美容化学者が警告!毛穴パック、エタノール化粧水…肌に悪いって本当?

前回はプロデュース化粧品のコンセプトや、スキンケアの間違いについて伺いましたが、第3弾の今回はかずのすけさんに、具体的に正しいスキンケア、化粧品を選ぶのに知っておきたいポイントを聞いてみました。毛穴で悩んでいる人、オーガニック化粧品が気になる人、要チェックです!

今回はかずのすけさんに、具体的に正しいスキンケア、化粧品を選ぶのに知っておきたいポイントを聞いてみました。

 

毛穴パックはNG! 正しい角栓ケア


-角栓ケアはオトナ女子の悩みのひとつですが、ケアのポイントを教えてください!
まず、角栓ができる原因は何だと思います?

-毛穴に脂が詰まってしまうから、ではないのですか?
そう、脂が分泌されすぎて詰まってしまう、というのが定説ですよね。

でも一番重要な点はそこではなく、角栓ができてしまう大きな理由は“皮膚・角質の炎症”なんですよ。それは化粧品メーカーさんの研究でもわかっていることです。

角栓ができるメカニズム

人間の皮膚はダメージを受けると…赤くなって腫れてくるんです。簡単に言うと皮膚が傷を負ってしまう。そして傷を負うと、(皮膚は)その部分を排出して新しくしようとするんですね。

皮膚はダメージを負っていくと、どんどんその部分が固くなっていきます。例えば、ギタリストさんの指なんて、カチカチになっていますよね。

角質というのはダメージを負っていくと固くなって、それが固い角栓ができる要因になります。毛穴周辺の角質が固くなり、それをはがそうとすることで、さらに固い角質がたくさんできていきます。

そこに多量の脂の分泌が重なることで、角栓が生じてしまうのです。

毛穴へのダメージが角栓の原因!

脂が出るだけなら(角栓も)洗顔料で簡単に落とせるのですが、それだけで落とせないのは、固まったタンパク質=角質が練りこまれているから。

だから毛穴を炎症させる、つまりダメージを与えることが何よりも“アカン”のです。そうなると、毛穴の周囲が角質で固まってしまって出口がふさがってしまう。

通常、毛穴周辺が柔らかいと日々の脂の排出と同時に、老廃物となった角質も少しずつ出て行きます。ですが、毛穴の角質が固くなっていると排出がしづらくなり、さらに(脂が)詰まっていってしまいます。

※画像はイメージです

そのため、角栓ケアでは脂のことも大事ではあるのですが、さらに重要なのは“お肌にダメージを与えてないかどうか“。最初に肌にダメージを与えるケアを始めてしまうとそこから悪循環にはまってしまいやすくなるのです。

そしてその最初に肌ダメージを与えるケアというのが、『毛穴パック』みたいなアイテムです。
毛穴周辺の肌ごとはがしてしまうと大きなダメージを与えてしまうので、どんどん角質のターン―オーバーが早まってしまい、さらに角栓ができていく、そしてまた毛穴パックを使いダメージを与え…という悪循環ですね。

だから角栓の一番効果的なケアは何かと言われれば、「毛穴周辺にダメージを与えるケアはやめましょう」です!
毛穴パックをやめてしまうだけで、角栓に悩む人はかなり改善されると思います。

かずのすけが教える、正しい角栓ケア

では既に角栓が溜まっている場合はどうするか、ということなんですけど。

手段はいくつかあるのですが、肌を軟らかくするクレンジング剤などがありますので、それを使っていけば徐々に軟らかくなって、角栓の排出が進んでいくでしょう。

また、酵素洗顔といってタンパク質を分解する洗顔料があります。それはかなりきれいに落としてくれるのですが、使う回数が多すぎるとこれもまた肌にダメージを与えてしまうので注意しないといけません。

他にも脱脂能力の高いクレンジングや洗顔料、スクラブ、ピーリングなども肌が乾燥して負担がかかることがあります。

あと「収れん化粧水」をご存じでしょうか?

