厳しい暑さも健やかに過ごす、夏の「養生法」をはじめよう

暑い日が続いたり、急に気温が低くなったりと、今の時季には体調を崩す人も少なくないはず。
健康な心身を養うために日々実践できる、昔からの知恵や工夫を「養生」といいますが、夏には夏の養生があります。
体力を消耗したり、気候の変化に体が影響を受けやすいこの季節、心と体を整える夏の養生・セルフケアをはじめませんか。

そもそも「養生法」ってなに?

「養生法」とは、昔から伝わる健康に暮らすための知恵や工夫のこと。
江戸時代の儒学者・貝原益軒が書いた「養生法」の指南書、『養生訓』でも知られています。

でも難しく考えなくても大丈夫! 実は私たちは日々の生活の中で自然と「養生法」を行っているのです。
例えばムシムシした暑い季節には、体内から余分な水分を排出したり体を冷ます食べものを選んだり、寒いときにはショウガや野菜たっぷりのスープなど、体を温めるものを食べたりしますよね。
疲れたときには早く寝るとか、体が冷えたら足元を温めるとか。そういったセルフケア全般が「養生法」なのです。
今回ご紹介したいのは、厳しい暑さの中で快適に過ごすための「夏の養生法」です。

夏の心と体が受けやすい影響

夏になると毎年「夏バテ」してしまう人もいるかもしれません。
夏は陽の気が盛んになり、生きとし生けるもの全てが活発になり成長する季節。
梅雨が明ける頃から、心が躍りだしそうな高揚感を感じることがありますよね。夏はそんな風に、セルフケアをしつつ精神的にのびのびと大らかに過ごすのが理想的です。

ポジティブに考え、落ち着いて過ごす

古代中国の中医学・五行論でみると、夏は「心(心臓)」の季節。
暑さが苦手な臓器である心臓は、この時期特に負担がかかりやすいそうなので覚えておきましょう。走ったり急な運動をして心臓を驚かせないこと、また焦りや怒り、悲しみなどのネガティブな感情をなるべく持たず、心穏やかに過ごすことは『養生訓』でも推奨されています。

汗のかき過ぎ、冷えを防ぐ

発汗は体内の余分な熱を冷ます生理機能ですが、かき過ぎると体内の水分のみならず「気」も消耗するそうです。気とはすなわちエネルギー、過剰に消耗すると夏バテを引き起こす可能性も。
また近年は室内はどこも冷房がよく効いているため、毛穴がキュッと閉じてしまい発汗しにくい状態になりがちです。すると体内に熱がこもり寒暖差疲れを感じ、その状態が続くと「熱中症」に繋がります。
さらに女性は冷房によって冷えることも体に負担。体温調整に気を付けましょう。

自然とのバランスを整えるために

夏の養生では寒暖差による消耗を防ぎながら、失いがちな体内の水分と気を補うことがポイントです。
発汗で失った水分をこまめに補給することはもちろん、汗や気を過剰に出さないように入浴の回数や時間、温度などを体調に合わせてその都度調整しましょう。
また寝苦しい夜が続くこの季節は、食後に15分程度軽く昼寝をすることもオススメ。寝付けなくても体を横にするだけで、エネルギーが充電されるのを感じるはずです。

私たちの体はそれぞれ違うので体の声に耳を傾けながら、心地よく感じるあなたに合った養生法に出合えるといいですね。

夏には夏の体に合う食事を

夏は中医学的でいう「血」と「気」の不足が起こりやすい季節です。
この時期にはできるだけ、スタミナ満点の料理をよく食べてパワーを補いたいところ。また汗と一緒に「気」だけではなく、体を機能調整するミネラルも消耗しています。
「体の熱を冷まし、潤いを補給し、元気を付ける」ことを意識した食事を心がけましょう。

夏に体が欲する食材

旬の「夏野菜」には体の余分な熱を取り、水分を補う作用があります。
トマトやキュウリ、ゴーヤ、スイカなどのウリ科は積極的に摂りたい野菜。
また発汗後や、喉の渇きが癒されないときにもウリ科の野菜や、トマト、アスパラガスなどが水分を補うのに役立ちます。
スタミナをつける食材はやはり肉類が効果的。「土用の丑」に食べる夏のウナギも、忘れてはいけません。食事で摂った栄養分をエネルギーに変える、代謝に欠かせないビタミンB群が豊富に含まれているのでぜひ。

なるべく常温、加熱が望ましい

胃腸を冷やして消化吸収に影響する、冷えた飲み物やアイスクリームはなるべく控えて、ご褒美としてときどき楽しむ程度に。ドリンクは常温か、温かいものが理想的です。
また生ものも胃腸に負担がかかりやすく、十分な栄養吸収ができないといわれています。適度に加熱すると、量もよりたっぷり摂れるのでオススメですよ。

まとめ

夏の到来で気分はワクワクしているのに、なぜか体がついていかないと感じている人はぜひこの「養生法」を意識してみてください。
気温や季節の変化に柔軟に対応できる習慣が身につくと、一年を通してより健やかに過ごすことができそうです。

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