県内路線価 長崎浜町3年連続上昇 訪日客下支え 県内で前年比上昇は長崎のみ

県内各税務署管内の最高路線価

 長崎税務署は1日、相続税や贈与税の算定基準となる路線価(1月1日時点)の長崎県内分を公表した。1平方メートル当たりの路線価が県内で最も高かったのは、長崎市浜町の浜市アーケードで76万円。上昇率は前年比プラス1.3%で、3年連続の上昇となった。調査に新型コロナウイルスの影響は反映されておらず、税務署は「今後の動向を注視していく」としている。
 浜市アーケードは、記録が残る1992年以来、県内最高。訪日客の増加などが商況を下支えした。前年と比べて上昇したのは県内で長崎だけだった。評価を担当した堺賢作不動産鑑定士はコロナ禍の影響について「一般的に商業地に影響が大きく出る。これまでの上昇率を維持するのは難しいだろう」としている。
 県内8税務署別の最高路線価のうち、横ばいとなったのは佐世保、諫早、平戸、厳原の4署。佐世保は島瀬町の四ケ町通りの48万円で、県内2番目に高かった。韓国人観光客の増加を受けて前年、プラスに転じた厳原は、日韓関係の悪化を一因に横ばい。平戸は最高価格の所在地が17年ぶりに変わり、北松佐々町の本田原免の栄町通りとなった。西九州自動車道佐々インターチェンジの供用開始後、利便性が向上したことなどが影響した。
 人口減少や高齢化などを背景に前年からマイナスとなったのは島原、福江、壱岐の3署。福江は25年連続、壱岐は21年連続の下落となった。
 路線価の算出の指標となる「標準宅地」の評価基準額をみると、前年比で平均プラス0.9%となり、3年連続で上昇。評価基準が下落した地点は前年より減り、横ばいと上昇が増えた。
 県内の標準宅地3365地点などを調査し算出した。詳細は国税庁のホームページで確認できる。

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