洗顔後に毛穴引締めのためなどに使われますが、その仕組みは“お肌のたんぱく質に若干の刺激を与えて引き締め効果を得る”というもの。
でも、2時間もすると元に戻ってしまうので、ただ炎症を助長するだけであまり効果は期待できません。

植物由来のオイルで優しくケアを

結局、角栓毛穴を改善するためには、ダメージを与えるケアはやらないのが一番。
じゃあ、何をするかというと油脂を含んだクレンジング、中でもマカダミアンナッツを含んだ油脂は人の角質を柔らかくする力があるんですよ。
これは使ってみればわかるんですけど、柔らかくするので角質の硬化を緩め、ダメージを与えることなく角栓の改善を促せます。

植物の油であれば似たような効果があるんですが、オリーブオイルなんかもそうだしアルガンオイル、化粧品にある高級美容オイルなんかも大体は同類です。
ただそういうクレンジングは値段が少し高めで、一般の鉱物油(ミネラルオイル)主体のクレンジングオイルが¥1,000くらいに対して、植物由来のオイルは大体\3,000以上になっちゃいますかね。
(\2,000くらいの奴はだいぶ品質が落ちてしまっている気がするので注意です)

-私もかずのすけさんのクレンジングオイルを購入しました!

ありがとうございます!私がプロデュースしているセラヴェール-プラチナムクレンジングオイルは、マカデミアナッツオイルを主成分にしているので、お肌にも優しいですよ。一番リピート率が高い商品です。

-ちなみにアーモンドオイルはいかがですか?

いい商品ではあるのですが、あまりお勧めはしないんですよ。すごい浸透感があって柔らかくしてくれるのですが、酸化しやすいんですね。

植物系のデメリットの1つではあるのですが、特にアーモンドの成分は酸化が早いです。
なので、早く使い切らないと品質が落ちるし、落ちたものを使ってしまうと肌も酸化しやすくなる傾向があります。

毛穴トラブルになりやすい人の特徴は敏感肌の方ですね。肌が弱い人は通常より弱いダメージで炎症を起こしてしまうので、普通の洗顔料でも発症することも…。アトピーの方なども含めて毛穴が荒れやすいですね。

 

エタノール化粧水が肌に悪いってホント?


-次は、化粧水についてお伺いしたいと思います。かずのすけさんのブログで“エタノール配合の化粧水”について取り上げられていましたが、詳しく教えていただけますでしょうか。
先ほど少し収れん化粧水のお話をしましたが、その収れん化粧水の主成分は大体エタノールなんですよ。エタノールの効果としては化粧水の主成分として考えると“さっぱり感”、ちょっとヒヤっとする“清涼感”でしょうか。

男性用化粧品の化粧水のほとんどにエタノールが入っているのではないでしょうか。すっきり、さっぱりが求められますから。男性のほうが毛穴の大きさが女性の2倍ほどで、皮脂腺の動きも活発なんですよ。皮膚の表面積も大きいんです。

ただ、それでエタノール系の化粧水ばかり使っていると肌が荒れやすくなります。男性も女性用の化粧水を使うほうがいいかなと、僕は思います。

-(女性と)同じものでいいんですか?
よく女性の方から「うちの旦那にはどんな化粧水がいいですか」と聞かれるのですが、その時は「ご自分の使っているものでいいですよ」とお答えしています。男性向けって、単に刺激が強めになっているだけなので…。

ただ、エタノールのいいところは抗菌作用があって、ニキビができにくいんですよ。菌にダメージを与えるので菌が増えにくくなります。あと使用感も非常に良好なので、肌が強い人ならいいかもしれない。弱い人だと荒れやすくなってしまいます。

アルコール過敏症にご注意

もう1つ(エタノール化粧水を避ける理由が)あるとすると、「アルコール過敏症」というのがあります。

お酒が飲めない人の全員が全員というわけではないですが、中にはエタノールが肌についただけで、かぶれたり炎症を起こしたりすることがあります。最近はそういうことは少なくなっていますが、そういう方もいるのでその点は要注意です。

化粧品の成分表で見るべきポイント

デパコス、デパートの高級化粧品カウンターで扱っている大半の化粧水はエタノール系なんですよ。
なぜかというと、エタノールは揮発性が高いので手のひらに乗せた時になくなっていく様子が、(肌に)浸透していくかのように見えるんです。だから実演販売はエタノール成分の化粧水を多く扱ったりします。

エタノールは化粧品の使用感を高めたり、使い心地をよくしたりするうえで有用な成分ではあります。
だけど、肌の弱い敏感肌の人にとってはいい効果をもたらさないこともあるので、敏感肌を意識している方は避けたほうがいいのではと思います。

ただ、エタノールが少しでも入っていたらダメというわけではなくて、商品全成分表の中で後ろにちょっとだけ入っている分には問題ないと思います。成分表の中で上位2・3番目くらいに記載されていたら、ちょっと気にしてほしいなと!

