膝の痛みの解決法【まだ若くても要注意!】

膝の痛みは、高齢者に多いイメージがある。

腰痛、ひざ痛、肩こりなどは、老人を連想しやすい。

しかしこれらの痛みは、40歳に満たなくても普通に起こりうる。
若くても膝を悪くする要素を見ていこう。

膝を傷めやすい加齢以外の要素

・筋力が弱い

脚部の筋肉は膝の屈伸を司り、立ったり歩いたりする際の負荷を受ける部位だ。
この筋肉が十分に発達していないと、膝を傷める可能性が高くなる。

今年はコロナ自粛の影響もあり、例年より更に筋力低下している人が多いと予想される。
自粛モードが完全に払しょくされ、元通りの社会生活に戻れる日を待っている人も多いだろうが、その前に筋肉の調子を取り戻しておきたい。

・関節の柔軟性が低下している

運動不足で衰えるのは筋肉だけではない。
身体をしっかり動かさないでいると、関節の柔軟性も損なわれる。

関節が硬くなっていると、本来の可動域まで広がらないため怪我をしやすい。これは運動をする前にストレッチをする理由のひとつだ。
膝関節が固まっていると、歩く際にふくらはぎや股関節といった余計な場所に負担をかけてしまうケースがあり、それが膝以外のトラブルも招いてしまう。

・体重が重い

運動不足の分かりやすい証拠、それは肥満だ。

飲食物のカロリーよりも消費カロリーが少ないと、その分脂肪として体に蓄積されてしまう。
太ると膝に悪いことは勿論だが、問題は他にもある。

太ると運動が億劫になる。たるんだ体を人に見られるのが恥ずかしくなると、ジムどころか散歩に行くのも嫌になってしまう。

そして更にひきこもり、ストレスをジャンクフードで誤魔化す。
そんな悪循環を避けるためにも、適切な運動で適正体重を保ちたい。

・肉体労働やスポーツで過度の負荷をかけている

運動の大切さを説明してきたが、何事もやり過ぎはまずい。

肉体労働に従事する人やスポーツに打ち込む人は、必要以上の負荷を関節に強いているケースが多い。

運動不足からの関節トラブルには至らなくとも、軟骨のすり減りやスポーツ障害などに苦しむリスクが高まる。

・関節が小さい

これは努力では変えられないところだが、関節が小さい人はそれだけ関節への負荷も大きくなる。
一般的に、女性は男性に比べて関節が小さい。

また、男性であっても体質などで骨格が華奢な場合もある。
そういった人は適度な運動を意識的に行い、大切な関節を守って生活できるように工夫するのがおすすめだ。

このように、膝のトラブルは年齢を問わずリスク管理が必要だ。

受診の目安

日常生活の中で膝のトラブルに気づいた場合、いつ形成外科を受診するのが望ましいだろうか。

立ったり歩いたりする際に痛みを感じるような場合は、まず受診してみるのが安心だ。
また、痛みまではいかなくとも膝のこわばり、曲げ伸ばしのしづらさがある場合、これも整形外科の受診が薦められる。

関節の障害は治りにくく繰り返すものが多い。
レントゲンを撮って問題がなければ何よりだ。

もし問題があったらあったで、それに合わせた治療や医師の指導がある。

どちらにせよ、一生付き合っていく関節は大切に扱うにこしたことはない。

受診の際に伝えることは、事前に紙に書いておくとスムーズだ。

いつ頃から痛いか。何で痛めたか心当たりがあるか。
何をしている時に痛むか。できない動作があるか。

ただ「膝が痛いです」だけでは伝わらない詳細を医師は必要としている。

また、膝にケガをしたことがあるか。肉体労働やスポーツをどのぐらいしてきたか。
体重が増えたりしたか。

これらの点も診察の際には求められる。

病院での治療・家庭で行う治療

膝関節に問題があった場合、まずは非ステロイド抗炎症剤等を使用し、炎症と痛みを鎮める治療が行われる。
重症になると、外科手術を行って正常に戻そうとする場合もある。

これらはある程度症状が出てしまい、仕方なく行われる病院での治療になる。

しかし、膝痛の治療は家庭でもできる。

それは運動療法

形成外科関連の怪我・障害についてよく聞く対処法がある。

「痛くない範囲で動かす」

これが関節のケアについての原則だ。

痛い=安静にする というのは、病気や怪我の療養中に思い浮かびがちな対応だ。
もちろんひたすら安静にすることが必要なケースもある。

しかし膝関節をはじめとした運動器の場合、その名の通り「運動するための部位」だ。こうした、本来動かすことを前提として成り立っている部位は、あまり動かさずにいるとみるみる退化し、こわばり、さらに弱くなってしまうのだ。

例えば階段の上り下りで膝に強い傷みを感じる場合、階段の移動は最小限にしたい。
しかし、平地を歩いても痛み・違和感がなければ積極的にウォーキングすべきだ。

運動には、私たちが想像するよりも多くのメリットがある。

第一に、筋肉を使って発達させることが関節への負担を軽減する。
他にも、関節を動かすことにより体液の循環が促され、痛みの成分などが排出されていく効果もある。

当然、治療目的のみに限らず、十分な運動は肥満を解消して膝関節の負担を根本的に減らしてもくれる。

簡単な運動療法

運動療法というといかにも医学的な感じを受ける。

しかし、難しいことはない。回復と健康管理のための軽いトレーニングのことだ。

椅子に座ったまま脚を上げて腿の前面を鍛える運動をはじめとした筋力トレーニング、関節を動かさず筋肉に力をこめるアイソメトリックトレーニングのほか、
ウォーキングや自転車、スイミングといった有酸素運動も好ましい。

筋力に自信のない人や症状の重い人は、あくまでリハビリ感覚で軽めのものから初めるのが良い。

もし、あなたがまだ若く、高齢者がする健康体操のようなものは馬鹿馬鹿しい、というのであれば、負傷部位に負担をかけない工夫をした上で全力のワークアウトをするのも良いだろう。

ただし覚えておきたいのは、これは療法であり弱った部位を守りつつ強くするためのもの。決して力自慢や根性比べではなく体のケアということだ。

健康管理を当たり前にする

今年はコロナウイルスの大流行があり、日本全体が健康管理への意識を新たにしたに違いない。

しかし、うがいや手洗いといった行為はコロナ流行前から習慣づけるべきものだった。なってからでは遅い。

同様に、他の病気や問題に気を取られないがしろにされがちな膝関節の健康も、適切な運動を習慣づけて当たり前の健康管理のひとつとしたい。

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