配管のリフォーム費用相場はいくら?マンションでも工事可能か解説

配管の種類と特徴

私たちが暮らす住宅には、生活水を通す配管が設置されています。店舗などを含めると、さまざまな配管が存在しますが、ここでは一般的な住戸に使われている配管についてご紹介します。

給水のための給水管と給湯管、排水のための排水管

配管には「給水管・給湯管」と「排水管」があります。給水管とは、建物内で使用する飲料水などの上水を供給するための配管。給湯管は、給湯器などで熱された湯をお風呂やキッチン、洗面台などへ供給するための配管です。排水管とは、建物から出される汚れた水を流すための配管で、お風呂やキッチン、トイレなどの生活用水を下水道に流してくれます。配管には、それぞれに適した材質があり、最近では非金属のものもなどがあります。

水道用亜鉛めっき鋼管

かつては配管といえばこの「水道用亜鉛めっき鋼管」が主流でしたが、現在では、給水管への使用が禁止されています。亜鉛メッキでできているため、接続部などで鉄と水が接触することで錆びやすいのが欠点。赤錆が生じて、赤色の水がでてくる場合があります。また、接続部の材料の一部が流れ出したり、清掃が不十分だったりすることが原因で、異物・悪臭などの不具合もまれにあるようです。錆びやすく、不具合が多い素材だということもあり、1997年のJIS改正により新たに設置することができなくなっています。

水道用硬質塩化ビニル管

給水・給湯管の素材として、硬質塩化ビニル、架橋ポリエチレン、ステンレスなどがありますが、中でも一般的によく使われるのが水道用硬質塩化ビニル管。水道用硬質塩化ビニル管は、塩化ビニル樹脂に安定剤や顔料を添加したもので、作業がしやすく安価なことで、戸建て住宅に多く使用されています。

硬質塩化ビニルライニング鋼管

亜鉛めっき鋼管に代わって現在、主流となっているのが、硬質塩化ビニルライニング鋼管。配管内面の腐食問題は解消できましたが、耐熱性の面では優れているとはいえないようです。

ステンレス管

ステンレス管は耐震性、耐食性にすぐれているのがメリット。寿命も半永久的で錆なども出ない優れた素材ですが、高価なため採用されることはあまり多くありません。

給排水管の交換時期は?

飲料水をふくめ、毎日の生活に使用する水ですから、清潔なものでなければなりません。給排水管は時間の経過とともに劣化するものですが、素人ではなかなかその劣化具合に気付くことが難しいものです。交換のタイミングの目安や判断基準などを知っておきたいですね。

サビが混じって赤い水がでてきたり、漏水していたら交換

赤色や白濁した水が出てくるのは管のさびが原因。腐食して給排水管の成分が溶け出すと、朝いちばんに水をだしたときに白濁を確認できます。錆の混入率が低いうちは黄色の水、錆の混入率が高くなってくると赤色の水が出てくるようになります。こうなると重度な劣化と判断し、検査や改修工事を行う必要があります。

流れが悪い場合は高圧洗浄

流れの悪さが気になるときや、詰まって流れなくなってしまったときに行うのが高圧洗浄。高圧洗浄機を使って管内に付着している詰まりの原因を、高圧の水で除去していきます。定期的に洗浄を行うことで、詰まりや流れの悪さを予防することができるとされています。

給排水管の耐久年数は、どの素材で作られているかによって異なります。たとえばステンレス管は半永久的、樹脂製の場合は30年と寿命が長いですが、硬質塩化ビニルライニング鋼管では20~25年。水道用亜鉛メッキ鋼管は15~20年となります。

配管が設置されているのは床や壁

配管の設置方法としては壁に配管を収納する壁給水・壁排水という方式と、床に配管を設置する床給水・床排水という2種類の方法があります。それぞれについてメリットとデメリットをご紹介します。

壁給水・壁排水のメリットとデメリット

壁給水・壁排水のメリットは、配管を壁の中に配置することによって、足元のスペースに余裕ができたりデザイン性が良くなったりすること。収納スペースを多く確保することもできます。リフォームで新たに壁内に配管を通す場合には、壁を工事する必要があるので注意が必要です。また給水管を壁に入れると、元栓も壁の中におさめることが多く、その場合、水量を調整できないなどのデメリットもあります。

床給水・床排水のメリットとデメリット

床給水・床排水は、勾配の関係で排水を流しやすいというメリットがあります。キッチンやトイレなど、水以外のものが流れることが多い部分については床排水が向いています。リフォームの際に床を工事するだけで配管を引き出せるので工事費用を抑えられることもメリット。床からの配管は、見た目やスペース的な部分がデメリットといえるでしょう。