オーガニックコスメの落とし穴

-お肌に優しいイメージのある「オーガニックコスメ」ですが、こちらについてはいかがでしょうか。
オーガニック商品はお肌に優しい、安全などとよく言われますが、それは全くの幻想です。
オーガニック化粧品≒無添加化粧品と思っている方、オーガニック=植物から抽出した成分だけでできている、というイメージを持っている方…。

“そもそもオーガニック商品とは何か”を認識されてない方が多いです。

オーガニックコスメの起源はヨーロッパです。オーガニックとは植物(野菜)の有機栽培農法。ヨーロッパ諸国は化学物質などに厳しいお国柄で、動物実験などはほとんどできません。医薬品の動物実験くらいしか許可していないんです。

動物実験が禁止されているので、その点は結構多くの人に称賛されているのですが、逆にいえば化粧品の新規成分が生まれないということになります。

ですから、ヨーロッパから日本に入っている化粧品と言うのは20~30年くらい前の成分でできているんです。その時点で、(オーガニック成分がいいというのは)どうだということもあるんですが…。

知っておきたいオーガニック認定の基準

現在あるオーガニック認定機関というのは、栽培方法に関して認定に適合しているかどうか。

よくオーガニックコスメの団体が、自社の製品を「オーガニック認定機関に承認を受けていますよ」と言うのですが、それを紐解いていくと化粧品をオーガニック認定しているわけではなく、使っている原料成分がオーガニック栽培で作られているかどうかなんですね。それしか判断できないんですよ。

でも科学的に言えば、農薬を使って作った植物の成分も、農薬を使わずに作った植物の成分も完成品は同じなので、どっちが優れているかなんて判断できないんです。実際、成分はそのまま使われているわけじゃないですし…。

例えば、油脂であれば、グレード毎にさまざまな精製処理を加えた成分を使います。石けんなんかはオーガニックの石けんであっても、油脂と化学物質である水酸化ナトリウムと合体させた化合物です。

原料は確かにオーガニック、油脂は植物由来成分だったかもしれませんが、これをオーガニックそのものだというのは無理がありますよね。

「オーガニック=無添加」ではない

という風に、オーガニックコスメは使われている植物がオーガニックかどうかというだけであって、全ての成分がオーガニックコスメでできているという認証を受けているわけじゃないんです。
つまりオーガニックコスメであっても、化学物質も中に少なからず含まれているのです。

僕はオーガニックという言葉のイメージを使うのは悪いとは思っていません。無農薬にこだわりを持って作っている方もいらっしゃいますし。ただ気を付けなければいけないところは、 “無添加化粧品”だと思っている方も多いところです。

化学的に作った純粋な合成成分と、植物から抽出した天然そのままの成分を比べると、どうしたって後者のほうが“不純物”がいっぱい入っているんですよ。
それをどんなに精製して不純物を取り除いていっても、科学的に作った純粋さには及びません。どうしたってある程度の不純物が残ってしまう。

そうすると実は化学的に作ったもののほうが、お肌に優しいということになります。不純物が肌にどう影響を与えるかはわからないので、それはそのままリスクになります。

日本のメーカーがオーガニックコスメをあまり作らない理由はそこにありますし、化学物質や化合物をモリモリ使って作るのはその理由からです。そのほうがコストも安いし、肌への刺激も少ないですから。低コストでより安全性の高いものが作れるなら当然それを追求した方が良いと僕も思います。

また最近、国産メーカーから実際には合成成分で出来ているけど、微量の天然成分を配合した「なんちゃってオーガニック商品」のようなものが発売されているんですが、僕はそれくらいが日本人にはいいんじゃないかと思います。
特に女性はイメージを大事にされますので、植物の「◯◯エキス」とかがちょっと入っていて植物性なイメージがあった方がプラシーボ効果で良い効果が生まれることも実際にあるんです。

ただし、『オーガニック』という言葉を利用して、(商品の)値段を吊り上げて利益を高めようとする姿勢はあってはならないと思いますね。


と、かずのすけさんにスキンケアについての正しい知識と、知っておきたい情報を教えていただきました。
私はまず角栓を無理やり出そうとする習慣をやめました…。悪循環だったんですね…。

とても丁寧にいろいろ教えていただきましたが、時間にも文字数にも限りがありますので、今回の記事はここまで。
もっと知りたい人は、かずのすけさんのブログと著書をチェックしてみてくださいね。
皆さん(と私の)の肌の悩みが少しでも軽くなりますように!

 

美容を教える化学の先生「かずのすけ」プロフィール


かずのすけ / 1990年6月3日生まれ
専門分野は有機生物化学、洗浄化学、界面活性剤など。
現在はホームページ運営、執筆活動、セミナー講師等を行いつつ、コンサルタントとして企業の商品開発を支援。プロデュース化粧品・著書・掲載誌多数。

この記事を書いた人:

wellfy

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