「悪循環に陥っている」 OB捕手が指摘する12戦10敗、泥沼の阪神に必要なものとは?

阪神・梅野隆太郎【写真:荒川祐史】

野口寿浩氏が指摘、初回の3ラン「サインが決まらない…」

阪神は2日、敵地・ナゴヤドームでの中日戦に2-4で敗れ、4連敗を喫した。先発のオネルキ・ガルシア投手が初回に先制を許したかと思えば、打線もチャンスを作っても生かせない悪循環。ただ、前夜1日からスタメン3人を入れ替える「荒療治」を施し、この日まで開幕から9打数無安打だった上本博紀内野手が躍動する光も見えた。

ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、2018年までヤクルトで2年間、バッテリコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏がまず指摘したのは、ガルシアと梅野隆太郎捕手のバッテリー。立ち上がりに1死から二塁打と四球で一、二塁を招き、3ランを被弾した場面に触れて言う。

「間が悪いし、サインが決まらない。投手も捕手も考えているので、そういうこともありますが、それにしても長すぎた。梅野はもう少しサインをトントン出していってもよかったのでは」

ガルシアは3回に不調を訴えて一度ベンチに下がるアクシデントもあったが、結果的には追加点は許さなかっただけに、初回の3失点が余計にもったいなかった。

この日までの9敗のうち7試合が1得点以下という得点力不足は、解消の兆しが見えない。野口氏は「全体的に言えることですが、早いカウントの甘い球を見逃して、そのあとの難しい球を振っている。悪循環に陥っている」と分析する。相手先発は初対戦のルーキーの岡野祐一郎投手だったため1巡目は様子見だったのは分かるが、2巡目以降にも変化が見て取れなかった点を不安視する。

明るい材料も「選手起用を動かしたおかげで、上本が生き返った」

前夜に来日1号を放った頼みの新助っ人ジャスティン・ボーア内野手も心もとない。野口氏が例として挙げたのが、2死一、二塁の先制のチャンスで迎えた第1打席。3球続けて外角に外れて3ボールとなった後、ストライクを取りに来た真ん中の直球を2球続けて見逃した。「2球のうち、どっちかは振ってほしかった。振らなければバッテリーも怖くない」。結果的に歩いて満塁と好機を広げたが、続く梅野隆太郎捕手が二ゴロで無得点。中軸に求める仕事は、四球ではなかった。

やることなすこと全てが裏目に出るような現状に、野口氏も思わず「痛々しい」と思いやる。ただ、明るい材料があったことも確か。前の試合から3選手の入れ替えを断行。スタメン起用された「7番・左翼」の高山俊外野手、「8番・遊撃」の北條史也内野手は快音を残せなかったが、「2番・二塁」の上本は3回の第2打席で左越え適時二塁打を放った。「選手起用を動かしたおかげで、上本が生き返った。これで使いやすくなったでしょうし、スタメン固定という方法もあるかもしれません」と野口氏は一案を示す。

連敗から脱するためのきっかけとして説くのは、打席での積極性。「なんでもかんでも初球からいくのではなく、しっかり狙いを絞っていくことが必要だと思います」。3日からは、敵地・マツダスタジアムでの広島3連戦。まずは開幕2連勝のエース大瀬良大地投手に立ち向かう。データの少ないルーキー投手と違い、何度も対戦してきた投手なだけに「何を狙うのかなど指示は出しやすいと思う。指示を出す方も、受け取る方も、しっかり認識してみんなで流れを良くする努力を一層やるしかない」。後手後手の虎は、もう見飽きた。(小西亮 / Ryo Konishi)

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