異例の60試合制 トラウトの2020年シーズンはどうなる?

2011年にメジャーデビューしたマイク・トラウト(エンゼルス)にとって、2020年はメジャー10年目という節目のシーズンとなる。異例の60試合制で行われる2020年シーズン、トラウトはどんな成績を残すのだろうか。メジャーリーグ公式サイトのデービッド・アドラーが「球界最高の選手」を様々な角度から考察している。

60試合制で行われる2020年シーズンだが、トラウトが全60試合に出場する可能性は極めて低い。第1子の誕生を8月に控えており、産休リスト入りによる戦線離脱が予想されているからだ。

アドラーはまず、60試合制のシーズンにおけるトラウトの個人成績について考察。メジャー定着を果たした2012年以降、トラウトは60試合のスパンで平均すると、打率.308、15本塁打、38打点、10盗塁、46得点、出塁率.424、長打率.588、OPS1.012という成績を残している。

また、データサイト「FanGraphs」は今年のトラウトの成績を、打率.296、17本塁打、42打点、6盗塁、46得点、出塁率.439、長打率.614、OPS1.053と予想している。これに近い成績を残すことができれば、アメリカン・リーグのMVP争いにおいてフロントランナーの1人となるだろう。

さらに、アドラーは60試合のスパンにおけるトラウトの最高成績を紹介。各部門の数字は以下のようになっている。

打率 .385(2013年6月25日から9月6日)
本塁打 27(2019年に複数回)
打点 62(2019年5月30日から8月10日)
得点 69(2012年に複数回)
盗塁 29(2012年に複数回)
出塁率 .511(2013年6月27日から9月8日)
長打率 .756(2019年5月30日から8月10日)
OPS 1.217(2018年4月12日から6月18日)

アドラーは次に、トラウトが「歴代最高の28歳」になれるかという点について考察。データサイト「Baseball-Reference」が算出しているWARにおいて、トラウトは27歳のシーズンまでに歴代最高の72.8を記録し、これはタイ・カッブ、ミッキー・マントル、ロジャース・ホーンスビー、アレックス・ロドリゲスといったレジェンドたちを上回っている。

しかし、28歳のシーズンまでにカッブは78.4を記録しており、トラウトがこれを上回るためには5.7が必要。トラウトの過去の実績を60試合に換算すると、WARは3~4あたりの範囲に収まることが予想されるため、カッブの78.4を上回るのは難しい。ただし、トラウトは2018年の開幕60試合時点で打率.308、19本塁打、OPS1.121をマークし、5を超えるWARを記録しているため、「カッブ超え」を果たす可能性はゼロとは言い切れない。

トラウトが例年通りのシーズンを過ごし、WARが3~4あたりの範囲に収まるようであれば、通算WARは76前後となり、ジム・トーメイ、フランク・トーマス、レジー・ジャクソン、ジョニー・ベンチ、ポール・モリターといった殿堂入り選手を上回る。オジー・スミス(76.9)やロビン・ヨーント(77.3)を超える可能性もゼロではなさそうだ。

トラウトが今年中に到達する可能性があるマイルストーンは通算300本塁打である。トラウトは通算285本塁打を記録しており、あと15本で大台に到達。トラウトは過去5年間、チームの開幕60試合で平均16本塁打を放っており、大台に到達する可能性は十分にある。

28歳のシーズンまでに通算300本塁打に到達すれば、ロドリゲス、ケン・グリフィーJr.、ジミー・フォックス、エディ・マシューズ、マントル、アルバート・プーホルス、メル・オット、ジャンカルロ・スタントン、アンドリュー・ジョーンズ、フアン・ゴンザレスに次ぐ史上11人目の快挙となる(300本塁打&200盗塁はロドリゲスに次ぐ史上2人目)。

アドラーは最後に、トラウトはポストシーズンでプレーできるかという点について考察。エンゼルスは今年の60試合のうち、アストロズと10試合、アスレチックスと10試合、ドジャースと6試合を戦う予定であり、スケジュール的に恵まれているとは言えない。

アンソニー・レンドンが加入し、大谷翔平が本格的に二刀流を再開するため、チームの戦力はアップしているが、「FanGraphs」はエンゼルスが地区優勝する確率を12%、ワイルドカードを獲得する確率を16%、ポストシーズン進出の確率を28%と予想しており、前評判は高くない。トラウトはこれを覆し、2014年以来6年ぶり、自身2度目となるポストシーズンの舞台に立つことができるだろうか。

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