは何か?」についてご説明します。

私達の暮らしにおいて、理想的な騒音レベルは昼間が45dB以下、夜間は35dB以下といいます。ここでいうdB(デシベル)とは、騒音レベルの単位です。数値に比例して音量が大きくなり、騒がしく感じられます。

以下の表をご覧ください。

騒音レベル   騒音環境(例)    人の感じ方
30dB     深夜の住宅地     静か
40dB     図書館        普通
50dB     静かな事務所     普通
60dB     百貨店の店内     うるさい
70dB     車のアイドリング音  うるさい
80dB     広い交差点      非常にうるさい

室内にいる場合、上記のような「音」は窓や壁、天井から侵入して耳に届きます。一般的な窓ガラスには、騒音レベルをマイナス25dB引き下げる効果があるため、実際はもう少しだけ静かに聞こえるでしょう。

問題なのは、窓というフィルターがあっても45dB以下(昼間)または35dB(夜間)まで下がらない音です。上記でいう「車のアイドリング音(70dB)」や「広い交差点(80dB)」は、まさしく“騒音”に分類されます。

騒音対策としての窓・サッシリフォームには、2つのパターンがあります。ひとつは、窓ガラスの交換です。複層ガラスや「防音ガラス(異厚複層ガラスなど)」など、防音効果がある窓ガラスを取り付けることで、周囲の騒音を遮断します。特に防音ガラスは、騒音レベルをマイナス30dBまで引き下げる効果が認められています。

もうひとつは、内窓の設置です。リフォームで二重窓・二重サッシにすることで、騒音レベルをマイナス40dB引き下げられます。これらの窓リフォームを行うだけで、騒音によるストレスから解放されるでしょう。なお、防音ガラスに交換する場合は3万~15万円前後、二重窓にリフォームする場合は約5万~12万円前後の費用がかかります。

【防犯】二重窓や防犯ガラスに交換

空き巣による侵入手口の6割以上は、“ガラス破り”といいます。そのため、割られにくく、侵入されづらい窓ガラスに交換することが、防犯対策につながります。例えば、リビングの窓を二重窓にしたり、「防犯ガラス」に交換したりするのが有効です。おすすめは防犯ガラスで、「CPマーク」が付与された製品を選ぶと良いでしょう。

CPマークとは、警察庁や国土交通省が中心となり制定した「防犯性能の高い建材」を示す証です。これはさまざまな攻撃手段に対し、5分間以上耐えた製品にのみ付与されるマークとなります。防犯性は折り紙付きのため、ガラス選びの際にはCPマークの有無を確認しましょう。なお、防犯ガラスに交換する際の費用は、1枚あたり約3万~5万円前後が目安です。

【耐震】補強フレームを設置

地震などの自然災害に備え、窓の耐震リフォームを行う方が増えています。窓の耐震リフォームは大きくわけて2つ、「窓を減らす・小さくする」か「補強フレームを設置する」かです。

前者は外壁工事をともなうため、リフォーム費用が割高です。窓の場所やガラスの種類によりますが、150万円前後はかかるでしょう。一方の後者は比較的安価に設置でき、100万円前後で施行可能です。

そもそも耐震補強フレームとは、屋外側の窓サッシに外付けする特殊な金属枠を指します。近年はサッシメーカーの多くが耐震補強フレームを販売しており、リフォーム会社に依頼することで、後付けできます。フレームのデザインや機能性など、詳しくはリフォーム会社にお問い合わせください。

【防風・防雨】シャッター・雨戸の取り付け、交換

窓の防風・防雨対策を検討するなら、雨戸の取り付けが有効です。雨戸には既存のサッシに取り付ける「シャッター式雨戸」やサッシごと取り替える「レール式雨戸」、「引き戸式雨戸」などの種類があります。機密性や通気性、水密製は製品ごとに異なるため、さまざまな雨戸を比較検討することが大切です。雨戸リフォームの費用相場は、1戸あたり約10万~15万円前後となります。

よくある失敗事例と対策

ここでは、ありがちな窓・サッシリフォームの失敗事例をご紹介するとともに、その対策について解説します。

窓を増設したら冷暖房の効きが悪くなり電気代が上がった

窓の増設には、住宅の断熱性や気密性が低下するデメリットがあります。また増設箇所が悪いと、日中に強い日差しが入り込み、室内が高温状態になることも少なくありません。結果的に冷暖房効率が低下し、電気代が上がってしまいます。増設する場所をしっかりと吟味するのが大切です。窓の採光は重要ですが、このような失敗例が生じる可能性も、念頭に置いておきましょう。

価格を重視したらインテリアと合わなかった

近年使われる窓・サッシのデザインは、想像以上に豊富です。価格ばかり重視していると、インテリアとうまく調和せず、窓の存在が浮いてしまう可能性があります。窓・サッシを選ぶ際は、床や壁紙、インテリアとのバランスが大切です。トータルコーディネートを意識し、お部屋にマッチする窓を選びましょう。

出窓を作ったら結露がひどく、カビが発生した

出窓は外側に飛び出ている分、外気に触れる面積が大きくなります。通常の窓よりも結露が発生しやすいため、何らかの結露対策が欠かせません。定期的に換気したり、ガラスに結露防止シートを張ったりと、可能な範囲で対策しましょう。もし予算があれば、結露が発生しにくい複層ガラスに交換するのもひとつの手です。それぞれの物件に合った方法で、快適な室内をつくりあげていきましょう。

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