給排水管の交換・移設・補修にかかる費用と工期目安

トイレやキッチン、お風呂場、洗面台など、あらゆる水回りにおいて配管が設置されていて、さまざまな箇所に排水口があり、下水や排水部分でつまったり悪臭などに加え水漏れなどがおきる可能性があります。

排水トラブルの原因の多くは、異物が排水管の中に残ってしまって蓄積してしまうこと。キッチンでは油や残飯などが流れ、お風呂場や洗面台では湯垢や髪の毛、石鹸などが流れます。これらの汚れがたまることによって、詰まりや悪臭の原因になってしまいます。日ごろからできるだけ異物を流さないようにすることで予防できますが、トラブルが発生したときには早めに交換や洗浄を検討しましょう。

配管の交換

排管の交換は、部分的か全体的かによって費用がかなり変わってきます。給水管を部分的に交換するなら1万円程度ですが、全体的に交換すると約15万~20万円程度。排水管は、給水管よりも少し高めの相場と考えておくといいでしょう。

配管の移設

リフォームによってキッチンやトイレなど水回りを移動させたい場合、配管の移設が必要になります。移設は、もともとの給排水管からの延長工事の費用など余分にかかり、同じ位置でのリフォームよりも手間も費用もかかります。配管ルートの取り方によって費用に差が出てきますので一概にいえませんが、約10万~100万円程度。無理のない移設かどうか、建築士やリフォーム会社に相談することをおすすめします。

高圧洗浄

高圧洗浄の中でも、プロに依頼するといくつか段階があり、標準的な高圧洗浄で約1万~4万円程度、高度な高圧洗浄になると10万円近くかかることもあります。

給排水管の交換・移設・補修にかかる費用について、いずれも料金は目安となるもので、住宅の設備によって異なります。交換や移設、洗浄を依頼する前に相談してみることをおすすめします。

マンションの場合、配管リフォームは可能?費用は?

専有部分にある給湯管は可能

中古マンションマンションの場合、給排水管は建物の壁や床下におさめられていることがほとんど。直接目にする部分ではないので、トラブルに気付きにくいのが難点です。マンションの専有部分とは、主に「〇〇号室」として区切られた部分を指します。共有部分については、管理組合をとおして決定する事項なので、勝手にリフォームをすることはできません。マンションの場合、住人がリフォームをしてもよい配管は専有部分に限られるので注意が必要です。

マンションの場合、専有部分の給排水管に漏水などが起こると、下階の住戸に大きな被害をもたらしてしまい、損害の賠償などが自己負担となります。住宅の構造上、瑕疵(欠陥)などが見つかった場合に売主が責任を負うのが「瑕疵担保責任」。配管のトラブルが瑕疵によるものであれば、修繕や補修の請求をすることが可能なので、事前に確認しておくことをおすすめします。

マンションの配管リフォーム費用はいくら?

マンションの配管リフォームは、戸建住宅と比べると費用が高くなります。配管がどこを通っているか、マンションの規模によっても異なりますが、配管にかかわる費用に加え、壁や床を解体し、再設置するなどの費用もかかるので、トータルで50万円から100万円ほどと考えておくとよいでしょう。

共有部分の配管がしっかり管理されているかチェック

水に錆が混じるなどのトラブルがあれば詳しいチェックが必要ですが、特に変化が感じられない場合も、定期的に点検がされているかは重要ポイント。2~3年に1回は配管の点検、10年に1回は配管まわりの器具の交換。一般的に配管を交換する目安は、給水管で30年、排水管で40年程度とされていますが、20年を超えたら共有部の配管交換が必要だと考えておきましょう。中古マンションの場合は、古いタイプの配管が使われている可能性があるので、特に劣化チェックは重要です。

配管リフォームをする際のポイント

同時に壁や床、水まわりをリフォームしよう

水漏れや錆など、具体的な症状がある場合は、できるだけはやい段階でリフォームが必要になるものの、配管交換のみのリフォームはよく検討してからのほうがよいかもしれません。

配管のみ交換や移設をするにも床や壁を解体する必要が出てくる場合がほとんど。水回りの設備を取り外したり再設置したりしなければなりません。配管の交換自体が数千円で済むとしても、その他の解体や取り付けに100万円以上かかるケースもあります。配管交換のためだけに壁・床を壊すのは効率が悪いですよね。せっかく費用をかけて工事を行うのであれば、配管だけでなく、その周辺に関わる部分も同時にリフォームしてしまうほうが長期的にみてお得になるかもしれません。

建物そのものよりも寿命が短い配管ですが、給排水は生活必需品で、重要なパーツ。構造によってはリフォームがしづらい、高額になってしまうケースもありますので、適切な時期がきたときに交換や移設がしやすいかどうか、購入するときにしっかりと確認しておくことも重要かもしれません。快適に長く住み続けるために、配管リフォームに合わせて、住居全体でリフォームが必要な部分がないか、検討してみるといいでしょう。

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