各球団が続々と発表 60人の「プレーヤー・プール」って何?

日本時間6月29日、メジャーリーグでは最大60人の選手を登録できる「プレーヤー・プール」の提出期限を迎え、各球団が続々と登録選手の顔ぶれを発表している。今年、夏季キャンプや公式戦に参加できるのは、この「プレーヤー・プール」に登録されている選手に限られている。ここでは、「プレーヤー・プール」についてのルールを簡単に確認しておこう。

各球団が最初の「プレーヤー・プール」を提出する期限は、日本時間6月29日午前5時となっていた。この最大60人の登録枠には、従来の40人ロースターに登録されている選手のうち、2020年シーズン中に公式戦出場の可能性がある全ての選手のほか、マイナー契約でチームに所属している選手(プロスペクトも含む)が登録される。最もシンプルな例を挙げれば、40人ロースター内の40人+マイナー契約の20人を登録できるということになる。

夏季キャンプは従来のキャンプ施設ではなく、基本的には各球団の本拠地球場で行われるため、60人全員を受け入れるほどのキャパシティがない。そのため、「プレーヤー・プール」に登録された選手は、本拠地での夏季キャンプに参加するグループと、別のトレーニング施設での練習に参加するグループに分けられる。すでに「プレーヤー・プール」をこの2つのグループに分けて発表しているチームもある。

開幕時のロースターには30人を登録できるため、この30人以外の選手たちはトレーニング施設に残り、メジャー昇格の機会を待つことになる。

「プレーヤー・プール」に登録されている選手は、自由に入れ替えができるわけではなく、トレード、ウエーバー、DFA、リリースなど、基本的には他球団へ流出するリスクを背負うことになる。選手が45日間の故障者リストやコロナ用の故障者リストに登録された場合は、人数のカウント対象外となるため、新たな選手を追加できる。ただし、離脱していた選手が復帰した場合、登録選手が60人を超えるのであれば、いずれかの選手を「プレーヤー・プール」から外す必要がある。また、一度「プレーヤー・プール」から外れた選手は、同じチームで再び「プレーヤー・プール」に登録することはできない。

今年中にメジャーでプレーする可能性が低いプロスペクト(若手有望株)が「プレーヤー・プール」に登録される例も見られるが、これは次代を担う選手たちにメジャーリーガーとともに練習するという貴重な経験を積ませることが主な目的となっている。

また、今年のトレードは「プレーヤー・プール」に登録されている選手のみが対象となる。これは移動する選手の数を制限し、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する狙いがあるようだ。

さらに、2020年シーズンには「タクシー・スクワッド」という制度も設けられている。これは、遠征時に予備登録選手として3人の選手を帯同させることができるというものだ(3人のうち最低1人は捕手)。急な故障者やコロナ感染者の発生に備えたものであり、予備選手をあらかじめチームとともに移動させておくことで、予備選手が民間の航空機で移動してコロナ感染のリスクに晒されるのを防ぐことが最大の目的だ。

「プレーヤー・プール」を含むロースターのルールについては、ここに記したよりも細かな内容が定められているが、大まかな内容としては以上となる。なお、この記事はメジャーリーグ公式サイトのマーク・フェインサンドによる「FAQ: Roster and transaction rules for 2020」という記事を参考にしており、より詳細な内容についてはそちらを参照していただきたい。

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