ライバル不在のワゴンRにムーヴが挑戦! ダイハツが仕掛けたハイトワゴン戦争【偉大なライバル】

ダイハツ 初代ムーヴ

打倒ワゴンR! ライバル意識がえぐ過ぎた

突如としてデビューしたスズキ 初代ワゴンRはデビュー直後から大ヒット! ダイハツは当時対抗できるクルマを持っておらず窮地に……

1993年に登場したは、室内はこれまでの軽自動車とは比べ物にならないほどで、インパクト大な見た目と見事なパッケージングで一躍スズキを支えるヒットメーカーにまで上り詰めた、いわば軽自動車の革命児。だが、スズキ最大のライバルであるダイハツは、ワゴンRのヒットを横目に悔しい思いをしていたのだ。

ワゴンRってそんなに革命的だったの? そのワケはコチラ▼

ムーヴ発売前まで、ダイハツはミラやオプティといったセダンタイプのみであった。そこでワゴンRと戦うべく、ミラをベースに開発したのが初代ムーヴで、インパネなど多くの部分を流用していた

当時のダイハツは、ミラやオプティといったセダンタイプのしかラインアップしておらず、ワゴンRに真っ向から戦えるクルマを持ち合わせていなかった。

そこでダイハツは宿敵と戦うべく、遅れること2年後の1995年に登場したのが、初代ムーヴだ。先発のライバルに打ち勝つべく、ムーヴの内容はプライドはないのか? と言われるほど、ワゴンRを意識した内容であった。

後発のムーヴはライバルのネガを払拭

左右対称デザインの5ドア、ラゲッジは横開きといった差別化は図られたものの、ワゴンRにかなり似ていた

当時のワゴンRは左右非対称の3ドアを採用していたが、ムーヴは使い勝手のいい5ドアに。それに加え、ワゴンRよりも約30kg軽量に仕上げたほか、当初ワゴンRに設定のなかったターボモデルをラインアップするなど、とにかく打倒ワゴンR! というのがモロバレな内容であった。

後に良きライバルへ!

ムーヴが素晴らしいのはノーマルモデルのほかにスポーティなカスタムをすぐに追加したこと。これにより軽自動車に興味のなかった層に見事ヒット! これにはスズキも黙っていられず、RRやスティングレイといった派生モデルを後に発売

と、ここまで読むとムーヴはパクリカーと思われそうだが、後に先発のワゴンRもムーヴを意識した商品展開をしている。

ムーヴはノーマルモデルに加え、フロントフェイスなどをスポーティに仕立てたカスタムという2グレード展開を実施し、これがとにかくウケた。そこに打ち勝つべく、ワゴンRも2代目モデルでRR(ダブルアール)というスポーツグレードを、3代目モデルでスティングレイというカスタムモデルを追加と、常にお互いがライバルを意識しているのだ。

ワゴンRとムーヴの戦いが始まって今年で25年。これまでしのぎを削ってきたからこそ、今の軽自動車があるのだ。これからも良きライバルとしてもっといいクルマになってもらいたい。

【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】

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