ナ・リーグのDH導入によって代打の出番は激減か

2020年のメジャーリーグでは、ナショナル・リーグでも指名打者制が導入されることが決定している。これにより、球界には様々な変化が生じることが予想されるが、その1つとして挙げられているのが「代打の出場機会の激減」だ。投手が打席に立つ機会がなくなるため、各球団の監督が代打を起用する回数は間違いなく大幅に減少するだろう。

もちろん、代打の出場機会が完全に消滅するわけではなく、左腕に右打者をぶつけたり、休養でスタメンを外れていた主力打者が試合終盤のチャンスで登場したりするケースは考えられる。しかし、代打が起用されるケースの大半は投手に打順が回ったときであり、代打の出場機会が激減するのは確実だ。

過去3年間を振り返ると、指名打者制が採用された試合での代打起用回数は3676回。これに対し、指名打者制のない試合での代打起用回数は13027回となっており、指名打者制が採用された試合の約3.5倍である。この数字を見るだけでも、ナ・リーグの指名打者制導入によって代打の出場機会が大幅に減少することがわかるだろう。

もう少し細かく数字を見ていくと、過去3年間で投手に代打が送られた回数は10687回。これは指名打者制のない試合での代打の約82%、指名打者制が採用された試合を含めても、メジャー全体の代打の約64%にあたる。単純な計算ではあるものの、投手が打席に立つ機会がなくなることにより、代打の出場機会の6割以上が不要になるというわけだ。

過去3年間で最も代打起用回数が多かったのは、パドレスのグレッグ・ガルシア。2017年と2018年はカージナルス、2019年はパドレスでプレーし、合計164回も代打で起用された。イチローはマーリンズ時代の2017年に歴代最多となる109回も代打で起用されたが、来年以降もナ・リーグで指名打者制が採用されるのであれば、この記録は二度と更新されないかもしれない。

両リーグでの指名打者制導入により、「代打の切り札」という言葉は死語となっていくのだろうか。

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