
27日に待望のリーグ再開を迎えたJリーグ。(J1は7月4日から)
段階的に観客数を増やしていく見込みだが、7月11日までは無観客での試合開催が決定している。
サポーター不在のゲームは、プレーするものにも、観るものにも殺風景な印象を与えるが、一足先に再開しているラ・リーガの中継ではスタジアムの観衆と声援をバーチャルで再現することで、普段のゲームと変わらない臨場感を味わえる演出がなされている。
では、Jリーグではどのようなアイデアが検討されているのか?
今回は、Withコロナ時代でのニューノーマルな応援スタイルをまとめて紹介してみたい。
家での声援がスタジアムに!画期的なヤマハのリモート声援システム
自宅のソファーがスタジアムに客席に早変わり!そんな画期的なシステムが、ヤマハが開発した遠隔応援アプリ「リモートチアラー」だ。
スマートフォンのアプリなどを通じて「歓声」「拍手」「激励」「大歓声」などのボタンをタップすると、スタジアムに設置されたスピーカーから声援を送ることができる。
ジュビロ磐田、清水エスパルスの協力のもと実施された使用テストでは約190万回ものクリック数を記録。すでにJ2・J3における下記の試合での導入が決定している。私がテストを実際に視聴した印象では、かなりのライブ感が再現されており、サポーターの評判も上々。今後はJリーグにとどまらず代表戦の無観客試合でも実用化されていくのではないだろうか。
なお、「リモートチアラー」はJリーグ公式アプリ「Club J.LEAGUE」よりアクセスすることでスマホ、パソコンにダウンロード可能だ。
リモートアーチラー対応試合
6月27日
J2
甲府vs.新潟、千葉vs.大宮、岡山vs.山口
J3
福島vs.八戸、沼津vs.藤枝、岐阜vs.今治、熊本vs.鹿児島
6月28日
J2
琉球vs.福岡
J3
富山vs.長野、讃岐vs.G大阪U-23
オンライントークショー
ヴェルディでは、27日のホーム開幕戦に合わせて250名を対象にオンライントークショーを実施。

当日の試合メンバーに選ばれなかった選手がトークショーに参加、サポーターは事前にオフィシャルサイトから1,000円で参加券を購入できる。
これまで試合への期待感というものは周辺の駅に着いてからの特別な雰囲気やスタジアムの試合前イベントによって盛り上げてきた。
しかし、オンラインでの視聴スタイルでは盛り上がる間もなく試合が始まってしまうので応援ムードに入りにくい可能性もある。こういった試合外での取り組みは今後も広がっていくだろう。
無観客のスタジアムに夢の段ボールサポーターが出現!
サポーター不在の殺風景なスタジアムにおどろきのアプローチで彩ろうとしているのが、J1鳥栖・J1大分・J2新潟の3チームだ。 そのアイデアは、サポーターの顔写真を貼り付けた段ボール紙をスタジアムに配置するというもの。

サガン鳥栖は、オフィシャルスポンサーの株式会社サガシキと段ボールサポーター『砂段ティーノ(ハコデサポーター)』を共同開発。 同商品は、高さ70cm、幅40cmで、価格は一体3500円(税込)で6月25日まで販売。特設Webサイトにアクセスし、自撮り写真をWeb上から送付すると、それが耐水の段ボールに添付され『砂段ティーノ』として命が吹き込まれる仕組みとなっている。

大分トリニータは、1試合あたり2400万円にものぼる入場料収入の損失をクラウドファンディングでまかなおうと段ボールサポーターによる支援金を募集。サービスに応じて一体2000円から7500円の価格帯で6月24日まで販売を実施した。ホームゲーム当日にどんな景色になるのか楽しみだ。なお、7月から第二弾の展開も予定されているのでサポーターは要チェックだ。

アルビレックス新潟は、撥水加工をほどこした人形ダンボール『アルボールくん』を地元企業と共同開発。 使用後にハンガーとしても再利用可能なポリバレントな『アルボールくん』の価格はおどろきの1500円(税込)。 初回の制作数は4000体で6月30日(火)23:59まで申し込み可能。購入の際に写真やイラストをメール送信することで完成する仕組みだ。 サポーターはぜひチェックしてみて欲しい。
こうした段ボールサポーターは写真で見ると滑稽に思えるかもしれないが実際には選手にとっても大事なことだ。コロナ後に一番先に再開したブンデスリーガではホームチームの勝率が落ち、ホームアドバンテージが少なっていることを指摘されている。サポーターの顔だけでもせめて届けることができればきっとチームの力になるはずだ。
オンラインでの放映も進化は続く
ツエーゲン金沢はアイ・オー・データ機器の「PlatCast(プラットキャスト)」を活用しファン・サポーター向け音声放送を実施。サポーターによるチャントをPlatCastを使って音声放送するという。

これはリアルタイムにサポーターが集いその応援が流れるというものではないが、あらかじめ録音しておいたチャントをDAZNでの放映と共に流すことで少しでも臨場感のある試合を楽しんでもらおうといったものだ。
気になるラグも3秒程度と少ないそうだ。
それ以外にも投げ銭システムが波及中だ。
チケット収入、スタジアムでの飲食・グッズ収入が見込めないJクラブの危機的な状況を打破するのが、サポーターがオンラインでご祝儀を贈る「投げ銭システム」かもしれない。
各クラブは「YouTube Live」のスーパーチャットや音声配信アプリ「stand.fm」、スポーツエンターテイメントアプリ「Player!」などのシステムを利用してマネタイズを企図。
J再開前のイベントやトレーニングマッチで投げ銭システムを導入した鹿島アントラーズや浦和レッズは、予想以上のサポーターが参加し大きな反響と成果があったことを発表している。
課題は、アプリの選択とユーザー登録という一手間。 現在、各クラブが投げ銭に最適なアプリやプラットフォームを模索している段階なので、詳細は応援チームのホームページを確認してみて欲しい。
街がフロンターレカラー一色に
スタジアムに入場出来ないのならば、街全体をスタジアムに変えればいいーー 逆転の発想ともいえるアイデアで、ホームタウンを水色に染めあげようとしているのが、川崎フロンターレのサポーター集団・川崎華族。

チームフラッグを家のベランダやお店の軒に掲げ、ユニフォームを着用したサポーターが市内を歩くことで試合当日の街全体をフロンターレカラーに染めてしまう。そんな大胆な企画を発案している。
フロンターレが勝利した際には、街中で大きな花火を打ち上げて祝福する演出も用意しているそう。サポーターと地域、クラブが一体となって形作るホームタウンの景色がいったいどんなものになるのか。今から楽しみだ。